80話 ー事前に確認を取りましょうー
「売れません」
「帰ってくれ」
「アンタには売れねえ」
明らかな変化。
せっかく金を手にしたというのに使えていない。どこの店に行こうとも門前払い。金で物を買うということが出来ないでいた。
気落ちした体をベンチに降ろす。
「・・・・」
「ああ、明らかに教会の圧力だな」
どうやって手を回したのかはわからないが、俺達にはモノを売らないようにという力が働いているのは明らかだった。
「金は返す、だから出て行ってくれ」
この一言が一番効いた。宿屋の主人から言われた言葉。前払いで金を払っていたのだが追い出されてしまった。かといって彼らをぶん殴るのは違う、これは俺と教会の問題であって彼らは巻き込まれているだけなのだから。
「・・・」
「あり得ない、野宿なんか絶対ない」
想像以上に教会の力は強い。だがこんな所でくすぶっているわけにはいかない。俺には目的がある、海の見える丘に家を建てるという目的が、どうせこの先も困難がどんどん押し寄せてくるんだ。そのたびに逃げ回っていてはいつまでたっても家なんか建てれない。
何とかしなければ。
「・・・」
「誰が謝るか!絶対頭なんか下げないぞ」
決めている。
誰にも媚びず、自分のあるきたい道を歩く。
そう生きると決めている。
立ちはだかるものは粉砕する。そう決めている。
「・・・・あそこしかない」
「・・・」
「薺、悪いことをしている奴らには罰が必要。そうだろ?」
肩に手を置いて問いかける。
「・・」
「悪い奴らを懲らしめて、尚且つ俺らが次の街に行くための準備が出来れば一石二鳥ってやつだ、そうだろ?」
「・・」
「悪い奴らを懲らしめる、それには少しくらいの暴力、いや、正義の鉄拳というのはしょうがのないことだ」
「・・」
「だいたいにして大元をたどれば全部教会が悪い。つまりこれから何が起ころうが悪いのは俺ではない、そうだろ」
「・・」
「うーん、じゃない。納得してくれ」
薺の反感は買いたくない。なにかいいアイディアはないものか。
「甘いパン、また食べたくないか?」
「・・・」
「そうだろ!このままじゃ一生食べれないぞ」
「・・」
「そうだろ、嫌だろ!だからしょうがないな?」
「・・」
OKが出た。
自分でもどうしようもないほど子供じみた提案だと思った。物で釣る作戦、思いっきり効果を発揮して、あっさり折れてくれた。理屈よりパン。
薺は分かりやすいやつだった。
「それじゃあ、行くぞ」
重い足を引きずり、黒部 圭太は薺を引き連れある場所へと向かった。
評価、ブクマ頂ければやる気が出ます。
よろしくお願いします。




