79話
ーーーー メルスン 商業ギルド
「お待ちしていましたよケイタさん」
青い口髭をふんだんに蓄えた丸々と太った人のよさそうな男が言った。
「ちっ、ようやくか。おそいぞ」
上下白の服を着た男。丸々と太っていて不機嫌そうだ。
「何のようだ」
「えっ、聞いていないのですか?商業ギルドに籍を置く商人クライス。その件についてです」
「ああ、そうか」
道端で出会った商人の一行、薺に剣をくれたあの護衛の一行だ。
「商人クライス。彼ら一行は盗賊団エントロフスキーによって殺害されたことが調査によって結論付けられたのです」
「ほう」
そりゃそうだ、事実だからな。
「失礼ですが、」
「何だ」
「ケイタさんとナズナさんは外国の方でしょうか?」
まあ、顔の作りが違うからそう思うんだろう。あいにくこっちはこの国の住人と違ってホリが深くないから。
「そうだ」
そうしておいた方が便利だ。常識を知らない事への言い訳になる。それに紛れもなくそれは事実だ。異世界からやってきたんだからな。
「それでしたらご説明させていただきます。この国では、このような場合発見された遺物は全て発見者のものとなります」
「ほう」
「このまま馬車を含めた荷を受け取ることもできますし、換金して受け取ることも可能です」
丈夫そうな机の上には金貨の山が三つあった。
「また、盗賊団エントロフスキーには懸賞金が掛けられていました。その額6百万ゴールド。ケイタさんの証言通りの事柄が調査によって確認されたため、これもお受け取りいただくことが可能です」
「ほお」
「遺物の方は現金でよろしいですか?」
「ああ」
「商人クライスの遺物は230万ゴールドになりますので」
「おい!もういいだろう、私は忙しいんだ」
さっきからイライラしながらやり取りを見ていた上下白の服を着た男が言った。この服装、どう考えてもあれだ。
「申し訳ありませんでした司教様」
パン!
「痛!なにをする!」
いきなり俺の金に手を伸ばした奴の手を引っぱたいてやった。
「それはこっちのセリフだ。それは俺の金だろ、なに盗もうとしてんだ」
「失敬だぞ!!」
新たらしいブタは顔を真っ赤にして怒鳴りつけてきた。司教、やはり教会の奴かクソが。
「ケイタさん!この国では拾得物は教会に半分差し出すのが通常なのです、ですから」
「常識知らずの田舎者が!」
「ふざけるな、それはお前らの国での常識。俺には関係ない!さっき俺が外国から来たというのを聞いてなかったのかお前は」
「貴様!」
「教会と喧嘩してもいいことはひとつもありません、ここは謝罪して寄付を行うのが賢明です」
商人の男が泣きそうになりながら俺を説得しようとしてきた。
「誰が払うか!」
「覚えていろよ小僧、私の手を叩いた事、後悔させてやるぞ」
「消え去れ豚野郎」
「くっ、」
中指を突き立ててやったらブタは目を見開いてしばらく硬直した後で立ち去っていった。。
黒部 圭太は830万ゴールドを手にしたが新たな確執は生まれた。




