78話 ー少しくらいならOKー
「ふーっ、腹いっぱいだよケイタ君」
たらふく平らげた薺、モントドール、ウサイトの三人。木に寄りかかりながら大きくなった腹をさすっている。
「ところで、お前」
「ん?なにかな、親友」
「誰が親友だ!お前、体は大丈夫なのか?」
「おー、私の体の事を心配してくれているのか」
「帰りもリヤカーを引けるのか?」
「もちろん大丈夫だ!ウサイト君のヒーリングとケイタ君のご飯のお陰で完全に回復したさ」
「無理しないでください隊長、私が引きますから隊長はリヤカーに乗ってください」
「ウサイト君まで、心配性だな君たちは」
「死にかけてたくせによく言う。お前ら二人ともそれに乗ってろ」
「それでは誰がリヤカーを引くんですか?なずなさんですか?」
「こいつだ」
突如として現れた暗黒の闇。それは2mほどの円形の闇。黒部 圭太は迷わずそこに右手を突っ込み、引っ張り出した。
骸骨。
2mを超える長身の骸骨だった。
「きゃあ!」
「おああ!!ケイタ君!」
人間の頭部のようでありながらそうではない。深い闇のような窪みに赤い光が目のように鈍く光っている。白い頭蓋骨には白銀の唐草の模様が浮き上がっている。
体はどのような構造であるのかはうかがい知れない。何しろ服を着ている。その服とはスーツ。裾が燕の尾のようになっている礼服、つまりは燕尾服であった。
上下黒の燕尾服に、黒のシャツ、黒のベスト、黒の水玉模様の入った赤いネクタイ、左ポケットから赤のハンカチがのぞき、赤い帯の入った黒いシルクハットをかぶっている。
「どうだ!最高にカッコいいだろう」
絶賛されるとばかり思っていたが反応は全く違った。
「ケイタさん!なんでいきなりアンデットを呼び出すんですか!!」
「やるなあ、ケイタ君。私をここまで驚かせたのは君が初めてだ!さすがだケイタ君」
「ホネの助・ボーン座衛門だ」
「さすがのネーミングセンスだ、ケイタ君」
「そうだろ、お前のようなトンチンカンでもわかるか」
「いい名だ。それによく見ると凛々しいじゃないかホネの助・ボーン座衛門君は」
「そうだろ、そうだろ」
「隊長!褒めている場合じゃないですよ!禁術ですよ、アンデットを作り出すのは」
「禁術?」
「国際法違反です!火炙りギロチンの刑ですよ!」
「怖!」
「黙っていてあげますから他の誰にも見せないほうがいいです」
「まあまあ、ウサイト君、ケイタ君くらいの年齢なら少々のルール破りはしょうがない。私も同じくらいの年のころには、木から無断でリンゴをとって食べたもんだ」
「そうか、じゃあOKだな」
「OKじゃないです!悪い事のレベルが違いすぎますよ隊長!」
「そうはいってもホネの助・ボーン座衛門は命令に絶対服従だから危険はないぞ」
「それなら問題ない」
「隊長!」
「すまんなケイタ君、ウサイト君は少々神経質なところがあって・・」
「まったく、細かすぎるぞこれくらいで」
「ええ、、、、そんなあ・・」
「ほら、ホネの助・ボーン座衛門がリヤカーを引いてやるから帰るぞ」
一行は帰宅の途に就いた。
新たに得た力のせいで、黒部 圭太は終始上機嫌であった。
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