62話 -エビのピタサンド-
ネギのシャキシャキ感とプリプリのエビ。ゴマと豆板醤の香り。甘辛な味付け。小麦粉で作った薄いパンとの相性は最高だ。
エビのピタサンド。
湖のほとり。シートを敷いて腰を下ろし薺と共に頬張る。エメラルドグリーンの湖と、緑の木々、白い雲と、力強い太陽。理想的なピクニックだ。
「美味い」
「・・・」
「まだ食えるか?」
「・・」
レモン水を飲み干して手についた水滴をズボンで拭う。
「よし、それじゃあまた召喚しよう。クリエイティブキングヌードル、発動」
<特殊スキル クリエイティブキングヌードル>
◎地球の料理を召喚することが出来る。
◎呼び出すことのできる料理は、「一度召喚したことのある料理」、または、「ランダムで選択」、のどちらかを選んで発動する。
光と共にゆっくりと下りてきた器の下に両手を置いて受け止めると皿は暖かく、料理が作りたてであることを教えてくれる。
「チーズと生クリームのペンネ、だ」
ランダムでと思いながら発動すると案の定、先ほどとは違うものが出てきた。
白い器に一人前の白いソースのかかった筒状のパスタ、ペンネ。上から黒コショウがかかり、フォークがひとつ付いている。香りがいい。チーズの香りが食欲を誘う。
「・・・・」
「そうだな、美味そうだ」
そう。これも実験。
旅をするうえで食料を魔力で生み出すことが出来れば非常に便利だ。だがそれがどの程度の疲労感を生み、どんな料理なのかがわからない。だから旅立つ前に実験が必要だった。
予想以上の成果。料理の味は最高だった。この世界で食べたどの料理よりも美味い。感動的ですらあった。
嬉しい誤算もあった。今回のペンネで言えば、白い器とフォーク。ピタサンドで言えば、木の皿と透明なコップに入ったレモン水が料理についてきたのだ。
水。
これは重要。人は水を飲まないと数日で死ぬと聞いたことがある。それを魔力で生み出すことが出来ればいざという時に役に立つ。相変わらず水魔法が使えていない俺には嬉しい。
「よし、味見を、、」
完食されていた。
いろいろと考えていた、自分の世界に没頭していた。だからしょうがない、しょうがないのだが、いつの間にかすっかりと完食されてしまっていた。
「・・・・まあ、、疲労感はないからもう一回使えばいいだけなんだがな、、、一回呼び出した料理は何度でも召喚できるし・・・・」
薺。
自由人。
あまりにも自由人だ。
ぼそぼそと独り言のような言葉は大自然に飲み込まれた。




