52話 -アップルパイ-
「いらっしゃいませー」
甲高い声。
ずんぐりむっくり体形の赤、青、白のカラフルなエプロンを着ている金髪の女性店員が店に入ったとたんニッコニコで挨拶してきた。
良い匂いだ。甘いものはあまり好きではない。しかしここ最近ろくなものを食っていなかったので、口の中によだれが溢れ出てくる。
結構種類があるな。せっかくだから何か買っていこう。えーと、カレーパン、カレーパンは、、あるわけないか。ピザパンは、、、無い、残念だ。
800ゴールド
高っかっ!あの肉の串焼きが150ゴールドだったのに?
店内を見回してみると結構洒落た感じの店だ。客もどこか金持ちそうな感じがする。とすると、この金額は当たり前なんだろう。キョロキョロして変な奴に見られないようにしなければ。とりあえず一個だけにするか。高いし。
「え!」
8個。
薺はすでに8個もトレーにのっけている。しかも全部甘そうなやつだ。
ま、まあ、まあ、まあ。金はまだある。大丈夫だ。そんなにケチケチすることもないだろう。高いけど。
金額とボリュームを見ながら甘くないやつを中心に見ていく。その間にも相棒のトレーにはどんどんパンが追加されていった・・・
「美味いか?」
コクリ。
公園のベンチ。薺は買ったばかりのパンをむさぼるように食べている。俺はチーズの乗ったパンを買った。どれどれ、おー、美味しい。日本で食べるのとあまり変わらない気もする。
「それは?」
「・・・・」
アップルパイか。いや、リンゴは食べたばかりだから普通は外すだろう。わからん、薺。全く分からん。まぁ、いいけどさ。
美味しそうに食べている。幸せそうだ。
値段は高いがその価値はあったように思った。ずっとまともなものを食ってなかったし野宿してたんだ。このくらいの贅沢はしてもいいか。
薺は甘いものが好き。
それがわかっただけでも収穫だった。
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