45話 ー醜悪が過ぎるー
「薺!!!」
叫んだ。
手をかけるその時、名を叫んだ。
歩く。
最後のひとりとなった屑に向かって歩く。
「ま、待ってくれ、、、、頼む、、、殺さないでくれ、頼む、、」
希望。
声が尋常でないほどに震えている。首元に抜身の剣。頸動脈と刃が触れ合っている。ほんの僅かでも刃が横に動けば大量の血をまき散らし息絶えるであろう状態だった。
殺さなかった、止めた。そこに希望を見ていた。殺すつもりならば止めたりなどしない。自分には何か利用価値がある、その可能性に縋り付いていた。
「頼む、お、俺は役に立つ。見ただろ、あの矢、特殊スキル、特殊スキルを持ってるんだ、だから・・・」
命乞い。
脂汗が噴き出し、無理やりに作った笑顔。それは森から出てきたあの緑モンスターを思い出させた。溢れである悪意を隠せていない。
醜悪。
「なんでもいう事を聞く!本当だ。あんたのためなら・・・・・・・」
生きようと必死に自分がいかに有能であるかを語り続ける。
「コネがある!マフィアの上の奴にコネがあるんだ・・・・・・・」
首元の剣に汗が滴り落ちた。
「金も、アジトに隠してある!だから・・・」
醜悪。
生きれると思っているのか?
屑の分際で、今後も生きていくのにふさわしい存在だとでも思っているのか?
屑が。
屑の分際で。
圭太は醜悪な存在の事を見てなどいない。
圭太が見ているものはひとつ。
魂。
薄汚れた魂。
一部の悪魔は他者の魂を喰らう事で我がものとし、力を増す。




