43話
「どこだ!!」
「いねえ!」
「消えたぞ!!」
混乱に陥る屑。
目の前にいたはずの人間が消えた。取り囲み、襲い掛かり、殺そうとした。殺される前に殺そうとしていた人間が消えた。
「後ろだ!!!後ろにいるぞ!!」
悲鳴のような叫び。
一瞬にして30m。それだけの距離、一瞬にして少女の位置はズレていた。
さらなる混乱。
敵の後方へと回り込む。それは一人も逃がさないという彼女の意思表示に見えた。
薺の特殊スキル「彩る流星と真実」
己の気配を絶ち高速で移動することが出来る。
黒部 圭太は知っている。身を以て知っている。この特殊スキルの凄まじさ。
予測することすらできないこのスキルは、圧倒的に先手を可能とする。
あのときは剣を持っていなかったから耐えられた。だが、今は違う。手には得意とする獲物。しかもあの時よりもレベルは上。
自分でも勝てないだろう。
圭太は思う。
もはや薺はあの時とは別の次元にいると言っていい。その強さは奴隷と主人という間柄にある自分ですら寒気がする。
「「「うをーーーーーーー!!!」」」
もはや言葉にすらなっていない。策を練る、連携をとる、などということは考えられなくなってしまっている。
ただ、恐怖のあまり突っ込んでいく。
動きを目で捉えらる事すらできなかった。そんな相手と命を懸けて戦わなければいけない。その恐怖。
雑音を意に介さず、下を向き立ち尽くしていた薺が動く。
取り出したるは一本の剣。
するりと鞘から抜かれたのはモニカから譲られた長剣。
左手に村長の短剣。
右手にモニカの長剣。
水平に伸ばされた両の腕に持たれた二本の剣は微動だにしていない。
二刀流。
俯き、静止するその姿は絵画のようであり、十字架のようであり、死神のようでもある。
美。
そこには美しさがあった。恐ろしさと美しさが混ざり合うその姿は神秘すら醸し出している。
淡く白い光を放つ両の剣が振るわれ、一度に3人を切り裂く。
巻き起こされた風圧が足元の花を舞い上がらせた。
ー ヒョウ価キ望DEATH♡♡♡ ー




