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最初の村で無能追放されたんで「無能」で天誅喰らわしますわ!  作者: 青井銀貨
第3章 怒りの最強ヒロイン VS 屑盗賊軍団
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42話 -袈裟斬り-

 


 斜めにずり落ちた。


 盗賊がなずなへと到達するより早くその体は二つに別れた。


 一閃。


 白く輝く剣と勇者が繰り出した一撃。



 ()()()()



 左肩から右の脇へと切り降ろされた剣は、防具ごと切り裂いた。


 40ほどの魔物を殺し、レベルアップしたその剣は圧巻。防具を、骨を、肉を切り裂いてなお、力は微塵も削がれていない。



 心に怒りが満ち溢れていようとも揺るがない。


 積み重ね、研鑽した技術は揺るがない。


 閃光は一切の無駄を排除していた。


 揺らいでいなかった。



 驚きは無い。


 後悔も。


 懺悔の心も。



 本能が知らせる。


 目の前の屑共。


 雑魚。


 圧倒的に力の劣る雑魚であると本能が知らせた。数が多い、それだけだ。恐れることは何もない。この屑共では脅威となり得る事が無い。


 弱者。


 一応は訓練を積み、実戦を経験し、強くなったつもりであろうが、無駄、無駄、無駄。そんな些末なものは何の役にも立たない。無意味。



「兄ちゃーーーーーーーん!!!」


 叫び声が響いた後、血がシャワーのように噴き出した。



 場が麻痺したような静寂が過ぎ、吹き上がる赤が遅すぎる開戦の合図となった。



「殺せーーーーーーーー!!!」


「「「「うをーー!!」」」


「ぶっ殺せーーーーー!!!」



 一斉に襲い掛かってくる。


 予想外の事態に驚き戸惑っているか。ようやく事の重大さに気が付いたか。



「囲めーーーー!!!」


「相手はたった一人だ!!」


「ぶっ殺せーー!!」


「敵は一人だ!負けるはずがねえ」




 矛盾。



 相手はひとり。


 そう、その通り。


 相手はたったひとりの少女。


 だったらなぜ、そんなにも必死になるのか。


 矛盾。


 まるで戦争に臨むかの如き形相。



 リーダーが殺されたことによる怒りもあるだろう。手柄を立てようとする打算もあるだろう。


 だが最も多くを占める感情、それは恐怖。


 たったひとりの少女相手に恐怖していた。



 虚勢の言葉。それは自分たちを振るいだたせるための嘘の言葉。自らを騙すための言葉。



 圧倒的な速度で切り裂かれていた。自分たちを力で押さえつけるもの、自分たちより強きもの。それが何もできぬまま殺された。攻撃を受けていることにすら気づかぬまま殺された。体を分断されていた。


 少女がただものではないと悟った。



 恐怖。



 50人の盗賊はたったひとりの少女によって死の空気に包まれた。


 もはやそこに余裕は微塵もない。死に物狂いで少女を殺しに走る。逃げ切れないと悟っているのか、それとも、もしかしたら勝てるかもしれないとでも思っているのか。


 一様に向かってくる。


 声を張り上げ、目を血走らせ飛び掛かってくる。



 好都合だ。


 逃がさない。


 皆殺しにする。


 こんな屑、世界には全く必要が無い。


 この場で全員、皆殺しにする。



 恐れ戦け。


 目の前に立ちはだかるのは勇者。


 遥か昔より歌い継がれしもの。


 万物を超越せしもの。


 勇者。



 なずな


 殺そう。


 ()()()()()


 だから殺せ。


 なずな



 あいつらに見せてやるんだ。



 花はいらない。


 黒い服はいらない。


 涙はいらない。



 これが俺達なりのとむらい。



ー ヒョウ価キ望DEATH♡♡♡ ー

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