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最初の村で無能追放されたんで「無能」で天誅喰らわしますわ!  作者: 青井銀貨
第3章 怒りの最強ヒロイン VS 屑盗賊軍団
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38話 -赤髪モニカは優しいモニカ-

 


「これ、やるよ」


「・・・」


「ガタがきてる安物だからやるよ」



 ぶっきらぼうに差し出された剣。


 あの女護衛が差し出していた。



「何故」



 他人。


 ただ道で出会っただけの他人だ。だというのに何故。自らの剣を差し出そうとするのか。



「いらないからだよ!もう捨てようと思ってたやつだから!それだけだ!」


 嘘だ。


 いらないはずが無い。いらないものをわざわざ持ってくる必要性が無い。経験を積んでいる人物ならなおさらだ。


 予備のものなのだろうが、それを他人にやるというのか。命を守るための剣を差し出そうというのか。



「感謝する」


「だから!捨てるやつだって言ってるだろ!礼なんかいい!」



 怒っているかのように突き出す。


 赤い髪が揺れた。


 不器用な奴、そして優しい奴。



「・・・・・」


「お姉さん、ありがとう。だとよ」


 なずなの気持ちも伝える。


「だからいいって!いってるだろ!」


 今までで一番大きな声。


 顔を隠す様にうつむいて、振り返る。


 そして馬車の方へ急ぎ足で歩いていった。



「あんた、名前は?」


 その背に呼びかける。


「モニカだよ!だからいいって!名前とかは!」



 思わず笑ってしまった。


 本当に、不器用な奴だ。




 〇●〇●〇●〇●〇●




「出発だ!!」



 護衛のリーダーらしき男が声を張り上げた。


 前後左右、馬車を取り囲むように己の配置につく。表情が引き締まり、護衛のそれになった。


 別れの時。またそれぞれの目的へと向かう時だ。



「いやー。聞いといてよかったですよ。われわれは少し進路変更しましてね、森を迂回しながら進むことにしましたよ」


「そうか、、」


「私はクライス。コールナンバー商会で商人やってます。お兄さんの名前は?」


「圭太だ」


「ケイタさんですか、また機会があったら、そんときゃあよろしくお願いしますよ」


「ああ、、」


「ぶっきらぼうな人だね、あんたって人は・・・」


 呆れたような、諦めたような笑顔。


 グイグイ距離を詰めてくる奴だった。だが、不思議と嫌な感じはしなかった。


 これが商人か。



「それじゃあお元気で!また、どこかで」


「ああ、、」



 クライスたちは慌ただしく旅立っていく。時は金なり、というやつかな。


 いい出会いだった。


 神経をすり減らしはしたが、リンゴを得た。剣を得た。情報を得た。


 いい出会いだった。


 旅立つ背を見つめる。


 どこに行くのかも聞いていなかった。だが、クライスの言った通り、またいつか会う機会があるかもしれない。



 リンゴ。


 なずなが吟味したリンゴを齧る。


「すっぱ、、」



 また、なずなとふたり。


「それじゃあ・・・行くか」


 街へと向け歩き出した。



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