37話 ー対話ー
「おい、なんであんな短刀しか持たせてないんだよ?」
「?」
「武器だよ、武器。あんなんじゃまともに戦えっこないだろ」
護衛の女が話しかけてきた。
肩まである赤い髪に青い目、顔にそばかす。不満そうな表情をしている。
「せめて普通の長さにしろよ。いくらなんでもひどすぎるだろ」
薺の装備を見ながら言う。木のつるを腰に巻き付けた短剣ひとつだけなのが気になるらしい。
「ケチってるわけじゃないし、戦いを甘く見てるわけでもない。無いんだよ、あれしかな。俺なんか武器持ってないしな」
「まじかよ!」
どうやらわざと短剣一本を持たせていると思っていたらしい。護衛の奴らは武器はもちろん、防具も付けているから、俺たちの装備が相当貧相に見えたようだ。
「てっきり仲間より金の方が大事なのかと・・・」
それはない。RPGをやるときでも俺は無理をしないたちだ。レベル上げは面倒で好きではないが、その町の武器屋で一番いい武器を手に入れるまでは次の街には行きたくない。
「アイツの方が動きが速いし、短刀がある。何かあったら俺の方が先に死ぬだろうな。装備は金が入ったら揃えるつもりだ」
「ほえーー」
同性であり、そして、年下に見える薺の事が気になっているようだ。
女の顔には聞きたいことが山ほどありそうだ。しかしさっきの商人とのやり取りを見て、喋るだけで何かを要求してきそうだと思ったのか、それ以上は聞いてこなかった。
〇●〇●〇●〇●〇●
「モンスターの群れに!?」
「群れといっても40程度だが」
「40!?」
「クライスさん!エンドロピーの森のモンスターが活性化している可能性がある。進路を変えるべきだ」
「うーむ」
モンスターの大群と戦った時の状況を離してやると顔色が変わった。
この反応を見るにあの群れは普通ではなかったらしい。薺の戦いぶりがあまりにも余裕だったのでそこまで大したこととは考えていなかった。
この世界の常識をひとつ学んだ。
やはり、勇者=別格
つい数日前まではレベル1だった。だが今では経験豊富そうに見える護衛5人が警戒するほどの戦いを難なくこなすことが出来ている。
戦闘力に対する確信を得た。これならこの世界で生きていけると確信できた。
商人と護衛のリーダーは相変わらず難しそうな顔で相談している。どうやらリンゴ6個に相当するだけの情報だったようだ。
まあ、リンゴはすでに厳選に厳選を重ねたやつをもらった後だから、どっちでもいいんだが。
というか、こいつら警戒心を解きすぎじゃないか?俺はまだお前らの事を信用していないぞ。
「ほらよ」
「ん?」




