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201話



「いやー急にぶっ倒れたりして本当に恥ずかしいわ。許してくれよ」


「それはいいんだが大丈夫なのか」


「全然全然大丈夫、ただ耳たぶが吹っ飛んだだけ。こんなもんわざわざ病院にかかるほどじゃないんだよ本当は」


ぶっ倒れてしまったカンビョクの様子を見に病院へとやってきた。


「昔は戦場走り回って武器売ってたのに、いつの間にかすっかり鈍ってたらしい。ほんっと恥ずかしいわ」


「元気そうでよかった」


元気じゃなきゃこんな大声かつ早口で喋らないだろうからな。


「それにしても一人部屋か」


「それも本当は恥ずかしいんだけど店のやつが心配して大騒ぎしたらしいんだよ」


まあ部屋に入って血まみれの上司が倒れていたらびっくりするだろうな。


「それで、武器は何にするか決めたの?」


なずなは決めたし、俺も気になるのを見つけたけどせっかくならお前に話を聞きながら決めたいから待ってる状態だ」


「そんならすぐにでも退院しないとな。何なら今すぐ店に戻るか?」


「そんなわけにはいかないだろ、頭を強く打ってるからまる1日は様子を見たほうがいいらしいぞ」


「そういえばそんなこと言ってたな」


「大丈夫か?記憶が混濁してるんじゃないか?」


「いや、これはいつもどおりだ。俺は楽しいことがあると、ほかのことがどうでもよくなって忘れちまうんだ」


「だったらいいけど」


「これちょっと相談で駄目だったらそう言ってくれていいんだけど」


改まってなんだ?


「あの酒ちょっとでいいからくれ」


「駄目」


「なんでだよ!いいじゃねえかちょっとくらいよー退屈なんだよ、この広い部屋の中で一人でいるのはよー」


「誰が病人に酒を差し入れるか!」


「どうやったらあの酒「泉」がいい感じの商売になるか飲みながら計画立てようぜ」


「なんでビジネスパートナー気取りだよ」


「そんなん言うなよ。こう見えて俺、結構いろんなところに顔が利くから一人でやるよりは全然いい商売できると思うぜ」


うーん、こいつはひとりで始めた武器商をこの国で一番といわれるくらいまで大きくしたって言ってたよな。


間違いのなくコネはあるんだろうし実績としても申し分ない。それにここまで気軽に喋れる相手っていうのも貴重だ。


「お!揺らいでるねー俺にはわかるよ。ギャンブラーだからさ」


ギャンブラー。


大勝ちか大負けか。


「やっば駄目だな」


「なんでだよ!」


「商売は堅実に限る」


「あんだけ好き放題暴れまわっておいて何つまらねえこと言ってんだよケイタ!」


「それとこれとは関係ない」


元日本人の堅実至上主義なめんな、生まれ変わっても魂にも染み付いてんだよ。


「あんまり興奮させんなよ、俺一応病人だよ?」


は?お前が勝手に興奮してるだけじゃねえか。


「だったら落ち着いてメロンでも食え、持ってきてやったんだ」


「さすがに便利だねー黒渦は」


食い入るように見る目るその目はさすがに成功した商人というだけの迫力を感じる。


「ほら」


「なんじゃあこりゃー見たことないぞこんなの。お前見たことないものばっかりもって来るなーさすがだよ、すげーよ」



また勝手に興奮し始めた。




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