16話 -天罰?-
黒部 圭太:何も知らずに異世界に飛ばされた、少し馬鹿でかなり生意気な少年。最初の村で無能と宣告され、追放された。相手を「無能」にするスキルを持っている。
闇が流れているように見える大きな川の袂で圭太の声が響いた。
「鑑定」
知らない世界でたったひとり。知るためにはこのスキルしか頼れるものは無い。
振り返ってみれば、「無能」を持っていると気が付いた瞬間からテンションが上がり過ぎて、ちゃんと全部は読んでいなかった。自分でもそれはちょっと馬鹿だったかなと思う。
「よかったー」
暗闇のなか青白い光を放つ文字が表示された。もしかしたら使えなくなっているかもしれないと不安だったのだけど大丈夫だった。これが無くなったら終わりだからな。
しかも街灯もないこの川べりではどんな光だって嬉しい。表示された文字を読んでいく。時間だけはあるから今度はひとつづつ慎重に読んでいこう。
「………Oh My Gad!」
信じられなかった。
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名前:黒部 圭太
レベル:19
種族:悪魔
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悪魔………。
種族が人間じゃなくて悪魔だ。
なんだこりゃこりゃ。
僕は実は悪魔でしたー。
なんじゃそりゃそりゃ。
悪魔なの?マジで?嘘でしょ?冗談でしょ?
悪魔ってなんだよ。
なんで俺が悪魔なんだよ。正真正銘人間の両親から生まれた、種族人間ですよ。
おかしいだろ。
ありえないだろ。
鑑定が間違ってるんじゃないのか?
何かの間違いだろ。
痛み。
衝撃的事実に頭がお祭り騒ぎになっていたが、一瞬、針で内臓を刺されたような痛みが走った。
「?」
なんだ今の痛みは?
悪魔に驚いていることを中断するほどの痛み。食あたりか何かか?。もしそうだとすれば考えられるのは………村長からもらった干し肉、あるいは水。
痛み、痛み、痛み。
「が………」
思わず息が詰まるほどの痛みが3回来た。
痛み、痛み、痛み、痛み、痛み、痛み、痛み、痛み、痛み。
「!」
あまりの痛みに膝を付き、蹲る。
立っていることはおろか、声を出すことも難しいくらいだ。なんだこれ。
細く長く呼吸をしながら、腹に手を当て体を丸めていて、額には脂汗が滲んでいる。
病気!?
病気なのか!?
盲腸!?
まさか!
この世界に来てすぐ盲腸になるなんて信じられないほど運が悪すぎる。たしか盲腸というのは腹を切って盲腸を切るんじゃなかったか?盲腸はいらない臓器だから。そんなことを聞いた気がする。
痛みは続いている。
最悪。
最悪すぎる。
こんな真っ暗な河原に人が通りかかるなんてないだろう。誰かに助けを求める事すらできそうにない。この世界の病院のレベルはどんなもんなんだ?
ちゃんとした医療はあるのか?
感染症は大丈夫なのか?そういえばココクロ村では病院らしきものを見た記憶がない。まさか民間療法しかないんじゃないだろうな。
痛い。
最初は腹が痛いと思っていたのが今や背中全体が痛い。これは盲腸なのか?分からない。調べる手段もない。
近くの街まで三日かかる。
いや、そもそもこの状態じゃ次の街に向かうどころか歩く事なんてできやしない。村にも戻れない。バレル殺しを疑われるに決まってる。
どうすれば、どうすればいいんだ………。
神の罰。
その言葉が思い浮かんだ途端に背筋に寒気が走った。
アイツは司祭だから神の加護があるのか?一部始終を見ていた神が与えた罰なのか?
ふざけるなふざけるなふざけるな。あいつは俺を追放して殺そうとしたんだ。なんで俺が罰を受けなければいけないのか。
「っ!」
関節に捻じれるような痛みがきた。
ただ丸まって体を抱え込むしかできない。白くて固い川石に脂汗がぼたぼた落ちていく。
呼吸をすることでさえ苦しいしないわけにはいかない。ゆっくりと息を吸って吐く。
激痛。
「!」
今、一瞬気を失った。
痛みの中にさらなる痛みが腹に来た。目の前が真っ白になって気がついたらまた地面と、うずくまっている自分の体が見えた。だが痛みが引いていく様子が感じられない。
激痛。
また気を失った。
全身の痛みの中でも腹の痛みは別格だ。耐えられない。死ぬ。死んでしまう。
薬草!
そうだ、村長がくれた薬草だ。あれを食べるしかない。あれしか………。
遠い。
村長からもらったものは数メートルは離れている。しかしやるしかない。何とか這いつくばっていくしかない。
圭太は意識を失った。
暗闇の中、なにかが雄たけびをあげた。
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特殊スキル 無能 Lv3
特徴:自分自身から30m以内の生き物に「無能」のバッドステータスを付与して無能状態にする。無能状態になると全ステータスが90%ダウンし、運は-100になる。ただしターゲットとして選択できるのは1体に限る。下位能力による付与阻害や能力低下の影響を受けることはない。




