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序幕章.一神抄

少し書き出しだけですが、更新しますっ!


ここからは少しずつ本題へと進ませるつもりですので、新章として、区切りをつけ、新たに噺を始めます。



「マスター、九稲です」

「あぁ、入りたまえ」

 町が寝静まりを迎える頃、NBSL最上階、山田太郎の部屋に、九稲が姿を現す。

「何の御用でしょうか? このような時間に」

「ふむ。少しはふざけも善しと思っていたのだがね、これは真面目な話だよ、九稲」

 本気か冗談か分りにくい言動をする太郎には不相応な、雰囲気に九稲は居を正す。

「これはとある神子よりの情報なのだがね、ここ数日おかしな動きをする神子の姿が全国より報告されているそうだよ」

 一面のガラス窓から眼下を見下ろしつつ、少々面倒そうに太郎は話す。

「おかしな? どういうことでしょうか?」

「まぁ、さほど大したことではないのだがね。どうも神子を矢継ぎ早に囲おうと動く赫職たちが、どうやらグループを作っているらしい」

 下らないことをするものだね、と太郎は息を吐き、頭を掻いた。

「それが何か問題でしょうか? 契りを結ぶ為に囲う。ただそれだけでは?」

 九稲には、それはただ契りを結ぶだけのことのようにしか思わないのだろう。

「九稲。私はこの創世に賭けているのだよ」

 太郎が振り返る。白衣がマントのように舞った。

「世界に蔓延る人間が、力を手にした時、そこに神は生まれる。私はそれを確かめたいのだよ。しかし、その行動はあまりに幼稚で情けない。中には契りを結んだ神子すらを略奪する者の話すら届いている」

「はぁ……それで私にどうしろと? 愚痴を仰りたいのでしたら、そこの壁の方が従順ですよ」

 真剣な表情に居を正した九稲は、愚痴を吐く太郎に失念したように、力を抜く。

「愚者たちの行うこの行為に、愛はない」

「はい……?」

 唐突に断言する太郎に、九稲は呆気に取られた。

「良いかい? 創世とは赫職たる人間と神子との共立なのだよ。そこには絆と言う愛があるからこそ、新神話は創造される。しかしっ。しかしだよ。それを意図的に創造しようとする愚者が現れた」

 オーバーアクションで太郎は大げさに全身を使って、自身の失念の大きさを伝えているようだが、九稲は表情一つ変えることなく、ため息を一つ漏らした。

「つまり、マスターのルールにそぐわない者へ粛清を与えよ。そう言うことですか?」

「ザァッツライトッ!」

 ズビシッ! と太郎が九稲の鼻先に指を指す。九稲は失礼と言うようにその指を弾く。

「仰せであらば従います。しかし、この創世に関し、そのようなことは大儀であるとは思えません。それも戦略と言うものでしょう?」

「そんなの面白くないからダメ」

「子供の駄々ですか……」

 自分の意見に即答する太郎に、明らかに失意する九稲。

「それにだ、九稲。連中はどうやらそこにビジネスを見出してもいるようなのだよ」

「ビジネス、ですか?」

 少し起動の変わる話に、首を傾げる九稲。後ろで束ねた髪もつられて垂れる。

「この世界には様々なトリックがあり、神秘がある。超能力、霊能力、スピリチュアル、占術、気道、上げればきりがない。しかし、神子たるは何だね?」

 太郎が問う。

「古より隠匿されし、妖怪、神々、精霊の化身ですね」

「そう。それは明朗なる別離にある者。人非ざるが故に人に在れり。人間とは愚かな探求者であり、日本人は流世の愚者。故に運命を定められし神子より、運命を奪うものがいる。私は神子の父であり、神だ。我が子の幸せを願わぬ由は持ち合わせていないのだよ」

「無駄に格好をつけなくても宜しいです。つまり、私には近畿圏において、不条理より神子を救い、不届きへの粛清。今回の任はそれで宜しいのですね?」

「そうとも。無論、シュウ、鴻鳴、狼艶、熊罷への通達は既済だ。我が子を虐める輩には、私よりの虐めがあることを教え込んできておくれ」

 太郎は、純粋に神子を思うようで、自分が面白くないことをする連中を虐めたいだけのようだ。

「その裏にあるものは如何なものでしょう?」

 しかし、九稲は勘より感じるのか、その言葉に隠されたものを問う。太郎は一瞬、意外そうに瞳を大きくしたが、無邪気な子供のように笑みへと変える。

「さすがは妖狐九稲、と言うべきかな? 良いだろう。君には教えておこう」

 太郎が面白そうにしながら、部屋のモニターをつける。

「これは監視部より確認された不調整神子たちだよ」

 映し出される映像には、幾人もの男女が並んでいる。

「今回、嵩天原での調整を最終段階まで終えていない神子がこれだけいるのだよ」

「何をされていたのですか? 彼方の成すべきことではありませんか」

 それが全て神子だということは、風体を見れば調整を受けた神子との差異は明白だった。明らかな殺意を帯びた目を宿す神子から、誤認した知識に偏る姿の神子、子供のような神子もいた。

「この子たちは元よりの神子力の調整が困難でね。私も反省しているんだが、あまりに自我が強いが故に、最終調整中に職員より逃れて逃亡した。九稲。君たちにはこの神子の暴走を粛清し、安寧なる創世の秩序を守護する。それが役だよ」

「そう言うことですか。人とは所詮非力、と言うことなのですね」

 九稲が本当の任の意味を理解すると、少々毒を吐く。

「それは仕方あるまい。人とは力ではなく、ここを使い生きてきたのだよ」

 太郎が自身の頭を人差し指で小突く。

「考える葦、と言うことですか。分りました。その任、九稲が承りましょう」

「他の神子と違い、加減を知らない子が多い。その力を手にし、契りを果たそうたる赫職への注意も忘れないことだよ。中にはNo(フィフティ).15以内(ーンズ)の神子もいるようだからね」

「問題ありません。どのような神子であろうと、私は科せられし役を果たすのみです」

 九稲は何も臆することなく、太郎に一礼すると室内を後にする。

「九稲、君はまだ理解していないね。大府にいる狐は、君の知るあの子が最上ではないのだよ」

 姿を消し、再び静を取り戻す室内で、太郎は会長席に腰を下ろし、背もたれを微かに軋ませた。

「さて、楽しませてもらおうか。創生の第一段階の幕開けだ」

 随分前に宣下を下した時とは異なり、太郎は静かに序幕を一人、告げた。


 幾星霜の時ぶりの人界か。実に変化に富む人の世よの。何たる愚かなことか。

「天照とやら、(わらわ)が如何なるものであろうと、仕掛けてくるか」

 黄色のようでいて、その輝きは決して黄色ではない、金が夜空に栄える。

「貴様っ! 大人しく投降しろっ!」

 同じ服を纏う人間たちが、深夜の大府の繁華街を封鎖し、たった一人を数十単位で包囲する。

「下らぬ。人間ごときが妾に口を叩くな」

 ふん、と飛んでくる羽虫を払うように、女が手を振るう。その指先から起こされる微かな風の中から、金の焔がたちまちベールのように辺りを輝かせ、熱を帯びさせる。

「構うなっ! 特殊消火弾、撃てっ!」

 列を成し陣を取る先陣数人の構える銃口が女を捕らえる。夜空に響く銃声に女は手を翳す。

「己が無力を弁えろ、人間風情めが」

 掌からあふれ出す金色の焔が女を包み込み、銃弾が炸裂する。焔に焼かれるように消火弾の白煙が焔に弾かれて。

「くそっ! これがNo(フィフティ).15以内(ーンズ)なのか……っ」

「下らぬ戯言に付きおう由はない。散れ」

 女の纏う焔が霧散し、男たちが一斉にその時を待ち、銃を構える。晴れる焔の向こうに立つ女は、口元に両手を組み合わせ輪を作っていた。

狐窓きつねまど)

 女は笑みを浮かべていた。その輪に向かい、吐息を吹きかける。吹きかけられた吐息が、その輪を通った瞬間、金色に輝く茫漠とした巨大な焔の弾となり、対峙する男たちへと飛ぶ。「ひ、怯むなっ! 撃てっ!」

 指揮官の声は、最期だった。

 半ば小さき太陽のごとく、膨れ上がった焔の玉は、四車線道路を覆いつくし、吹き抜けた。放たれた銃弾は、砂糖菓子の弾丸のように灼熱に燃え尽き、そこにいた数十の男たちは一瞬の阿鼻叫喚を残し、炭と化し失せた。それが人間であったと言う痕跡はなく、あるのはただ、焦げ尽きた何か黒い物体。

「なっ……」

「に、逃げろっ!」

「に、逃げるなっ! コードに従えっ!」

 女の背後を包囲していた男たちが、ほんの一瞬の出来事に呑まれた。吹き抜けた(えん)(ぎょく)が車線に沿って飛び往き、やがて突き当たりのビルに衝突し、燃えつき消えた。ビルを一棟破壊して。

「愚たるは常に人間なり。妾が滅してくれよう、積なる苦を以って」

 女の表情は、破壊者だった。振り返る先にいる男たちを捕らえる女の瞳は、金を埋め込んだように一色に染まり、シルクのような白い髪が自身の放つ焔の熱に靡く。

「さぁ、その力を以って妾が前に集えよ同士。(くう)()はここにて待つ」

 空狐は片手を空へ掲げ、掌ほどの小さき金の焔を宿す。

「い、今だっ! 空狐を捕縛しろっ!」

 残された男たちは、それを隙と踏み、有り余るだけの余力を以って空狐へ立ち向かう。

「諦めの悪い人間よの。良かろう。共に妾が礎と成すか?」

 空狐は空に掲げた手の焔を空へ放つ。垂直軌道を行く小さき焔は、一閃を残し雲すら燃やし、はるか上空で四方八方へ分裂し、深夜の星空を昼間の煌きへと変貌させた。まるで、己の位置を知らせ、全ての始まりを告げる合図のように。

狐焔(きつねび)

 そして空狐は空いた片手を迫り来る男たちに構えた。その手には稲浪の青き焔のごとく、金色の焔が宿り、焔柱と化し放射に突き抜ける。

「か、かわせっ!」

「無駄な足掻きよの」

 だが、稲浪の狐火とは別格だった。焔柱に触れたものは当然としての焼死。NBSLより派遣されし証の特殊防火服に身を包んでいようとも、その紋章が焦げ落ち、辺りには硝煙の匂いと、肉の焼ける臭さが浮揚する。解けた銃が熱を帯び、アスファルトに雫のように垂れ、焔柱の直撃を免れた左右でも、烈火を受けたように、街路樹は燃え、避けたNBSLのエージェントたちも重いもので死、軽いもので防火服を燃えつくされ、肌が赤を超え頃に変色し、白煙を立ち上らせ、立ち残るものは一人たりともそこにはいなかった。燃え尽くエージェントの乗っていたトラックが、その熱に爆発を引き起こす。付近のビルのガラス窓が砕け、歩道に音を奏でて散る。

「下らぬことは哀しきかな、とな。妾を阻むものあらば、それすなわち死を以って報いと成せ。妾は逃げも隠れもせぬ。妾が求むる力よ、その力で妾を討ってみよ」

 誰一人、空狐の言葉を紡ぐ者はいない。大都会へと変貌した大府の繁華街は、一瞬にして廃墟と化す。どこかしこから騒ぎの音を聞きつけ、集い始める野次馬と警察消防機関。

「さて、妾も移ろうさの」

 その中で空狐は、次第に騒ぎが大きくなる様子に地を蹴る。飛び上がる脚力に付随する金の鱗のように舞う焔の欠片が昇竜のごとく夜空へ消える。

「ふっ……来おったか。じゃが、汝が一人、妾の相手にはならぬ」

 空狐が金の焔を瞬かせ、空を高層ビルを蹴り飛ぶと、一瞬、上空から降りてくる紅き焔と交差した。

「……この粛清は、私が下します」

 空狐は星空を見上げ、紅き焔は下界を見下ろし、その瞬間の会話だけで、双方は別離した。顔を見合わせるはおろか、互いの持つ神子力を感じ取るように、上下に同時に交差した。

「妾は何たる者をも受け入く。妾の前に集えよ、妖狐よ」

 さらば、と空狐は金の衣を撒き散らし、星の瞬きの中へ消えていった。残す言葉に、振り返る女には、驚きの表情が小さく浮かんでいた。

「……あの者は、もしや……(もの)?」

 大府大阪の中心街、梅田。その一端にあるスカイビル。難波の凱旋門とキャッチフレーズの授けられた、歴史あるビルの屋上。円形に吹き抜ける天井からは遥か眼下に赤く燃える惨状に、続々と集い始める大阪府警と消防、役所の行政から立法までの機関。その中にはNBSLの研究員らしき白服からスーツ姿まで、見下ろせた。

「これを一人で……? 由々しきを引き起こすのは、やはり鬼」

 もはや誰もいない夜空を見つめる所で残るものはない。古来より日本人は鬼と言うものを、怪物ではなく、得体の知れないものを鬼と記し、モノと呼んでいた。

「マスターの仰せは、あの者への危惧?」

 強い風に靡く髪にも金色とは異なる、紅き焔が散る。

「これは、注視すべき対象のようね」

 赤と白の服の居を正すと、九稲は眼下の惨状を焼き付けるように沈黙を守った後、表情を険しくさせ、空へと跳んだ。


「やはり、動きましたね。大伸狐(だいしんこ)は」

 遠くの空より響く夏の夕立音のように響く、爆発音と揺れる窓。子供が夢の世界へ旅立ち、その安寧を見守る母のような温もりは、静かに鎮座していた。

「誰が何を起こそうと、手は出しません。しかし、私の領域を侵犯するならば、全てを排除します」

 それは暗闇に消えていく決意ではない。暗闇に微かな明かりが点る。

《それは君が判断することだ。私はそこまで関与はしないよ。ただ、今回ばかりは、と思っただけさ》

 事態が悪化を辿る一方で、ここはあまりに静か。吐息すら煩く思えるほどに。

「状況に関知はしません。私は私を守り通す役目があります」

《では、大府が戦況に兢々された日々に陥れられようと、動き出すことはしないと?》

 通話中にも爆発音が響き、救急と緊急のサイレンが響く。しかし、ここでは誰も感知しない。

「私は狗とは異なります。私を頼る由々しき自体であるならば、もう少し緊張を持つべきでは?」

 その声に、笑いが返ってくる。

《まぁ、君の我が強いことは承知している。だからこそ、不調整の神子への対応への支援を、こうして直々に申し込んでいるのだけれどなぁ?》

 含みを持たせ、語尾が上がる声にも動揺しない。

「私は、予め予測はつけておりました。故に手遅れの事態を招いたそちらへは感じえるものはありません」

 その時、地震が発生したような小さな揺れが、建物を軋ませる。

《随分大きいようだ。こちらも揺れているよ。今、九稲を向かわせたが、彼女単体では収められはしないだろう。何しろ赫職がいない》

「それはこちらも同様です」

 電話を携えたまま、立ち上がり、カーテンを捲る。夜空が金色に輝いていた。言葉では無関心を伝えつつ、眩い光を前に表情は険しかった。

《どうしても手は貸してもらえないかい?》

「同じ返答を変えるつもりはありません」

 即答する返事に、やれやれと小声が帰ってくる。

《仕方ない。ならば私の知る期待神子と赫職に援助を申請しようかね》

 男の言葉に眉が微かに動き、動向を聞き分けようと沈黙する女。

「……それはけしかけではないのですか?」

《それは君には関係ないだろう? 私は君に断られ、新たなる選択をした。もう君への関係性はないはずだよ?》

 言葉による攻め。自ずとその先にある答えが、互いに交差へと向かう。しかし、決意を見せた以上、女は通話口にそれ以上のことを言えなかった。それは男の策だと気づいている証。

《では、夜分に手間をかけて申し訳ないね》

「……ええ。弁えない殿方ほど、嫌いなものはありませんので」

《私は皆への惜しみない愛を約束しているよ》

 そこで室内に暗が戻る。聞こえるは、小さな吐息。

「ほんに嫌いなお方です、貴方と言う人は」

 もう返答を得ない電話に、そう呟くと、夜空の眩さを遮断するようにカーテンを閉じた。







 =予告=


「はい、第二回目予告が始まりました。今回も私が担当します」

「ふむ。妾は何をすれば良い?」

「そうですね、とりあえず自己紹介でもしていただきましょうか?」

「紹介とな? それはそちがするものではないのか?」

「それもそうですね。では、今回のゲストは、大伸狐空狐様です」

「うむ。良しなに頼もう、愚かな人間よ」

「いきなり人を中傷とは、さすがですね」

「褒めの言霊として賜っておこう。二度は無いと心せよ、貴様」

「ええ、気をつけましょう。ここで焔を使われては適いませんので」

「ならば話を進めよ」

「はい。前回、エンさんがいらしましたが、今回は敗北神子もおりませんので、特別に神子紹介コーナーを付随させていただきました」

「それで妾か? 他に紹介する神子もおろうに」

「マスターからの指示ですので」

「またあやつか。実に懲りぬ男よの」

「大人しく来られる貴女も貴女では?」

「ほっほ……貴様、妾が空狐と知っての言葉のようだの。死するか?」

「遠慮いたします。と、言うところで、本日のゲストは狐族より参戦された空狐様です。性格はこの短時間の会話よりご想像下さいませ」

「ふふっ、実に面白きよ、貴様。気に入ったぞ」

「それはありがとうございます」

「しかし。前回の予告とやらと差異ある内容のようだが、貴様、どう釈をするつもりだ?」

「ええ。その点に関してはご説明いたします。前回、稲浪さんが……と発言しましたが、これはあくまで新章のプロローグですので、前回の次回予告は次回より始まる一神抄よりお楽しみ下さい」

「いい加減な言付けよの」

「なんと言われようと、そういう構成でしたので、私はそれ以上存じません。文句がお有りの方はこのコーナーを無視すれば良いだけのことです」

「開き直りか。その性格、妾は気に召したぞ。いずれは貴様と交えてみたいものだの」

「お断りします。そこは私の出番ではありませんので。さて、では次回予告です」

「それは前回しておろう?」

「追伸部です。内容は前回を引き継ぎます。私が承ったのは、更新日程に関してです」

「ならばそう申せ。相変わらず昔と変わらぬな、貴様は」

「ええ、貴女も。では、次回更新予告です。更新はユースウォーカーズとifと更新後に更新するつもりですので、7月16日程度になるとのことです」

「また退屈な時間が空くのか。実につまらん」

「その間に下手なことは避けてくださいね。九稲様が馳せ参じますよ」

「それも良いな。狐同士の戦も悪くはない」

「今回のような被害を起こした場合、いいえ、私が領域を侵した場合においては、私も黙って見過ごしは致しませんので」

「ほっほっほ、それも良い。だが、貴様と交えるは時期尚早というものであろう?」

「ええ。あなたが私の元へ表れることが出来るかを、私はお待ち申し上げませぬ」

「まずは、狐じゃ。あやつには妹もおろう? これを聞いておるや? 稲浪とやら。聞いておるならば参れ。強気を望むならば、姉妹より妾が下へ参れ。妾が魅せてくれようぞ」

「楽しげなのは良いですが、そろそろお別れの時間です」

「ほう、早きものだの。致し方あるまい。愚かなる人間よ。死にたくなくば、妾を楽しませよ。妾が望みを叶えたる者に、妾は望みを与えて進ぜよう」

「そうやって人を愚弄されていると、足元を掬われますよ、空狐様」

「妾が待つは、それこそ。さて、用は済んだの。妾は往くぞ」

「ええ、わざわざのご足労ありがとうございました」

「貴様も、夜月が金色に輝く夜には、出歩かぬことだ」

「肝に銘じておきます」

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