2.2 お嬢様、ご機嫌を直してください。
「お嬢様、もう許してくださいよぅ……」
従者として、こんな謝り方はないとは彼も理解している。だが、残念なことに他にどうしたらよいかがわからなかった。あれから散々謝り倒したにも関わらず、ルーリアの機嫌は悪い。
ザビーネの依頼を受けて仕事場へとやってきたというのに、主人がいつまでも仏頂面を続けているのでは、どうすればよいかわからない。途方に暮れかけていた。
元から音もないため息であったが、それも喧騒に呑み込まれてしまう。所在なさげにゾフィが辺りを見回せば、ガタイと威勢のいい男たちが、やいのやいのとやっている。
(騒がしいけど、お祭りっていうのはそういうものか)
ザビーネからの依頼は、春の祭りを手伝って欲しいというものだった。来る秋に向けて、豊穣祈願を行うのがこのお祭りの趣旨だ。神事は厳かなもの――それが彼の中の知識であったが、実際に目にすると、これまでになかった感想が胸に湧く。
「……貴方に対して怒っているのでは、ありませんことよ?」
「え?」
独り、考え事をしていた少年執事へ向けて、主人はようやく口を開いた。今あった言葉の通り、怒っていることは間違いないようだ。
むっすーとした雰囲気を崩さず、視線はゾフィには合わせない。頬杖をついた姿勢はお行儀が悪いが、今は問うまいと彼は自制してみせた。今は問うまいと言えば、気絶する程に頭を締め上げられても謝るしかないこの境遇についても、今は問うまいと自分へ言い聞かせてみたりもしていた。
「不幸なことに、誰も悪い人がいないってことはわかってます。ですから、多少の八つ当たりは我慢なさいな」
ルーリアの視線の先には、祭りの準備を進める男たちを労う青髪の少女の姿があった。二人が彼女に連れられてから、待機をしているのが今の状態だ。その間、多くの人に挨拶をして回るザビーネの姿をずっと眺めていた――分け隔てなく笑顔で接する領主の娘は、なるほど確かにアイドルなのだな、と少年は一人納得をしていた。
「――ゾフィ、聴いてますの?」
「あ、すみません。ちょっとボーっとしていました。お嬢様が僕やザビーネ様に怒っている訳ではないということは、理解をしたつもりですが」
ついつい自分の世界に浸ってしまっていたことに気づき、ゾフィは素直に謝罪を述べていた。実際、主も彼に対して怒っている訳ではないようで、そう? と一言を告げると、話の続きを始めていた。
「どこまで話したかしら? ええっと、そうね――今朝はあのように言いましたが、お金がないこともわかっていますわ。ですから、恥を捨ててザビーにお仕事を頼んでいましたの」
(嘘だ、何でパンがないのか本気でわかってなかったぞ!)
今度こそ、今度こそ彼は胸中で毒づくことに成功した。頭を握りつぶされかけた記憶が脳裏を掠めたためか、不平を表情にすら出すことはない。完璧だった。
「トータルで言えば、文句はありませんの。ですけどこの仕事はちょっと……折角ザビーネが用意してくれましたが、一部に不満ありなのよ」
「ああ、そのことですか。それはもうお仕事ですから、諦めてくださいとしか言いようがないです」
あはは、とゾフィは乾いた笑いで応えていた。ルーリアの不満の原因がわかれば、幾らか安心が出来るというもの。主人の機嫌が悪いこと、それはこの先の仕事の結果に直結してしまう。人がたくさん集まるお祭りで魔力をぶっ放されたら、もう目もあてられない。
安心をすると不思議なもので、少年の心は、また新たな疑問に突き動かされる。何故お嬢様はこれ程あの方を嫌うのだろうか――と。
「ゾフィは、あれの裏の顔を知らないからよ」
「――――っ、な、何のことですかっ」
お嬢様の言葉に、少年執事は思わず姿勢を正してしまった。自分の考えが読まれたようで、そら恐ろしい感覚に見舞われてしまったとでも言うべきか。
「そんなの、見りゃわかるわよ。私の職業を何だと思ってるのよ?」
「……暴君でしょうか」
「へぇ、面白いわね。もう一回言ってくださる?」
「申し訳ございません。ご容赦ください」
ふぅ、と吐かれた息に連動するように、お嬢様の肩からは力が抜けていった。
機嫌は悪いことに違いないが、何とか堪えようとしていることが、彼には良くわかった。永く仕えているものの、イマイチ主のことは掴みかねる時がある――執事長にすれば、ゾフィがまだまだ若いためらしいが、彼には時間でどうにかなるようなものではないように思えてならない。
それはともかくとして、賑やかなことが好きなルーリアが、祭りの場でこんな物憂げな表情を浮かべていることが、彼には気がかりであった。
話は午前中に遡る。クルミのように頭を割られるという事態を回避できたゾフィは、客人へと紅茶を注いでいた。突然のザビーネ来訪の意図がわからず、首の一つも捻りたい気分でもあった。しかし、彼女の執事であるアベルが直立で見守っている姿を見ては、口を挟むことも出来なかった。
「わざわざごめんなさいね。無理を言っているのはこちらですのに」
「いいえ、いいのですよ。前回は大いにルーリアに助けていただいたのですから」
花咲くような笑顔をザビーネ嬢は浮かべている。
(実際に、アレはなかなか大変な事件だったなぁ)
テキパキとおもてなしを進めながら、少年執事はザビーネの言う“前回”というものを思い出していた。
領主の屋敷から聖遺物が盗み出された――これが依頼内容であった。それにしても、まだ実績も何もない探偵へとよく依頼したものだとゾフィは思う。それもルーリアの持つ二つ名“パンツァーシュテッヒャー”があってこそであるが。
結局、事件はお嬢様のチカラワザで無事? 解決された。だが、犯人が頭にパンツを被って大暴れした、などということは言って回る訳にはいかず、探偵事務所としての輝かしい実績も世間には全く認知されることはなかった。
「助けていただいたのに、報酬も受け取らずルーリアは帰ってしまわれたのですから。アベル――」
「それには及ばないわ。アレは以前からの相談に応えた、その程度のものよ」
執事がやや重たそうな皮の袋を持ち上げたところであったが、金髪の少女はそれを早速に制する。爽やかな表情を浮かべる彼女であるが、下僕の身としては心中穏やかではない。
(お金がないって言ってんのに、何してんだ!?)
「ゾフィ、お黙りなさい」
「な、何も言ってません!」
咄嗟に反論してみたものの、「物言いたげな顔をしてますわ」の一言で、少年執事は太めの釘を刺されてしまった。
「ザビーネには、昔からよくしてもらっているもの」
「あら、こちらこそがお世話になっているのですが……」
二人の話を聞きながら、ゾフィは少々辟易とした思いに駆られる。貴族は体裁や面子を大事にするため、実利に合わないやり取りを繰り広げることもある。主のことは尊敬しているが、こうした政治的なものを庶民の少年は理解が出来ないでいた。老執事の方へと視線を向けると、無言の頷きが返ってくるのみである。
つまらない応酬が続くのだろう、今日からのパンはどうしたものか――そんな事へと意識を向け始めた頃、ルーリアの表情が不意に変化したことを少年は見逃さなかった。
「うん、そうね。ザビーが言うなら、仕方ない。私は案外、よくお世話をしてますわね」
「その通りです。ですからこの報酬を――」
「前回の依頼は、この事務所にとっては宣伝を兼ねた大事なお仕事だったのです」
ザビーネの言葉がやや強引に遮られる。うん? と頭に疑問符を浮かべたザビーネは尚も食い下がる。
「ですから、この報酬を――」
「宣伝が出来ていれば、今頃大忙しだったのよねぇ」
またしても相手の言葉は遮られていた。ここに来て、厭な予感が少年の胸へと舞い降りる。このお嬢様がさわやかな笑顔を浮かべる時は、大抵の場合何かわがままを言うのが常だ。
「ザビー、私たちって友達よね?」
「え、ああ、はい。勿論です」
「友達が困ってたら、助けるものよね?」
「はい、助けたいと思います。ですので、引っ越してきたばかりのルーリアには、この報酬――」
「流石ザビー、私を助けてくれるのね?」
何ということだろうか。言葉を遮られる少女は、若干の涙目で少年執事を見つめていた。助けてくれということに違いない。だが、少年は申し訳なさそうな表情で応えていた。何とかして差し上げたい――そんな気持ちはあったが、こうなったルーリアを彼には止められない。
「な、何でも言ってください」
「それでは、お仕事をくださいな!」
鈴の鳴るような、綺麗な声でこの上ない下衆さ。にも関わらず、そこには有無を言わさぬ凄みがあった。結局、ザビーネは春のお祭りを手伝って欲しいの、という言葉を半泣きで言うハメになっていた。
自分から“お金がない”とは一言も漏らさずに仕事を得てしまう。そんなルーリアを見て、下僕の少年は人知れず頭を抱えていた。頭痛を堪える彼へ、アベルは無言で「苦労しますな」という視線を向けていた。
「お嬢様、本当にザビーネ様はいい人ですよね」
「勿論よ。自慢の親友よ? ……何を今更言っているのかしら」
「――もうっ!」
回想から現実へと戻ったゾフィは、皮肉を言ったつもりだった。だが、天然な少女にはまるで通じない。唸ってみても、主人は憐れむような視線しか返すことはなかった。
「ゾフィは時々、変になるわね」
「お嬢様が自由過ぎるだけです」
わがままの末、こうして依頼を手に入れたものの、何をすればよいかは皆目見当もついていない。元々は、別人に依頼する筈の仕事だったのだから当たり前だ。無理矢理に手に入れた仕事であるのに不満を溢すルーリアは、自由どころか破天荒そのものだった。
「お嬢様、図らずもリディアーヌ様のお仕事を奪ってしまった形なんですから、ケンカはしないでくださいね?」
「その名前、耳にもしたくないわ」
再び、むっすーとした表情へと戻るルーリア。いつもならここで放っておく執事であるが、本日はお仕事で来ているのでそういう訳にもいかない。
「知らない仲ではないのですから。対処方法もご存じですよね? 今日はお仕事だと割り切っていただけませんか?」
「対処方法は勿論心得ています。ですけど、それは一対一ならですわ」
「え、それってどういうことで――」
「来たわ……ああもう、面倒くさい」
言葉の途中であったが、主が言葉を被せるものだから、ゾフィは最後まで話すことが出来なかった。ルーリアの表情が、一気に物憂げなものへと変わる。それは、彼女の言葉の通り、この場へやって来た人物の影響であることは一目瞭然であった。
「まーー、お久しぶりね。ソフィアー、お元気でしたかしらぁ?」
「お、お久しぶりです、リディアーヌ様」
視界に入ったかと思いきや、凄まじいスピードで、それは迫って来た。ガシっと腕を掴まれた少年は、思わず二三歩は後ろへ下がって挨拶をする。覆いかぶさられると、生き物は危険を感じるらしく、本能で逃れたがっていた。
金髪碧眼――スラリと伸びた背は、ゾフィの頭一個程高い。少年執事は背が特別低くはないが、高いという程でもない。こうして並ぶとまるで子どもに見えてしまう。ルーリアとはまた違う種類の美貌をもった彼女を表するならば“厳か”であろうか。
シュトライヒャーよりも少し格下にあたるが、彼女は貴族である。後ろには地味な黒髪の侍女が控えている。ロールした長い金髪を振り乱して少年執事へ迫っているが、お連れは、いつものことであるかのように、主人へは何を言う訳でもない。
実際、魔術科時代ではいつものことであった。下僕の腕を取るリディアーヌを前に、ルーリアは顔を片手で覆ってため息を吐く。曰く、本物の魔女――ルーリアに並び称される魔術科きっての天才が彼女だ。
見た目は非常にクールであるが、ゾフィへ語り掛ける様は、歳相応どころか随分と幼く見える。巻き髪とは反し、動きやすそうなぴったりとしたズボンとブラウスを身に着けていた。お嬢様然としているのに、スマートな服装は案外と似合って見える。
彼女――リディアーヌ・ド・エラールとは、少なくともそのような外見の人物だった。
困ったことに、鋭い見た目に反して彼女は可愛い物が好きで堪らない。今もお眼鏡にかなった少年が、こうして離した距離を詰められている。ちょっとした騒ぎにもなったか、ザビーネへと熱い視線を送っていた男たちも、新たに現れた少女へ熱いものを送る。それと同時に独占している形のゾフィへは、恨みのようなものを届けていた。
「リディアーヌ様だなんて、他人行儀な。リディでよろしくてよ、ソフィア?」
「あ、あはは、僕の身分じゃ畏れ多くて、とても」
下がった距離をまたゼロに戻されたゾフィは笑うしかない。身分の差以前に、美人に迫られるとある種の恐怖というものがやってくる。彼は常にハイテンションで現れるリディアーヌを苦手としていた。だが、周りがゾフィと呼ぶ中、一人ソフィアと彼を呼ぶ彼女から親しみを感じていることも否定出来ない。
「いい加減に離れなさいな、魔女め」
「あら、居ましたの? 三流僧侶」
不意に飛び込んだ言葉に、リディアーヌは表情をストンと落として対応していた。先程とは真反対の表情だ。対するルーリアは彼女に負けじ劣らぬ程に瞳を鋭くしている。
「私を三流と呼ぶのは貴方くらいなもの……それよりも、毎度毎度、人様の物に手を出すのは品がなくてよ?」
天真爛漫なルーリアにしては珍しく、言葉の端には毒のようなものが浮かんでいる。先程までの厭がる表情とはまた別に、メラメラと何かが燃え上がっているように、ゾフィには見えて仕方がない。
「あーら、人身売買はご法度よ? 彼を所有するのは彼自身。束縛しようだなんて、ナンセンスですこと。ソフィア、こんな猪は見限って、いつでも我が家にいらしていいのですよ?」
「人の従者を引き抜こうだなんて、それこそ品のなさを露呈していると言うものですわ。ゾフィ、下劣な人間の言うことは聴く必要はなくてよ!」
何よ? と二人してハモった声が、お互いの台詞の後に響く。ゾフィとしても見慣れた光景であるが、乾いた笑いを溢すくらいしか出来ることはない。魔術科時代に、あれこれと試てみたが、どう転んでも胃袋が荒れる結果にしかならなかった。
職業の違いか、はたまた生まれ育った地域の違いか。いつでも二人は張り合う形になっていた。言い合いで済めば恩の字だ。下手をすれば、純粋な魔力と最高峰の魔術がぶつかりかねない。
避けようもないことなので、鳩尾の辺りを押さえながら、従者は最悪の事態を避ける方法をひたすら考えていた。
「お嬢様方、本日はお仕事です。この辺りでご容赦ください」
(で、出たっ!)
鋼を思わせる無機質な声、エラール家のメイドであるアルベルタが仲裁に入っていた。実はゾフィは、リディアーヌ以上に彼女を苦手としていた。心の声を漏らさずに済んだことは僥倖だった。主人へは尊敬の念を持って使える少年にとって、この冷たさが目立つ少女を理解することは難しい――だが、彼女が冷静に場を収めるまでが、いつもの流れであることも確か。
地味なアルベルタであるが、着込むメイド服には一部の隙もない。無表情、無機質な声と相まって何とも言えない迫力が備えられていた。リディアーヌへ関心を向けていた一部の男が、何だか叱ってもらいたいという表情を浮かべていたが、少年はそれらを無視するよう自身へ言い聞かせる。
「そうですね、我々は仕事で来たのでした。そうですよね、ルーリア様。ね?」
「……わかりました。これ以上はやめておきましょう」
「私、猪の提案は聞きませんが、ここはソフィアの顔を立てておきますわ」
まだ言いたいことは残っていたようだが、懇願するような彼の後押しを受けて、二人のお嬢様は構えを解いた。不思議なもので、それだけで周囲にあった緊張感も霧散していくようであった。
「お二人とも、ありがとうございます」
別に感謝するようなことではないのだが、ついゾフィはこの言葉を漏らしていた。ともかくトラブルを起こす面々であっても、彼は彼女らを嫌いにはなれない。
好きの反対は無関心だ、と何処かで聴いていた少年は、主人が彼女のことを憎んでいる筈はないと信じていた。
「では、早速ですが」
その場がまとまったと理解をしたアルベルタが、大きなトランクから一枚の手紙を取り出していた。一同の注目がそちらへと注がれる。
「先日、ザビーネ様から主人へと依頼がありました――困った手紙が届いた、と」
淡々と紡がれる言葉には、妙な説得力があった。それは今現在、準備中のお祭りに関わるものだと、その場の誰もが察するには数秒もかからない。
魔女が腕組みの姿勢のまま視線を送ったことを確認し、メイドは手紙の中身について話した。
「簡潔に申します。お祭りを中止せねば、ザビーネ様をはじめとする来場者を無差別に殺害する……そのように書かれております」
「――はぁっ!?」
素っ頓狂な声を上げて、少年は後ずさる。世界に溢れる魔力は、天候の一つにも大きな影響を与える。数的な測量はそれなりに進んだ筈であるのに、未だに天気を予測することは困難を極めた。
そのままにしては予測もつかない。そのため、世界の魔力が滞りなく流れるよう、神事、祭事は欠かせない。それを中止しろというのは、この世の理を知らぬバカか、単なる破滅思考か、それとも――
「まぁ、その反応が普通ってやつですわね。ソフィアもよく知るとおり、豊穣祈願はこの国にとって欠かすことの出来ない儀式。冷静に対処する必要があるため、この“魔女”リディアーヌ・ド・エラールへ依頼が入ったということね」
「大事じゃないですか……お嬢様、これは僕らの出番なんてないですよ。今回は大人しく――」
二人の説明を受けて、ゾフィは主人を諌めにかかった。こんなものは歩く魔力庫のルーリアに向いたものではない。少なくとも、何か起こった時に回復魔術も唱えられないような三流僧侶の出番はないものと思われた。
だが、少年執事の言葉は遮られる。そう、本日何度目だかもう数えるのもバカらしい。
「ふ、ふふふふ」
それまで面倒くさそうにしていたルーリアに、活力が戻った瞬間であった。事件とは、彼女の活躍の場――丸まった背を伸ばし、お嬢様はいつものようにビシリと指を差して告げる。
「ま、まさかお嬢様っ」
不敵な笑みを浮かべる主人へ、義理で驚きの表現を従者は披露する……鳩尾の辺りを押さえながら。
「この事件、既に解けたわ! そう、これは――――ヘンタイの仕業ね!」
「……あ、はい」
「何ですの、その顔は?」
またも少々ムスッとした表情を少女はしてしまうが、この程度あれば問題ないとゾフィは胸を撫で下ろしていた。そして、彼女のポーズがそうであるように、恒例になったツッコミを彼は入れるのだ。
「お嬢様、推理が雑です!!」
国を挙げてのお祭りを狙った事件――ヘンタイの仕業かはおいて、時計の針は動き出した。