第七話 弟子は二人で舞い踊る
それから十五分のインターバルを取り、私たちは混沌と化した状況からようやく立ち直っていた。
ちなみに内訳は私とハクヤの笑いが収まるのに五分、コクエの赤ら顔が元に戻るまで五分、イジケテ地面に『の』の字を書き続けるアレクを宥めたり賺したりして機嫌を取るのに更に五分という所だ。
ちなみにアレクの機嫌取りには予想通りかなり苦労を強いられたが、「一ヶ月間私を自由にしてよい」という条件を餌にした瞬間、すぐさま食いついてきた。
…目が血走っていた気がするがこちらが出した条件だけに今更取り下げるわけにもいかず、この件が終結したらすぐさま捕縛されることが決定した。
そしてこの白黒双子だが今更説明するまでもないが兄弟ではなく兄妹である。
昔、あるごたごたに巻き込まれた際にしばらく面倒を見ることとなり『師匠』と呼ばれるに至ったわけだ。
…しかし。
「何故私に会いたいなどと?お前たち、かなり遠い所に居たんだろ?」
私の質問に二人は顔を伏せる。
その顔には先程までの笑顔は…無い。
噛み切れんばかりに下唇を噛み、何かを逡巡している様子であったがやがて意を決したように顔を上げる。
「……もう一度俺達に修行をつけてくれませんか?」
「…お願いしたい」
真剣な顔で二人は私に詰め寄る。
私は目を細めて二人を見やる。
「……俺達が護衛屋をやっているのは確か前に話しましたよね? それで俺達…、俺達初めて命を賭けても護りたいと思える人が出来たんです」
「…でも、護れなかった」
間を置き話し出した二人の顔にはありありと慙愧の念が浮かんでいた。
「悔しくて…。何も出来なかったのが何よりも悔しくて………」
「…過信してた。自分たちの力を」
その感情には私も覚えがある。
自分の掌から砂の様に零れ堕ちる大切な者の命。
自分の非力を悔やんで、呪って、絶望して。
こんな不条理を許す世界を恨んで、呪って、絶望して。
気が付けば、心は黒く染まりきっていた。
彼女がくれたたった一つの光すらもいとも容易く塗り潰されるほどに。
「もうこんなのは嫌なんです! 自分のせいで……、自分が無力なせいで何もかも失うのは!」
「…せっかく手に入れた光を二度と失いたくないから」
正直驚いていた。
「だから!」
「…だから!」
あの日。
あの時。
あの場所で。
『力を…大切な人を護れる力をください!』
私が師匠に言った言葉と同じだったから。
少し誇らしく、少しこそばゆく感じながらも、目を逸らす事無く二人の漆黒の瞳を見返し、私はあの“言葉”を口にする。
「大切なものを護るのはいつも命懸けだ。覚悟はあるか?」
その“言葉”はあの時、私が師匠に言われたもの。
『あります!』
思わず顔から笑みが零れる。
そして気が付けば、私が師匠にしてもらったように、二人の頭をくしゃくしゃと撫でていた。
それをきっかけに二人は私に抱きつき、嗚咽を上げて泣き始めた。
少しの間の後、私は二人の頭を撫でる手を止め、後ろに振り向く。
「…さて、話はここまでだな」
「……あ〜来ちゃいましたねぇ」
「まぁ元々こちらから動くつもりはなかったからな」
相手側に索敵が出来る魔物が居ると分かった時点で動き回る理由が無くなった。狙いは私と決まっているようだしな。
メインストリートの魔物も大半は駆逐した訳だし、まぁこれ以上大きな被害は出ない、とも踏んでいた。
さすがにそうでなければこんな所で談笑しているわけにもいくまい。
「えっ、何が来たんですか?」
「…敵?」
泣き止んだ二人が私とアレクが見ている方向を見て少し掠れた声で疑問を投げかけてくる。
…ふむ。魔力の動きが読めないか。
やはりこの二人はもう少し魔力系統の修練が必要なようだな。
「まぁ、言わば今回の襲撃のまとめ役だ。…シレン級か?」
「……そのようですねぇ。てっきりロキ級が直接来ていると思ったんですけど…」
私もだ。しかし、どこかに潜んでいる可能性も無きにしも非ず。
……油断は出来ない、か。
「とりあえず、お前たちを私の護衛として雇う」
『…え?』
私の急な提案に二人は呆気にとられている。
「今私も命を狙われているからな。それになによりお前たちに必要なのは実戦だ。…で」
私はニヤリと笑いながら続ける。
「今から此処に来る魔物の相手をしろ」
「えーと、ただのシレン級ですよね…? なら問題ありません!」
「…問題無い」
常の威勢を取り戻した二人は余裕といった感じで返答してくる。
まぁ、この二人ならシレン級如きに遅れは取らないだろう。…普通の、ならな。
ちなみに先程まで戦闘していた『ケルベロス』はフィア級である。
簡易的に戦闘能力を比べればシレン級はフィア級の五倍近い戦闘能力を有する、と言われている。
そう考えるならば今から此処に来るシレン級も敵では無い様に思える。が、実際そう甘いものではない。
私とアレクが数メートルほど下がり、ハクヤとコクエが数メートル前に出て腰に下げていた鞘から抜き放った得物を構える。
この二人の得物は『太刀』と呼ばれるものでこの二人の出身地で多用されている刀剣だ。
しかし二人の太刀には通常のソレとは圧倒的に異なる部分がある。
青白く光っている柄の部分には『トリガー』があり、刃の逆側には細長い噴射口の様な穴が開いている。その噴出口のせいか通常の太刀と違い少し肉厚なようだ。
…聞きたくはないが聞かねばなるまい。
私はコメカミを押さえながら二人に声を掛ける。
「………それは誰から貰った?」
「伊達眼鏡でいつも白衣で、エメラルドグリーンの髪の人ですけど?」
「…師の弟子だ、と言ったらくれた」
予感的中。
「あの人ですねぇ…」
「あいつだな……」
横で苦笑しているアレクに頬を引き攣らせながら答える。
あの、お節介め…。
「どうし…」
私たちの徒ならぬ様子を見て何事かと二人が聞き返してきた瞬間、突如として轟音が響き渡る。
『なっ!?』
思わず声を上げた二人が瞬間的に身構える。
音源は私たちの視線の先、およそ二十メートル程離れた場所だ。
土煙が上がり何が居るのかは視認出来そうにない。
どうやらメインストリート沿いの建物の屋上から飛び降りてきたようだが。
「思ったより大きいな」
「正面から来るんですねぇ。不意打ち嫌いなんでしょうかね?」
「そこまで頭が回らないだけだろう」
「二人とも落ち着きすぎじゃないっすか!? ってかあの状態で大きさとか判るんですかっ!?」
私とアレクの他人事のような話しているのを聞き、思わずハクヤがこちらに振り返ってツッコミを入れる。
お前、ツッコミも出来たのか…。
そんな場違いな感慨に浸りながら私はニヤリと笑って答える。
「私たちは戦わないからな。それに敵の大きさが判らないのはお前の修練が足らないからだ」
「ですねぇ」
私とアレクがニヤニヤと笑いながら話しているのを聞いたハクヤが反論しようと試みるが図星であるため反論出来ないのか、何やらしかめっ面をしてこちらを睨んでる。
…実際の所、その様を見て私は安堵していた。
先程の話、引きずっていないと良いがと思っていたのだが、どうやら要らぬ心配だったようだ。
………強くなったんだな。
先程とは違う笑みが自然と顔に表れていた。
中々心地よいものだな。こういう気持ちも。
「…来る」
「でっかぁぁぁ!!」
コクエの声で再び前を向いたハクヤが驚嘆の声を上げる。
土煙を抜け、姿を現したのは二メートル近い人型の胴体に牛の顔が乗っている魔物、ミノタウルスだ。その胴を頑強そうな赤い鎧で覆っている為、唯でさえ見上げるほどの巨躯であるのに、更に巨大化したような錯覚を覚える。
「ガアアアァァァッッ!!!」
姿を現したミノタウロスが両手の戦斧を振り回しながら雄叫びを上げる。
その余りの迫力に完全に気圧されているハクヤ、コクエを無視し、濁った声で私に話しかけてくる。
「貴様ァ、ナゼ動カナカッタ」
「お前らもこちらの場所が分かっていたのだろう? ならば余計な体力を使う必要はあるまい。雑魚も粗方殲滅したしな」
私が挑発するように鼻を鳴らして嗤うと、ミノタウロスは鼻息を荒くしながら口元を歪める。
「クエヌ男ダ。アノ方カラ、聞イタトオリダ」
「あの方? ロキ級か? そいつは此処に居る?」
「答エルスジアイハナイ。死ネ」
話はそれで終わりだと言わんばかりに更に鼻息を吐き出し、両脚に力を込められる。
そして私に向けて飛び出そうとした瞬間、その両の二の足から血が噴き出す。
「…ッ?」
「お前の相手は俺達だ」
「…舐めてると首、落とすよ」
言うまでもないがミノタウロスの両足を切り裂いたのはハクヤとコクエだ。
私がミノタウロスを挑発している間に一足飛びに間合いを詰めて脚を切り裂いたのだ。
ミノタウロスは未だ血が止まらぬ両足に力を込めて強引に出血を止めると両手に持っている斧を左右に居るハクヤとコクエに向けて横合いから打ち付けた。
それを太刀の腹で辛うじて受け止めたハクヤとコクエだが勢い余って私達の所まで吹き飛ばされてくる。
それを受け止めた私とアレクだが、私が受け止めたハクヤが思いっきり頬を引き攣らせて私に捲くし立ててくる。
「ちょっ! アレの何所がシレン級なんですか?」
「何を言う。あれはまごうことなきシレン級の魔物だぞ」
もともと魔物はクラス分けされているとはいえ、ピンキリなのだ。
何千年も生きているようなロキ級の魔物も居れば、数百年しか生きていないようなロキ級も居る、といった感じだ。
そして、今、視線の先でこちらを見据えているミノタウロスはシレン級の中でも間違いなく上位に位置するシレン級だ。
「まぁ相手は魔力を身体能力上昇に費やしているようだから、魔法は使えないだろう。楽勝じゃないか? 安心して私を護衛してくれ」
「いやいやっ! そういう問題じゃないし! ってかどんだけ尊大!?」
昔から師匠とか依頼人というものは尊大だと相場は決まっているものだ。
敬語を使うことすら忘れて、ボケをやっているとは思えないようなキレのあるツッコミを披露してくれている弟子の姿は非常に好ましいのだが状況が状況だけに今は心を鬼にするしかあるまい。
「では、アレク」
「はい! じゃあ、せーの…」
弾けんばかりの笑顔を浮かべているアレクと共に受け止めていた弟子たちを…前へ蹴り飛ばす。
「え?」
「…鬼」
ほらほら、呆けてたり、悪態をついてたりする暇なぞ無いぞ。
ミノタウロスが再び咆哮する。空気が震動して辺りの窓ガラスが震え、ヒビが入っていた物は尽く割れていく。
「ちっ! 腹決めて行くぞ!」
「…当然」
悪態をつきながら飛び出す様に間合いを詰めていき、左からはハクヤ、右からはコクエが切り込んでいく。
その姿を見ながら隣に来たアレクに声を掛ける。
「いざとなったら…あいつらに『盾』頼むぞ」
「わかってますよ〜」
私の要望に人差し指で虚空に複雑な集束陣を展開しては消して、展開しては消して、と繰り返しながらアレクは二つ返事で応える。
「すまないな。あれでも大事な弟子なんだ」
素直に礼を述べ、素直に思っていることを口にした。らしくないかもしれないがこれが本音だ。
そんな少し湿っぽい心情を察してか、アレクは悪戯っぽく笑いながらこちらを見上げ口を開く。
「夫の頼みを快く聞き入れるのことも良い妻になるためには必要なことですからねぇ」
私の顔が思いきりしかめっ面になったのは言うまでもない。
すでに数度の接触を繰り返しているハクヤとコクエは数の利を生かして波状攻撃を繰り返していた。
ハクヤが大上段から大振りに太刀を振り切り右の斧を勢いに任せて弾き、肩口を切り裂く。
ミノタウロスがハクヤの攻撃の隙を突こうと空いた左の斧で薙ぎ払おうとした瞬間を狙いコクエが胴を切り裂き、返す刀で二の腕を切り裂く。
一見、二人が圧倒しているようにも見える。
「んんん、あのままだとマズイんじゃないですかぁ?」
隣にいるアレクが難しそうな顔をして呟く。
確かに手数と素早さで攪乱して誤魔化してはいるが、どの傷もシレン級に致命傷を与えるには程遠く、いずれ押し切られるのは目に見えていた。
あいつらにはまだ幾つか隠し玉が有るはずだが、それを出さないのは自分たちに制約を設けているのか、相手を舐めてかかっているのか…。
どちらにせよあの二人の実力では力を隠してどうにかなる相手では無いんだがな…。
その懸念が現実のものとなる。
「ぁぁぁああああああッッッ!!!」
ハクヤが貯め込んだ息を吐き出しながら、左から叩き付けるようにミノタウロスの右腕を狙う。
しかし、腕のあまりの太さに半ばまで切り裂いたところでその刃が止まる。
「こなっ…クソォ!」
筋肉を締められ、動かすにも動かせない太刀のトリガーに指を掛けようとした瞬間、武器を手放し、予想以上にスピードが乗った左の拳がハクヤの胴体を捉える。
「がっ!」
鈍い音と苦鳴を残し、ストリート沿いのブティックにガラスを割りながら吹き飛ばされていく。
吹き飛ばされた際に剣を手放さなかったのは大したものだが、一瞬でも動きを止めたのはマズイな。唯でさえ相手よりも上回っているのがスピードと手数だけなのだからな。
「…ハクヤ!」
ハクヤの吹き飛ばされた方に気を取られ、コクエはミノタウロスの振り返り様の掬い上げるような一撃に反応が遅れる。
「…くっ」
その攻撃を避けることが出来ないと悟ったのか、太刀を軌道上に構え防ごうとするが、先程防いだ一撃とは違い、十分に力が乗ったその一撃を防ぐことが出来ず、ハクヤとは逆の雑貨屋のカウンターテーブルを破壊しながら突っ込んでいった。
反応速度はハクヤよりも速いのだが、戦闘中に気を抜くのはよろしくないな。それに力で圧倒的に劣っているなら馬鹿正直に正面から攻撃を防ぐのはあまり褒められたことでは無い。
私が腕を組みながら二人の戦いを観察しているとミノタウロスがこちらに向き直りながら鼻息荒く口を開く。
「雑魚ハカタヅケタ。次ハオマエダ」
二人に付けられた傷口から大量の血を流しながらミノタウロスがこちらに歩み寄ってくる。
血まみれになってまで頑張っているところ水を差すようで悪いのだが一つ忠告をしてやろう。
「あれで片付いただと? あまりあの二人を舐めない方がいいぞ?」
私がそう言い終わるか終らないかのタイミングで半壊していると言っても過言では無い建物から二つの影が同時に飛び出してくる。
飛び出して来たのは無論ハクヤとコクエだ。二人とも吹き飛ばされた際に身体中を打ちつけたのか服もボロボロになり、頭から流れ出た血が顔の半面を濡らしていたが構う様子も無くミノタウロスに向かって突進する。
その手に持っていた太刀は鞘に納められている。
納刀状態の太刀の柄を持ち、一息に間合いを詰めた二人はミノタウロスに向け抜刀する。
二人の構えは俗に『居合抜き』と呼ばれる物で、鞘から刀剣を抜く際の抵抗を利用し、通常の斬撃の何倍もの威力、速度を乗せることが出来る剣術だ。
当然、得物である太刀を戦闘中に鞘に納めてしまうのだから、一朝一夕で出来る技術では無く、下手な者がやればただの自殺行為だ。
まぁ、その点は私と初めて出会った時点ですでにかなりの技術を有していたことを鑑みれば問題は無いだろう。
先程までの斬撃とは比べ物にならない威力を内包した二振りの太刀が空を割いてミノタウロスを襲う。
ハクヤの放った一撃はすでに血まみれになっている左腕を肘から下を切り飛ばし、コクエが放った一撃は女性の胴ほどある首を大きく切り裂く。
「ガッ!」
「何度も言わせんな! お前の相手は俺達だ」
「…首、落とすと言った」
二の太刀にて止め刺そうとする二人だがミノタウロスはそれに気付くや一足飛びに後方に飛んで距離を取る。
「殺スッ!! 殺シテヤルゾ!!!」
怒号を上げ二人との距離を一気に縮める。死を賭した突進はまさに手負いの獣の危うさを体現している。
果たしてこの二人にそれを退けることが出来るのか…と、まぁどうやら要らぬ心配であったようだ。
「アレやるぞ、コクエ!」
「…承知」
再び太刀を鞘に納め、コクエが前に、ハクヤがその後ろに立って共にやや腰を落とした居合いの構えを取る。
「ハッ! ソレデハ一人シカ剣ヲフルエマイ」
ミノタウロスが馬鹿にしたように鼻を鳴らしてそのまま突進を続ける。
しかし、その顔が驚愕に支配される。
予備動作も無しに前にいたコクエの身体が前方に倒れるように傾いたのだ。
そしてその背を舐めるようにハクヤの居合抜きが疾る。
が、前にコクエが居る為、射程が短い。事態を察して突進を二人の前で止めたミノタウロスの腹部を掠めるに止まる。
「ハッ! 詰メガ…」
「止めは譲るぞ、コクエ」
ミノタウロスの侮蔑の言葉をハクヤが遮る。
「…首、貰うよ」
不意にコクエが声を発する。
その身体は超低位置で居合の構えを取っている。
「…何ッ!」
それがミノタウロスの最期の言葉となる。
「はあああぁぁぁぁぁぁ!!!」
コクエの身体が跳ねるように飛び上り抜刀と共に柄のトリガーを引く。
柄が明滅し太刀の背にある噴出口から爆風が噴出され、打ち出されるような勢いで放たれた太刀が更にその速度を増す。
交錯。
抵抗する間もなく棒立ちであったミノタウロスの首が後ろ向きに落ちて血潮をまき散らす。
「よ……っっっしゃぁぁぁぁああ!!! やりましたよししょ…」
ハクヤが歓喜の声を上げて喜び、ガバッ、と音がしそうな勢いで後ろを振り向き…、怪訝な顔をする。
「どうした? ハクヤ」
またも音がしそうな程の勢いで今度は横に―――つまりは私たちが居る方へと向く。
「何時そっちに移動したんですか…?」
「お前らが吹き飛ばされて戻ってきた辺りからだな。真後ろからでは見えんのでな」
「…護衛対象が勝手に動かない」
肩を竦めて答えると、近づいて来たコクエに窘められる。
「…以後注意しよう」
私は苦笑いを浮かべながらそう答え、上を向く。
私に倣いコクエ、近づいて来ていたハクヤも上を向く。
隣にいたアレクも同様に、上を向いている。
「来たか……忙しないな」
「来ましたねぇ…」
私の呟きにアレクが同意する。何のことか分からないといった顔のハクヤが何かを言おうとした瞬間、上空から飛来してきた無数の炎の弾丸が私たちの周囲一帯に降り注いだ。
弟子君たちが手にしているガン・ブレード。
本作では魔力を使って爆発を起こすため、薬莢やら何やらが必要無くなり軽量化しています。
詳しいことは追々書いていくことになるかと思いますのであまり突っ込んだ内容は書きません。が、何か元ネタがあったりするのですが、わかりますかね…?
(分かりづらいため9/7訂正)




