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元チートの再出発  作者: 怠惰の王
冒険の始まり編
2/14

1話.プロローグ(1)

ドンガラガッシャーン


「またかよ」


不破ふわ 時雨しぐれは顔をしかめながら毎朝のごとく聞こえてくる騒ぎを目覚ましの代わりにしてベッドから脱け出した


「何で襲ってこないの、そこは彼女たるこの私を襲わないと失礼でしょうが!」


「そうだとしても毎日僕のベッドの中に潜り込むのはやめてくれないかなー」


今の音は隣の家から聞こえてきていて騒ぎの主原因の時雨の2つ下の妹の不破ふわ 千晴ちはると同じ高校二年生で隣の家に住んでいる幼なじみ御剣みつるぎ れんの声だ


今の会話から解る通り二人は付き合っていたりする、それだけだと不思議でもなんでもないが煉はハーレム系主人公だったら話は別だろうことが分かるだろう、例に違わず煉にも追っかけ何人もいた、だがつい先月、数々の別のシリーズが始まるようなイベントを乗り越え遂に千晴に告白して付き合うようになっていた、ならその他の女子はどうなったのかと言うと別に諦めた訳じゃないらしく、今も虎視眈々と彼女の座を奪おうと目を光らせているらしいが、付き合って間もない今だけは休戦中らしい、紳士協定ならぬ淑女協定と取り巻きの1人が言っているのを時雨も聞いていた


「じゃあ何で襲ってこないのっ?!」


「そういうことは結婚してからって決めているんだよ」


まあ、もう手遅れかもしれないが





朝食に食パンを食べながら時雨は学校に行くまでの間、ニュースを見ていた


『先日逮捕された連続幼女誘拐事件の犯人、田路直輝16歳が今朝、留置場から失踪しました。目撃者の話によると「目の前から突然消滅した」との』ピッ


「物騒だこと」


時雨は朝からあまり嬉しくないニュースを聞いたのでとっとと学校に行くことにした


「いってきまーす」


「いってらっしゃい」


専業主婦である母に見送られて家を出て、同じ学校に通っている煉を妹の魔の手からいつものように助けてやろうと迎えに行くといつものようにもう一人の幼なじみで同い年の神田かんだ ゆきが一緒に学校に行こうと迎えに来ていた


「よっ、おはようさん」


「おはよ、時雨、でもその挨拶オッサン臭いよ」


「なんだかんだ歳かなー?」


「同い年のそれも私より誕生日遅い癖に」


ちなみに雪は煉のハーレムメンバーではなかったりする、それで一時、時雨は自分に気があるのではないかと張り切ったが結局その真偽は時雨には分からなかった、ただ周囲の視線としては煉のハーレムの一人として見られていたりする


「ゴメン、待たせた?」


「雪ちゃんおはよー」


「おはよ、千晴ちゃん」


雪が既に呼び出していたようで煉と千晴が同じ家から引っ付きながら出てくる


「同じ家からイチャイチャしながら出てくる若い男女、もう既に新婚夫婦化してるな」


この時雨の発言に煉は慌て、雪は頬を赤らめさせた、ただ千晴だけはしたり顔で勝ち誇っていた


「僕たちまだそこまでの関係じゃ無いからね!」


「でもでも、私は準備万端だから、名字も御剣に変えてもいいよ」


「と、俺の妹は言っているがどうなんだい義弟君」


「へー、私も気になる、どうなのかな煉」


「時雨も雪も悪乗りしないで、千晴も調子に乗ってそんなこと言わない、ほら学校行くよ」


煉は無理矢理話を終わらせると、逃げるように顔を真っ赤にして学校への道を進み始めた




学校はこれといって何もないので手抜きもとい割愛して、時間は移り放課後へ


時雨と煉と千晴は同じ高校で部活にも揃って入っていないので一緒に帰っていた


「おうおうお前ら可愛い子連れてるじゃねーか」


「俺たちこの通り寂しい独り身でよ、しばらく貸してくんねーか」


そこにどこにいるのだろうかというフィクション的な二人の不良が表れた


「「助けてレンエモーン」」


時雨と雪は一斉に煉に丸投げをした、煉は心底嫌そうな顔をした


「嫌だよ、僕よりも時雨のほうが強いでしょ、前もこんな感じの相手あしらわさせられたし、前も僕に丸投げしたんだから」


そうは言いつつも煉は自分から不良に向けて一歩前にでた


「いやいやいや、出てない出てない出てない一歩も出てないから」


煉は何かおかしなことを言ったがしっかりと一歩を踏み出した


「僕の意志は文章の前じゃあなんて無力なんだろうジーザス」


「ああっ、なにごちゃごちゃ言ってんだ、とっとと女置いてどっかに消えろ」


「それともなんだ、俺たちに勝てると思ってんのかゴラァ」


本当にこんな人は実在するのだろうか


「とにかく鬱陶しいからどっかいってください」


煉の言葉にカチキレた不良はためらいなく殴りかかった


「ふざけんじゃねぐぇ」


がしかし、その拳は煉に呆気なく避けられ逆に煉は拳を相手の一人の顔にぶちこんだ、そして迫力のある笑顔を浮かべながら


「だから鬱陶しいからどっか行けって言ってるでしょ」


「うぐ、覚えていやがれ」「ちっ、いつかぶっ殺してやる」


そんなしょうもない言葉を吐きつつも不良は実力差を感じとり逃げていった


「うむ、よくやった我が弟子よ、だが我思うにあの手のやからは最初から殴った方が良かったと思うぞ」


「じゃあ最初から時雨師匠が相手をしてくれないかな」


ちなみに昔から絡まれる事の多かった煉のために時雨は基礎的な体捌きや、人の殴り方などを教えこんでいるので、一応師弟という関係である、ただ見よう見まねで雪と千晴も真似して同じような練習をすると、才能があったのかあっという間に2人とも煉より強くなっている


「私のために弟子を向わせてくれてありがとうございます」


「感謝するべきは僕だと思うんだフロイライン雪」


煉は自分に感謝をしろとおかしなことを言いながら、時雨と千晴は煉に苦笑いしながら家に帰った


「やっぱり理不尽に嫌われてるよね!!」

{A,彼女持ちだから}




煉にとって今日という日はあまり良い1日ではなかった


朝は彼女の千晴が毎日のことだけど来てくれて嬉しかった、学校ではこれと言ったことはなかったが放課後は不良に絡まれるし文の理不尽に悩まされるし、何より朝以降千晴に会えていないことだった


「あーもう、今日一時間も会ってないよ」


とても会いたくなっていたが、しかし残念ながら千晴は今日友達の家に泊まりに行っている


「こうなったらメールをいつもの倍はしなくちゃ僕が満足出来ない」


鼻息荒く携帯を手にして、メールアプリを起動した時だった


煉の周囲はいつも見知った自分の部屋から石造りの教室ほどの大きさの部屋に変わり、見回すと甲冑を着た屈強そうな男たちがずらっと並び、煉はその部屋の中央の円形の陣の中に携帯片手に場違いなTシャツにジャージのズボンを着ていた、そしてその煉の目の前にはとても豪華なドレスを着た金髪碧眼の美少女がいて


「お願いします、どうか我が国をお救いください」


そう唐突に言われ煉は


(ああ最後に千晴に会いたかったな)


と、遺言のようなことを思っていた


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