呪われてしまった・・・
同志を発掘・・・じゃない、出会ったガラクタ山をゴソゴソと物色中です。
何とか平民Aから、勇者並みの攻撃力を身につけた私。次ぎは、防御力ですよ。いくら攻撃力があっても、一発喰らってサヨウナラなんて・・・嫌すぎですよ。
脂肪はあっても、筋肉は無い!!村人1の軟弱ボディーですからね。ここは一つ、異世界の恩恵を受けるべく、こうして発掘に勤しんでいるわけです。
中身がダメでも、外側をチートで覆い尽くせばいいんですよ!!
銃とか、剣とか鎧。メガホンっぽい物からミサイル・・・っぽい物まで、無造作に置いてあります。迂闊に触ると爆発しちゃいそうな物とか結構あるので、実は結構・・・命かけてます。
公園でよく作った砂山みたいなものですよ。崩さないように、ゆっくりゆっくりトンネルを開通させていく・・・みたいな作業ですね。命かかってなかったら、楽しめたかもしれないですけど。
『・・・ん?あの腕輪、俺と同じ匂いする。・・・あれ?剣なのに匂いってwww』
「何ですか、同志!・・・えっと、この腕輪?」
いちいち同志の言葉につっこんでたら、アツと言う間に日が暮れてしまいます。ここは適度にスルーしながら、言葉の先を促していかないと。
『匂いってか・・・俺と同じ世界の産物的なもん?』
「えっ、勇者の装備的なモノですか!?」
それらしい腕輪を取り、私は素早く手に通します。煌びやかではないですが、シックで細やかな文字の装飾が美しいです。それにしても、異常に手首にシックリと馴染むのは・・・勇者の装備だからでしょうか?
『あっ、それwww・・・・・・俺が言ったのは、横の黒いヤツだしwww』
むむっ、私とした事が早合点してしまいました。
それにしても、同志の世界の装備って黒がデフォなんですね。私のイメージでは、金ピカで装飾ゴテゴテって感じなんですよ。勇者=キラキラした人って感じで。
なんて事を思いながらも、腕輪を引き抜こうとするが・・・あれ?抜けない。
痛いぐらい引っぱっても、ミリ単位も移動していませんとも。ずっと前からこうして皮膚の一部として過ごしていましたよ、何か?的なピッタリとしたフィット感が、嫌な予感を考えさせます。
『ってか、それ呪われてるしwww』
「ひぃッ!!・・・どどど同志ィ!」
『・・・ん、まぁ。ドンマイ☆』
「ドンマイとか軽く言うなァァァァァァァァァァ!!!!」
なんて騒ぎがあったものの、同志の『たぶん、死なない系のアイテム』って言葉を信じて、渋々自分を納得させましたよ。呪いの効果は、同志にも不明らしいです。・・・恐ろしい。
その後は、同志のお勧めセレクションをチョイスしてもらいました。
先ほどの、同志の世界の勇者アイテム。普段は黒い腕輪なんですが、持ち主の意思によって瞬時に鎧になってくれる優れモノ。火竜の炎をも遮断する最強防具らしいのです。スゲェ!!
なんでも三代前の勇者の時に、忽然と姿を消したアイテムだったらしいのです。その後は攻防一体型から一転、攻撃のみの特攻勇者になっちゃってるそうなんです。
でも、よく考えたら同志の世界の勇者って、剣も鎧も無いんですよね?しかも、同志が召喚される直前まで、魔王と戦ってたんですよね?・・・・・・詰んだな。
まぁ、とにかくアレだ・・・うん。・・・・・・勇者、生きろ。
最強の攻撃力と防御力を身につけた私は、正に無敵☆
召喚されて丸一日と半分。短いようで長く険しく、辛い道のりだった。本当に辛かった。今も、辛い。特にお腹が減ってたまらないんです。グウグウ腹の虫が鳴いちゃってますからね。ひもじい・・・。
しかし、そんな生活とも今日でオサラバです。
「同志、今こそ立ち上がるべきです!!!」
『おk!んじゃ、ひと狩り行きますかwww』
異世界での生活改善を要求するために、私と同志はついに立ち上がったのです。
要求するべき事は、ただ一つ。
毎日、三食の御飯を用意してもらう事!!!
異世界で飢え死にって、酷すぎます。もうお腹がペコペコで、本当に辛いんですから。
いざ行かん!ジジイ改め、この家の魔王の所に。
誤字脱字ありましたら、ゴメンナサイ。