パラサイト生活ってあるじゃない?パラサイトしてくれる嫁募集中ですなんて、切実に言ってる人がいますた。違います、嫁は職業ですよと言ってあげたい
すーぱーろぼっとって言うのとりあるろぼっとって言う二つがあるらしいです。
それってなに?って言われたらゲームを渡されたけどシミュレーションはちょっと苦手なのでやってもらいました。
攻撃を百パーセント避けるとか、なんとか。うん、わっかんねぇ。
ちなみにこのお話に出てくるのはリアル系だと思われるそうです。
そんなロボットを知らない作者が書いて平気なのか?むしろロボットを書くとき困ったのがイメージがまったくない、ということ!
キャラクターデザインとかメカニックデザインとかがない状況で口頭説明でこんな感じのでーって言われるわけですね。アーティファクトの設定は自分の頭の中で描いて痛んでよかったんだけど、ね。そこらへんの描写が少ないのはそのせいかも。
しょうじんしましょー
学校 新校舎屋上
六月の第二週 月曜日 十二時五十三分
翡翠に腕を掴まれて屋上まで運ばれて、恵美は便利な翼だなぁと翡翠に感心した。
「恵美は本当にそれでいいのね?」
翡翠に言われて恵美は頷くより他なかった。
「ヴァネッサのところにあったユグドラシル断章のデータを翡翠が解析した結果が、どうしても気になっていたの。だって私…サヴァイブ処理されたクリーチャーから戻ったサバイバーなんでしょ?」
「そのようね。賢者はあなたのためにその技術を開発して、実行。結果あなたは二年の月日を得て元に戻れた」
「でも私には眠っている二年間、敬介お兄ちゃんと一緒に生活していて、その間の記憶があるの。その理由がわからないわ」
「空白の二年間、貴女が存在していた時間は誰かが埋めていた事になるということよね」
翡翠に言われて恵美は頷く。自分の身代わりをしていた誰かが存在しなければならないのだ。
「引き継いだ記憶の最後の部分、とても綺麗な星が輝いていて、敬介お兄ちゃんが優しく微笑んでくれた。その腕が私に伸びて、私は気を失っている。でも何となくわかる…」
「賢者は貴女を二回殺したかもしれないって言う話はそういうことね。クリーチャーになった貴女に刃を振り下ろし、そして二回目は身代わりになった少女を手に掛けた。賢者は一人の存在を存続させるために、その一人を二回、手に掛けた」
「それがどういう事なのかわからないけど、その事実を確信に近づけたいの。隠されちゃってるし、もう証拠は残っていないかもしれないけど…」
恵美が自分の事を知りたいと言って来たのはつい先日のことだった。
古代文字を解読できる恵美に協力を仰ぎ、ヴァネッサと共に討った技術将校の研究からユグドラシルレポート断章の解析を手伝ってもらったところから出て来たのは…サヴァイブ処理技術という項目だった。
恵美が受けたサヴァイブ処理技術の雛型はまだ未完成だったが、発展させる余地はある、と翡翠は考えている。
「サヴァイブ処理には膨大な時間と費用がかかるって言うけど、その投資された建設施設は絶対に残されているはずよ。簡単に潰せるわけがないものね」
翡翠は推測を口にすると恵美は頷いた。
「十三機関や国から発見されないように、秘密裏に膨大なエネルギーを使える様な場所がある?」
「プラントの近くなら誤魔化しが出来ると思うの」
翡翠がそう言うと恵美は首を傾げる。
「プラントって?」
「政府や組織が隠したがっていることなんだけれど…。私たちの食料、エネルギーは全てプラントと呼ばれる施設で精製されているわ。この世界中に複数存在していて、そこから色々なものを取り出せる…魔法の機械ね」
「私、そんな話知らない…」
恵美が驚愕していると翡翠は頷いた。
「一部の人間しか知らないわ。この世界の構造そのものは余り人に知られていいものではないのだから」
恵美はそれを聞いてふぅ、と頭に溜まった熱を吐き出すようにため息をついた。それと同時に心の中に哀しさが堆積して行く。
この世界はどれだけ人に隠し事をして来ているのか、それを考えるだけで憂鬱になった。
「貴女はお兄さんである賢者の手助けをしたいの?それとも…好奇心?」
世界で何が起こっているのかを知りたい。三咲は確かにそういう好奇心が強いのだろうが…。恵美にとって生憎世界情勢はあまり気にはならなかった。
さなえのように自分の近親者が今も眠っているとか、千石の様にアーティファクトを使った無法者がのさばらない様にしたいとか…そういう感情は無かった。
残念な事に自分の両親が被害に会い、その犠牲になっていないという記憶はあまり恵美自身にとって影響はなかった。顔も知らない人間の事で哀しがるようなことはないし、敬介がそれなりにしてくれているのだから、悲しんでしまったら敬介に迷惑がかかるとさえ思えていた。
何も答えない恵美に翡翠は「いいけどね」とふてくされたようにフェンス越しに街を見下ろす。
「この国はいい国よ。見ているとわかるわ。それなりに生活して、それなりに生きている。そうだからこそ見えない裏側が綺麗に隠れてしまっているのね」
「私もDM現象に関わるまで、この国は普通なんだって思ってたよ。この国で生まれてよかったって。でも…普通じゃない部分を知ってしまったら疑う事しか出来なくなってた」
「見えない間は別に気にならないのかもしれないわね。普通ってそういうことだから。でも…疑わないで信じ続ける事って、疑う事よりも酷く難しいから意味があるのではなくて?」
恵美は翡翠に顔を覗き込む様に言われて返す言葉が見つからなかった。
「あなたは賢者を疑っているのでしょう?だから私の元に来た。違う?」
「そう…かもしれないね」
恵美が困った様に笑うと翡翠は「ふぅ」と肩を落した。
年下の癖に、とは思わなかったが恵美はずいぶん鋭い子だな、と翡翠を眺める。
「剣客騎士の称号を貴女に与えます。これは我が国から貴女に送られる名誉の称号であると同時に、私直属の他国所属の騎士であることを示しているわ。私以外の命令に従うことなく、あなたは我が国で自由に行動する事が許されています」
恵美は翡翠から右手に剣、左手に銃を持った二枚の翼を広げる天使を模した銀のエンブレムを受け取った。手の平にすっぽりと収まる程度の大きさなのになぜか重みを感じる。かなり比重の大きな金属の様だ。
「ラージェスからも特務隊に編入させられたそうね」
翡翠に言われて恵美は隠すべきではないと正直に頷く。
「すごい事よ。つい先日まで一般人だったなんて言っても誰も信じてくれないでしょうね。貴女がいるだけで三つの国を自由に行き交うことも、情報を集める事も出来る」
「そうなるようにしてもらわないと、私はアマテラスに対抗出来ないから…」
「アマテラス…国際犯罪者集団よ。なぜ貴女がアマテラスを知っているの?」
「知っているわ」
恵美が断言すると、翡翠は屋上の入口でこそこそと隠れている人間に気付いて、翼を広げた。
「今度ゆっくりお話しましょうか。アマテラスの事も…貴女の進退についても」
「わかったわ」
恵美は空に消えて行った翡翠を見送ると、手にしたエンブレムをぎゅっと握った。
アマテラスを…追わなければならない。
◆◆ ◆◆
フォクシー族の村 元研究所兼別荘
六月の第二週 水曜日 十二時三十分
三咲は確かに恵美がアマテラスという名前を口にしていた事を敬介に報告すると、敬介は三咲を見て舌打ちした。
「翡翠と…中将と繋がってたなんてな…」
「あの…さなえさんや千石さんはこの事を敬介お兄様にお話ししない様にって言っていたので…言わないでください」
三咲が上目遣いで懇願すると敬介は苦笑して三咲の頭を撫でる。
「わかった。三咲たんがそう言うなら何も言わないけどな…」
「恵美とは?」
アレイが三咲に尋ねる。知らない人物の名前が出て来たのだからミーアも気になっているらしく興味津々で三咲を見つめていた。
「恵美センパイは敬介お兄様の妹さんですよ」
「妹、か」
教官は敬介に抗議する様な目をしている理由が三咲にわからなかった。
敬介お兄様には…やっぱり何かある。
恵美が敬介に不信感ではないが、何かを感じている様に三咲も思えた。恐らく、信頼に足る人物ではあるのだが、何か隠している感じは否めない。恵美もそう思っているからこそ、敬介に隠して行動を起こしているのかもしれない。
まずいな。
敬介は三咲の視線を感じて自分に不信感を抱いている事に気付く。
三咲と恵美…か。放っておいてもよさそうだな。むしろそっちのほうが色々と都合がいいかもしれない。
敬介はそう考えるとあえて三咲には何も言わないで放置した。
「アレイ、ミーア、教官はプラントに行って確認して来てくれ。たぶん襲撃や改変はされてないと思うが、頼む」
教官は渋々と頷くとアレイとミーアと共にログハウスから出て行く。
「三咲たんはサンクチュアリに興味があるんだろ?だったら一緒に行ってみないか?」
「え?」
恐らく…高確率で戦闘があるはずだった。三咲の知らないアーティファクター対アーティアクターという人間対人間の闘いを間近で見る事になるだろうが、三咲はそんなことを知る由もない。
「いいんですか?」
三咲が興奮した面持ちで敬介に迫り、敬介が苦笑しながら一歩後ろに下がる。サンクチュアリに対して異様に興味を示す三咲の考えが敬介には手に取る様にしてわかった。
三咲自身がアーティファクトという不思議な存在に魅かれていることなど、敬介からして見れば一目でわかる。かつての自分が同じ道を辿っているのだから、三咲のそれは自分と同じことだった。
「君の父親が探し求めていたのは、アーティファクトだったんだろ?」
「たぶん…そうだったんだと思います」
「なぜだ、なぜ三咲たんのお父さんはアーティファクトを探していたんだい?」
敬介が優しく尋ねると、三咲はしどろもどろになりながらも「えっと…えっと…」と必死に言葉を探している。
「敬介お兄様がユグドラシルレポートに記した…」
三咲が口を開こうとすると、大気を切り裂くような轟音が三つ響いた。
「なんですかっ?」
三咲があまりの轟音に両耳を塞いで蹲り、敬介が天井から空を見上げる。
「外だな」
敬介と三咲が外に出て頭上を見上げると見た事もないような物体が空を泳いでいた。全長二十メートル、幅はもっとあるかもしれないそれを見上げて畏怖しない者はいないだろう。
「海洋生物…?エイって知ってますか…」
三咲に言われて敬介は記憶を探る。遙か昔に海に生息していた平べったいうねる様にして海中を進んでいたという生命体だ。
エイのような生命体がその身体をぐっと丸める様にして小さく丸くなり、その腹の部分に球体を作った。
「何をする…つもりだ…」
敬介は嫌な予感がしてそれを見つめていると、次の瞬間、水色の球体が暗く輝いた。放出されたエネルギーが屈折して地面を抉る様に削り取り、木々が薙ぎ倒されて炎上する。
「屈折レーザーだ」
敬介が三咲を抱える様にしてログハウスに入ると、三咲が小さく震えている。屈折レーザーが発射されるのと同時にその膨大な熱量で大気が膨張して切り裂くような雷にも似た轟音が響き、地面に接触して地響きと轟音が耳に届く。木々が無理やりねじ切られる様なぎちぎちという音と倒れる音も響き始め、三咲は生まれて初めて聞くその音に心底震えていた。
これは一体、どんな状況なのだろうか。
三咲はそんなことを頭の隅で考えていた。
「おーい」
敬介がPDAを握って本局に通信を入れる。
「はいはーい」
音声通信で儚がのんびりとした口調で答えると、敬介は余りにも通信状態が良くなくて怪訝な顔をする。原因としてはここが電子機器が完全に使えない場所という特殊なフィールドだからだとしか考えられない。
「俺の今いる座標、特定出来るか?」
「んー、調べて見るけど、敬介くんのライフシグナルが大分前からロストしてるからサンクチュアリに入ったのかもってこっちじゃ大騒ぎだったわよ」
「残念ながらまだ地上なんだ」
敬介がそう言うと儚は「本当に?」と尋ねて来る。敬介が今まで単独で定時連絡も入れずに捜査して来たのだから、疑われても仕方ないのだが…。
「あー、信号は微弱に出てるんだね。PDAの通信端末に指向性捜査波を送れば確認できる程度だけど…そこってアウターじゃない」
政府管理外地区。電子機器が使用できないフィールドを総称してアウターフィールドと呼ぶのだが、儚はすぐに敬介がいるであろう場所に推測を立てた。
「アリス、ベル、キャロルを射出してくれ。クリーチャーが頭の上にいる。手出しできない高さなんだ」
「了解しました」
儚がわずかに緊張した面持ちで答えると、敬介はPDA端末の電源を落した。
「三咲たん、サンクチュアリに行こうか。あれの狙いは…プラントだ」
「え?」
だったら教官たちのところに合流したほうが良いんじゃないの?
三咲は敬介の言っている意味がわからずに首を傾げる。
「ここにいるとやられるかもしれない。行けるか?」
出来れば…動きたくない。
三咲は正直にそう思っていた。あんな恐ろしい存在が頭上にいて、その下を走り回りたいと思える人間などいるわけがない。
「行きたくないです。だって…あんな化け物がいるんですよ?」
三咲がそう言うと敬介は「あー」と呟く。ゴーストやクリーチャーに対して三咲は行動力を発揮していたが、さすがにあの大きさのクリーチャーの前では足がすくんでしまうのも無理はない。
ふつうは…普通の女の子らしい反応に敬介はまどろっこしさも感じた。
恵美がせめて三咲たんと同じ感覚でじっとしてくれていればよかったんだけどなぁ…。
敬介は恵美が独自で動いている事を思い出してうんざりとした。それこそが敬介だけが自分自身でも気付いておらず、教官や飯田課長が心配している一つの危惧することでもあった。
敬介は…無意識のうちに、そして簡単に自分にとって必要か不必要かを選定する。それが物であろうと、生命であろうと…そして他人であろうとも簡単に不必要だと思った場合、それと距離を置く。
頭のいい人間はそういうものを理論的に捕え、必要不必要で全てを効率的、そして能率的に判断する事が出来るから頭が良いのだと言うが、敬介の場合はそれが異常とも言える判断力と速さだった。
「あー、じゃあここに残るかい?」
「え?」
一緒にいてくれないの?という顔をされても敬介は困った。別にここまで案内してくれれば後は自分一人でも動ける。懐刀真言絶句が示すサンクチュアリの場所はもちろん、村まで伸びているプラントラインを辿ればプラントにだって行き着く事が出来る。三咲はこの先、一緒にいてもいなくても大差ないのだ。
「悪いけど先急ぐわ」
敬介が外に飛び出して頭上を見上げると、巨大な敵影の周囲を三つの点が飛び回っているのを目視する。
敬介の部屋に飾られていた精密で人間そっくりの人形、完全な人工知能を持った三人の少女の形をしたアンドロイドのアリス、ベル、キャロルの三体は身体に様々な武装を積んでいて、クリーチャーに対しても有効な戦力を持たせてある。
「おし…」
足止めは出来るかもしれないが、撃破は難しいかもしれない。
敬介は森の中を走りながらPDAを片手に握って本局へ連絡を入れる。儚、夢、萌がスタンバイ。千石、さなえ、恵美がオフライン。利樹と癒杏がアクションコンディションになっている。儚と夢、萌はこちらに向かうかどうかを悩んでいるところなのだろうが、敬介はタッチパネルを叩いて行動開始命令を送るとすぐにアクションコンディションに変化する。
ここに戦力が集結するのもすぐだろう。
敬介は森の中を進んで行くと水脈に当たってそれを遡る。サンクチュアリのある場所は大抵、そういう水脈の源泉の近くにある事が多いのだが、今回もそれと同じだった。
切り立った崖に唐突に二枚両開きの扉が錆ついていて、その左側から水脈が壁の向こうから噴出していた。
「実稼働してるらしいな」
敬介は懐刀真言絶句を扉に掲げるとドアが開いた。横開きのドアが横に開き、その奥にあるドアが上下に開き、何枚ものロックが解除されて行く。
サンクチュアリ、アーティファクトと人をゴースト、クリーチャーから守る要塞。その最奥部にある白い少女の彫像、命の集う場所と呼ばれる大聖堂まで続いている。
敬介は通路に入り込み、しばらくするとステンドラスの水脈が足元を流れてる。
霊峰ピクシーレディエルと同じ構造のその場所の奥へと敬介は足を踏み入れると同時に違和感を感じた。
「実稼働…してるんだよな?」
「動いてるはずです」
敬介が驚いて振り向くと三咲が見慣れない格好で立っていた。
「三咲…たん、か?」
マーチングバンドのドラムメジャーのように派手な真っ赤なスーツに短いスカート、メジャーバトンを右手に、腰のベルトには左右に三本ずつ、六本の柄が刺さっているが刀身はなかった。相変わらず首に下げられている鈴はあるが、妙な形のマスクを顔に付けていて目を隠していた。
「えっと…仮装パーティか?」
「…違いますっ!」
三咲が前屈みになって抗議すると敬介は苦笑した。
「ガーディアンベル、レベルⅤ武装モードに変換したのは敬介お兄様じゃないですか!」
敬介はそう言われてポンと両手を合わせた。そう言えば三咲の済むスクエアタウンで三咲と偶然会った時にアーティファクトを強化改造したのだ。
「それに敬介お兄様!私が来なかったらお兄様だって防衛設備で穴だらけにされるところだったんですよ!」
三咲に言われて敬介は頷いた。
防衛機構が動いている状態で敬介たちが入り込んだ場合、恐らく防衛機構は敬介たちを敵と認定して施設そのものから攻撃を受けるはずだった。
「完全に人間の私が一緒なら、敬介お兄様も狙われません」
私が知っているのはそれだけです、と三咲が微笑むと敬介は頬を指で掻いた。
「それも…恵美が前に回収したユグドラシルレポート断章に?」
「はい」
三咲が正直に答えて敬介は「あちゃー」と頭を掻く。
「断章のタイトルはなんだった?」
「知っているのは恵美センパイだけです…。私が貰ったのはサンクチュアリの構造と機構、そしてガーディアンベルの使用方法だけ…」
「そっか」
敬介は奥に進もうとすると三咲が慌てて敬介の後ろについて進む。
「サンクチュアリにはまだ何か秘密があるんですよね」
三咲がぽつりと呟いて、敬介は命の集う場所の扉を開いた。
ピクシーレディエルと同じように少女の全身像が右手を空に掲げ、太陽を模した棄て度グラスに手を掲げていた。
稼働しているサンクチュアリを示す、ステンドグラスの光が少女に降り注いでいた。
「サンクチュアリを確認した…。十三機関に報告する、いいね?」
敬介に問われて三咲は小さく頷いた。
「興味本位のお遊びで来たならここまでにしなよ。守りの鈴は人間が唯一にして使えるアーティファクトなんだ。って知ってるか」
「知らない」
三咲がきょとんとすると敬介が肩を落とした。
「三咲たん、知識が偏ってるんだよなぁ。三咲たんの目的とかって聞いていい?」
「え?いいですけど」
敬介が女性像の背後に回って梯子を下り、三咲もそれに続く。
地下通路に出て二人が歩いて行くとやはり広い草原が広がっていた。
「お父さんはサンクチュアリが世界各地にあるって考えていて、その全ての位置を調べようとしてたんです…。なんだか位置には一定の法則があるとか言ってまして、それが気になったんです」
「位置に関係性?」
「全ての位置を調べて見ないとわからないけれど…そんなことを言ってました」
「へぇ…じゃあそれも調べて見ようか。三咲たんも戦力に数えていいか?」
「え?」
三咲が首を傾げると同時に天井が崩れて敬介の真後ろに何かが降って来る。
「アリス。損傷チェック」
「問題ありません」
紫色の髪の毛にフリルのついたエプロンドレスの様なアンティーク人形が来ている様な服を来た十四、五くらいの少女が答えた。
「ベル、キャロルは骨格フレームに問題が発生したために一時的に離脱しています。合流のため指揮権を隊長主席に返還いたします」
「御苦労」
敬介が片手を上げると少女は大型の拳銃を両手に握り、何かに向けて発砲した。
「アリス、一つ聞きたいんだが…」
煙の向こうにいる何かに発砲し続ける銃からコードがアリスの肩口に接続されているのは敬介が開発した新型の銃で、アリスの動力を直接射撃するためのものだ。亜高速で打ちだされる圧縮された空気そのものはきらきらと粒子を撒き散らしながら標的に着弾するのと同時に霧散して、巨大な音と熱量に変換されている。
「何を撃っている?」
敬介と三咲が見つめる視線の先に見える人影にアリスが何十発も弾丸を撃ち込んでいるが、その人影の大きさは人間では有り得ない程だった。
六メートル強の横幅の大きさに鋼鉄の身体。
「あー、実用段階に漕ぎつけやがったのか?」
「そのようです。スペックはマスターの設計からだいぶ劣っていますが…アマテラス技術研究所の刻印を確認しました。パワードアーマーです」
「あーあーあー」
敬介がどうでも良さそうに言うと三咲は完全に砂埃が消えてその全体像を見て唖然とした。
「ロボット?」
「ああ、アリスはアンドロイドだな。萌がサイボーグ、んであれは…」
人型二足歩行三次元戦闘機械装甲構想。強力なアーティファクターや大型のクリーチャーに対応するために構想した人間が中に入って駆動させるものだ。
「ボーンフレームと外装フレームを使って強度そのものを上げて、人間よりも二倍の関節を持たせることで自由自在に動かせるようにしたんだ。俊敏なパワーを得るために人工筋肉繊維に送る電流値をコンピュータで…」
「えっと…とりあえずすげーってことでいいんですね?」
三咲は敬介の説明にげんなりすると敬介は「おう」と頷いた。
五メートル以上の巨大な人間は明らかに均衡のとれたプロポーションを保った人間そのものを巨大化させたようにも見える。二本の脚、動体、腕…頭。それは見紛うことなく人間そのものだったが、動く気配がない。
「アリス、射撃中止!」
敬介の声にアリスがぴたりと射撃を停止する。
「パワードアーマー…こんなもん作れるのは変態しかいねぇんだけどな」
敬介が小声で呟き三咲が首を傾げる。
「あれ?敬介お兄様が設計したんじゃないんですか?」
「え?」
二人の間にしばらくの沈黙の時間が流れる。
「こんなもんを作れるとは一体どんなすごい奴なんだろうな」
「言いなおしましたよね」
「言いなおしましたね」
三咲にアリスが同意すると敬介は空笑いしながらパワードアーマーに近づく。
「危ないですよ!動いたらどうするんですか!」
三咲は敬介に警告すると、アリスが敬介の背中から援護しようと銃口を向ける。
「アリスの加速量子弾頭をあんだけ食らえば、コンデンサーとバッテリーパックの残量が足らなくなるはずだ」
「…?」
三咲が首を傾げ、アリスの横顔を見るとアリスは涼しい顔をして敬介の背中を目で追っている。
萌ちゃんに似てる…けど、何か違う。
三咲の視線に気付いたのかアリスがふと三咲を見ると優雅に小首を傾げる。
綺麗な子…。
神秘的な瞳の奥に機械とは思えない何かを秘めている様にも見える。萌と同じように華奢な身体つきとは思えない程の戦闘力を秘めているのだろうが…。
「負けた…」
三咲は自分の胸を抑えてがくりと肩を落す。身長は同じくらいな筈なのに、驚異はスリーランクほど離されている。それなのにエプロンドレスの上からでもわかるほどウエストは細く、伸びる四肢も綺麗なきめの細かい肌だ。銃を握っている手も細く、透き通る様な白さが眩しかった。
「なんでこんなにスカート短いの…?」
「動き難いからです」
三咲がスカートの裾を掴むとアリスは嫌そうな顔を一つせずに微笑んだ。膝上二十センチ、既にいろいろ胸をときめかせてしまう様なぎりぎりなラインだ。
「おーい、アリス。こいつどうにかしてくれ」
敬介が立ったままのパワードアーマーの胸部コックピットを開いてアリスを手招きし、アリスがひょいと敬介の隣に立つ。装甲に手をかけて解放されたハッチの中にアリスが上半身を突っ込んだかと思ったら、中身を引き抜いた。
「ぐあっ」
全身を強く撃ったパイロットがぐったりとしているのを三咲は見て唖然とする。目立った外傷はないが四メートル近い高さから放り出されたのだからしばらくは動けないだろう。
「大丈夫ですか?」
三咲がパイロットに話しかけると、パイロットの青年が三咲を見上げて「うぅ」とうめき声を上げたが意識はないようだった。
三咲はパイロットを仰向けにさせて腕を組んで敬介たちを見上げる。
あの人たち、人をなんだと思ってるのかなっ!
三咲がコックピットから顔を覗かせた敬介に抗議しようとすると、敬介が上がって来い!と叫ぶ。
どうやって上るんだよぉ…。
三咲が足元でうろうろしているとパワードアーマーが動き出した。
「うっひゃああああっ」
三咲が慌ててパワードアーマーから逃げる様にして離れるとパワードアーマーが片膝を地面に付けた。
「おーい」
敬介に呼ばれて三咲が頭を上げると胸部ハッチがある程度は近くなったが、まだ遠い。
本当に登らせるのかぁ…。
三咲は装甲板の間に手をかけてよじ登り、胸部ハッチに片足を付けて中を覗き込む。
「俺の後ろに乗って」
「はい…?」
敬介の後ろに回り込んでシートを掴むと敬介の足元あたりから下にアリスがもう一席のシートに座っていた。
「副座式のパワードアーマーだね。なるほど…」
敬介がパネルを操作してシステムを再起動を実行、その様子を見て三咲は敬介の知識の深さに感嘆した。
これだけのものを自分が作っていないはずなのに見ただけで操作できる人などいるのだろうか?
「アリス、空っぽになったバッテリーユニットのリチャージ出来そうか?」
「チェインインターセプトケーブルを確認しました。行けます」
アリスは左耳のソケットに何かのケーブルを指し込んでそれを基盤の中のケーブルとつなぎ、目を閉じるとメインアクチェーターに電力が送られる。
人間大の大きさを動かすバッテリーパックがこの大きさのパワードアーマーを動かすという発想は常人なら考えないが、三咲はそこまでこの未知数の兵器に詳しくはない。
「あーあー、もったいないね。さっきのパイロット君はこいつの性能を十分に発揮出来てなかったようだ。見たところ、アマテラスのプロトタイプみたいだが…。よっこらしょっと」
敬介がマニューバーとペダルを操作すると開かれたままの胸部コックピットから見える外の景色が変わった。高い位置から地面を見下ろすような形になっていて、三咲が驚いてシートにしがみつく。
「お、動いた」
敬介自身も動くとは思っていなかったような反応に三咲は半泣きになる。
本当に大丈夫なのかなぁ。
「あー、任務ファイルが残ってら、アリス」
「はい、暗号コードを解析します。暗号ファイルDナンバーセブンの解読に成功。音声ファイルを再生します」
アリスがそう言うと敬介はコックピットを閉じる。一瞬だけ視界が真っ暗になったがすぐに三百六十度ディスプレイが起動して外の様子がコックピットの内壁に映し出され、三咲は自分が宙に浮いている様な気がしてそわそわした。
「正体不明のアーティファクター二名により基地が強襲されて六時間が経過している。これを発見したパイロット候補生はただちにこのテスト機体、ウォレス二型を起動、指定されたポイントへ運べ。幸運を祈る」
音声ファイルが閉じられると敬介の目の前にある小さなパネルに地図が表示され、赤いドットが表示される。
「山間部に位置する場所だな。この辺りは特に何もないが…何もない場所だからアマテラスの秘密工廠があってもおかしくはない、か」
敬介がコックピットのカメラを足元のパイロットに向けると、パイロットが拳銃をこちらに向けて発砲している。
「アリス、空間歪曲遮蔽フィールドを展開」
「実行中です」
「おけぃ」
敬介の指示にアリスが答える。弾丸は装甲の目前で自分から逸れる様にして放射線を描く様に弾きだされている。
「あー、パワードアーマー、プロトタイプウォレス二型、IFF識別信号送信、こちら十三機関所属、特捜十三課、隊長主席の敬介だ。外部に展開している十三機関の誰かきこえるかー?」
半ばふざけた調子で敬介がオープンチャンネルで話しかけるとすぐに誰かに繋がった。
「敬介くんっ?こちら儚!パワードアーマーってなに!まさか二足歩行なんたらって奴なの?」
儚の慌てた様な声に敬介が苦笑する。説明するのも面倒だ、という顔に三咲は大丈夫なのかなぁ、と不安そうに敬介の後頭部を見つめた。
「アマテラスの人間がどういう訳かここら辺をうろついていた。近くにこいつらの基地があるか走査してくれ。いいな?」
「了解。プラントに襲いかかっていたクリーチャーは手負いだったけど…敬介くんがやったの?」
「いや…教官とアレイ、ミーアって言うフォクシー族がやったんじゃないのか?」
敬介が首を傾げると、儚が「え?」と返答を返してしばらく無言になる。
「戦闘記録データを」
アリスに敬介が言うと、敬介のコックピットパネルにアリス視界のエイとの戦闘記録が再生される。エイは確かに森にぽっかりと出現している半球の蒼いプラントに向かって変更レーザーを照射、アリス、ベル、キャロルが飛行形態である反重力ウィングを展開してエイの周囲を回っていた。
そこに入り込んだこのウォレス二型とそのまま戦闘になり、ベル、キャロルはエイとウォレス二型の攻撃を受けて撃墜、アリスは危険度をウォレス二型を最優先としてウォレスに単騎での戦闘を開始し、ここにウォレス二型が撃墜されていた。
「敬介、俺だ。エイは…俺たちが処分した」
教官からの通信に敬介はほっと胸を撫で下ろす、が、すぐに敬介と三咲に緊張感が走った。
「パワードアーマーって言ったか?敬介っ!」
爆音をBGMにして教官がでかい声を張り上げ、敬介が唖然とする。
「アマテラス所有のパワードアーマー、ロットエクシードを確認した!その機体を強奪しに来たぞ!」
「あーあー、仕事が早いこった」
敬介が送られて来た映像を三百六十度フルディスプレイの一角に表示すると、藍色の機体が三機暴れていた。同じような二足歩行の人型だがこちらよりもよたよたと動いている。脚部がスカートの様に大きく膨れていて安定性は増しているが、その周辺に取り付けられているブースターの出力が運動性を引き出し切れておらず、まるでのろのろとしていた。
「アリス!出るぞ」
敬介機がウォレス二型の落ちて来た穴から飛び出すと、三機のモーションセンサーに同時に引っ掛かった。
敵機三機が同時にこちらを見つけて接近して来る。
「警報、敵機接近、警報、距離三」
「萌、いるか?」
敬介機がぴょんぴょんとバックステップを踏み、周囲の木々を蹴っ飛ばしながら接近して来た一機目のロットエクシードの頭を掴んで力任せに地面にたたき付ける。五指マニュピレータの間から爆発の炎が見え、頭部を叩き潰されたロットエクシードが無力化されると、敬介は左腕を軸にして逆立ちして飛んで来たロケット弾をそのまま回転して回避、そのままの勢いで前回りし、勢いのまま立ち上がる。
「接近、敵機認定G2、G3同時に来ます」
ロットエクシード二機が輝くロッドを握ってそれを横薙ぎに振って来る。
「高出力レーザー兵器か。こいつら減衰とパワー拡散を知ってるのか?」
敬介は左足を後ろに、右足を前に開く様にして上半身を右足の上に畳むようにして乗せると、自分たちの真上をレーザーロッドがかすめて行く。一機目をやり過ごして二機目に向かって右拳のアッパーカットを入れると首がもげてはるか向こうの森に敵機の頭部が落っこちた。
「後ろです!」
三咲が叫ぶと先ほどやり過ごした機体が既に真後ろに迫ってレーザーロッドを振りあげている。
「足元がお留守ですよっっとっぉ!」
敬介が脚部のブースターに指向性を持たせ噴射すると、両足を開いたままのウォレス二型が駒のように回転してロットエクシードの背後から足払いをかけ、ロットエクシードがバランスを崩しながらもブースターを展開して空に上がった。ウォレス二型もその間に姿勢を取り戻して追う様にして跳躍、脚部に格納されている百八十ミリ速射砲を展開し、左手に握る。
「ロック、射撃」
敬介の指示にアリスが照準を固定して一発放ち、敬介がリロードする。大型で強力無比であるものの、連射性能は低い。ボルトアクションの百八十ミリ高速手甲弾は狙撃に用いた方が良い。恐らく狙撃性能を試す意味合いがあって装備されていたのだろうが…今は無駄が多すぎた。
空中でブースターを使って転身、こちらに体当たりをするようにして落ちて来たロットエクシードを受け止める様な形になってウォレス二型が背中から地面に激突し、相手のレーザーロットがライフルを薙ぐと、ライフルが誘爆して左手の五指マニュピレーターの反応がロストする。
「もろいな…」
敬介は舌打ちすると真上に圧し掛かっているロットエクシードに対して頭突きを入れるとロットエクシードが仰け反る。がっちりと脚部でホールドされているために吹き飛ばすまでには行かなかったが、敬介はもう一度頭突きを入れると体制が見事に逆転した。
馬乗りになってウォレス二型の腰の後ろにあるバックパックからナイフを取り出し、レーザーカッターを起動するとナイフの刀身が赤紫色に発光する。
「ゲームオーバーだ」
敬介は敵機のコックピットに向けてレーザーカッターを振り下ろし、その刃先が装甲に突き刺さりそうになった瞬間、ロットエクシード側…つまり真下から打ち上げられるような衝撃を食らってウォレス二型は弧を描く様にして空に舞い、背中から地面に激突した。
「やっべぇ…三咲たん…」
敬介が薄れ行く意識の中でシートの裏側を見ると、三咲がぴくりとも動かずに目を閉じていた。
そこら中に身体をぶつけて気絶した三咲に敬介は舌打ちする。コックピットの内部ではそこら中のケーブルからスパークが飛び、キュインキュインと速いテンポで警告音が響き、赤く明滅する警告灯が耳障り、目障りだった。
カメラが捕えた自分たちを吹き飛ばしたロットエクシードが追撃をして来るかと思ったが、じっとして動かなかった。と、思った矢先にどこかに飛んで行ってしまう。
「三次元戦闘か…空も飛ぶんだなぁ」
敬介はほっとして通信をオンにする。
「回収してくれ。要救助者一名、あと…バッテリーパックもだ」
前のシートでバッテリーがダウンしたアリスを見て敬介が目を閉じると、意識が完全に飛んだ。
◆◆ ◆◆
アマテラス兵器工廠
六月の第二週 水曜日 十五時三十分
真っ白な身体にフィットするパイロットスーツにヘルメットを被った青年がハッチを開いて出て来ると、小さくため息を吐いた。
新型のパワードアーマーを収容している工場がクリーチャーの襲撃を受け、そのクリーチャーを捕獲したまではいい報告だった。大型の海洋生物型クリーチャーは飛行能力を持っているために研究する価値はある、と上に言われていたのだが…。
「それが暴走して新型も動かしたのは良かったが…まさか十三機関もクリーチャーに気付いて出撃していたとはね」
青年はヘルメットを外してため息を吐くと、赤い髪の少女がこちらに走ってやって来ていた。
「ご苦労さまです、クァリス少佐」
両手を後ろに回して踵を付ける様にして立つ少女にクァリスは目を細める。クァリスは端正な顔立ちに一見すると女性の様に見える顔立ちをしてはいるが、強気なその姿勢とパワードアーマーの腕は一流だった。
「ヴァネッサ少佐も出撃したかったのではないのかね?」
「私はテスト兵ですから。まぁ新型とやらに乗ってみたかった気持ちはありますが」
ヴァネッサが照れ隠しの様に微笑むとクァリスも同じように笑った。赤い髪をした活発な印象のイメージで、基地内でも彼女がやって来てから少し明るくなった様な気がした。アマテラスに来る前にも反政府運動を行っていたと言う彼女の経歴は調査しているが、パワードアーマーの腕もそこそこだと聞く。
実戦投入すらされていないが、パワードアーマーに乗る事が出来る少女は十五、六でまだまだ幼いが戦力としては申し分なかった。
「ヴァネッサ君、ウォレス二型と戦闘をしたデータを見たいかい?」
「ぜひ…」
先ほどまでたおやかに微笑んでいたヴァネッサの目つきが変わり、緊張を含んだものに変わる。これからデブリーフィングをしなければならないので、一緒にクァリスとブリーフィングルームに入ると太った男が一人、既に八人掛けのテーブルに座っていた。薄暗い部屋で太った男の顔まではよく見えず、八人の席の前にある液晶ディスプレイが不気味に部屋の中を照らしていた。クァリスとヴァネッサは並んでディスプレイの前に座り、大型ディスプレイに映し出されたクァリス機の戦闘データをまず閲覧する。
まず崩壊寸前の建物の中の様子がディスプレイに映し出され、崩壊した兵器工廠から脱出した。続いて空に存在しているエイのようなクリーチャーと戦闘を開始直後、三人の少女が同じ空域を飛び回っている。
映像が一時停止されて三人の少女の姿がアップされる。
「これは?」
太った男がクァリスに尋ねると、クァリスは首を左右に振った。
「人間の形をした何か、ですね。戦闘能力はあの大きさでパワードアーマーと互角、いやそれ以上でした。二人、と言うか二機、と言うか…少女たちを破壊したウォレス二型は残り一機によってサンクチュアリ、命の集う場所下層に落されました」
「そのようだな」
太った男はつまらなさそうに映像を進めると、ウォレス二型が奪取され地表に飛び出して来た映像になった。
「この時点で新型であるウォレス二型は奪取されていまして、強行回収班である味方機二機が撃破されました。これは正直に言って…敵側である組織は既にパワードアーマーを実用段階に漕ぎ付けていると…思われます」
「馬鹿な」
太った男は鼻で笑うとクァリスも確かにおかしな話ではあるが、と考えた。
どこの国の軍隊でもまだパワードアーマーを実用段階にしているところはない。研究は進んでいたとしてもアマテラスでもまだ十数機しかパワードアーマーは稼働されていない。それどころか構想自体も未発表なままなのだ。
それでも…。
ウォレス二型を奪取した敵組織のパイロットは非常に優秀であるとしか言いようがなかった。戦闘センスだけではどうにもならない、設計、骨格の動かし方まで熟知している。それにシフトプログラムまで熟知していなければあの新型は動かしきれないはずだった。
テスト兵はそう言った知識も身に付けて、動かしながらプログラムを改変する必要がある。それをあのパイロットはやすやすとやってのけたのだ。
「敵は…未知数かね?」
いつの間にか再生されていた映像が消されていて、クァリスはハッと我に返った。
「…はい。オープンチャンネルの記録から抽出した名前は…」
太った男が自分の目の前のディスプレイをタッチすると、クァリスとヴァネッサの目の前の小さなディスプレイに名前が表示された。
「敬介、儚、萌、アリス、教官、アレイ、ミーア、三咲たんだそうだ」
「敬介、儚、萌…?」
聞いた事のある名前にクァリスとヴァネッサが顔を見合わせる。ヴァネッサからして見れば前に共闘した人間の名であり、クァリスからして見れば厄介な名前だった。
「十三機関の特捜官です…。敬介博士は名が知られていますが…萌は巨大な剣のアーティファクトを持った少女です。見目は少女ですがとんでもない破壊力と戦闘能力を保有しています。儚は変装と潜入の達人で表立った任務には参加して来ないはずですが…実戦能力もそれなりに高いと聞いています」
クァリスの言葉に太った男は驚きもせずに頷いた。恐らく既に調べはついているのだろう。
「再出撃が可能ならばすぐに襲撃し、奴らを徹底的に叩きたいところだ。こちらの機体を強奪した時もウォレス二型しか戦線に投入して来なかった、と言う事は向こうはパワードアーマーを持ってはいない。今ならば叩き潰せる、そうだな?」
太った男に言われてクァリスは目を細める。本当にそうなら容易いが、相手はあの天才敬介博士なのだ。どこでどう反撃してくるかわからない。
「まさか、クァリス少佐に攻撃をしたウォレス二型のパイロットって…敬介博士だと?」
ヴァネッサが太った男に尋ねると、太った男は両手を左右に空かして見せる。
「わからんが、可能背は低くはないはずだ。ユグドラシルレポート断章を保有している可能性もある。その脱臭も出来ればアマテラスもより強大な戦力になれるはずだ」
太った男はそう言うと下品な笑い声を部屋に響かせた。
「空対空重視目的で造られたウォリス二型は損失したが、地上戦闘用のテスト機であるウォレス一型とウォレス鎮圧兵装型が幸い、この工廠に存在する。ウォレス一型にクァリス君、鎮圧兵装型にヴァネッサ君が乗りたまえ。三十六時間やる。訓練して来い」
「はっ」
「了解であります!」
クァリスとヴァネッサが通路に出ると、ヴァネッサはため息を吐いた。偉そうにしているだけで実際は何もしていないのではないか?と思われる作戦司令部の大佐である彼は基地内でも評判があまり良くない。昔は政治家だったらしいが、失脚してアマテラスの幹部になっていると言うが、要するに金をアマテラスに注いでいるから幹部になれただけの男だ。
「ヴァネッサ君、君はテストパイロットなのに実戦に投入されると聞いて緊張した感じがしないね」
「え?あ、まぁ…。私もゲリラ軍で一応戦線に参加していましたので、それほど緊張はしていないので」
ヴァネッサが空笑いしながら答えるとクァリスは「そうか」と哀しそうに微笑んだ。
なんだろう、この人。アマテラスってもっと血の気が多い人の集まりかと思ってたけど…。
正規軍でもまずお目にかかれない紳士的な態度に知性を感じる横顔を見てヴァネッサはクァリスという人物が気になった。
最近、うちによく預かっている従妹の友人たちが集まります。
外で悪いことされないからいいかなぁとおもってたんですが、部屋にPC四台置いてあるのが珍しいらしく、部屋に入ってきゃいきゃい騒いでいるのがめんどくさーい。
ボーナス入ったんで奮発して買った7.2チャンネルのサラウンド音源を入れたのが大失敗で、映画鑑賞会とか勝手にやられてます。うらやましいと思ったやつは呪います。
まぁ買ってきたお菓子くれるんですけど、お返しにいっぱい買ってあげたら、おいしいものは基本的に高カロリーなんだよねぇと言われました。高カロリーばんざいだばかやろーぅ!
俺の平穏が消えていく。
従妹を預かることになったのは、その子の父親が単身赴任で海外だそうです。母親がいなくてどーのってことでうちの家族の一員に。元々遊びに来てたからいっかぁと思ったんだけど、あれ?日記みたいになってる。
ちなみに恵美のキャラクタベースは従妹だったりします。ちょっと何を考えてるのか分からないところとか…。
次回!『伸びないラーメンを作れ!現代科学の限界に挑む!』(嘘
であ~




