独白及び決意表明
俺が世界に希望を求めている時、脳内に浮かぶのは、いつもあの子の顔だった。その度に俺は、それを禁忌のように思い、必死に頭から排除しようとする。もう俺には、あの子を求める資格が無いからだ。そして深い孤独に耐えかねて、手を伸ばすのは、やはり小説だった。小説を書くことは、俺にとって、現実逃避だった。小説を書くことで俺は、自分に言い訳をしている。俺は小説に恋をしているんだ。そう自分に言い聞かせて、現実の恋から、目を背ける口実を作っている。俺が執着心の強い、醜い化物になってしまうのを、必死に抑え込むために、俺は小説に逃げている。小説はそんな俺を受け入れてくれた。俺は小説を書いて生きるしかないんだ。そう思わせてくれた。俺は他とは違うから、他人に面白がられることはあれど、受け入れられることは無いんだって、何度も思って、俺はもう誰かの前で自我を出してはいけないんだって、そう理解して、しかしそれでも強制的に溜まっていく俺の承認欲求を、発散するための居場所を与えてくれているのが、小説だ。俺が美しい小説を書けば書くほど、俺は俺自身を、認めてあげられる。他人に期待することに限りなく臆病になってしまった俺の、最後の他人への自己開示。それが俺にとっての、小説だ。
書く作品は、気高く、美しく。そんな作品を目指すことにした。
しかしその奥底には自然と、闇が潜む。
それを読者に、見つけて欲しい。
否定も肯定もいらない。
ただ、本当の俺がここにいることを、見つけて欲しいんだ。
小説という媒体を通じて、俺は俺の生きた証を、この世界に遺したい。
そのためだけに俺は、生きていって、
そして死ぬんだ。




