ep2 日常の響きと零の野心
朝練が終わって教室に戻ると、星刻学園のいつもの空気が俺を迎えた。
三年A組の教室は、能力者ばかりの賑やかな空間だ。
窓際の席に座って制服のシャツを軽く直すと、隣の席の女子が立ち上がってノートを取ろうとした瞬間、スカートの裾がふわりとめくれ、薄い水色のレースのパンツが一瞬だけ見えた。
彼女は気づかず「んしょっ」と伸びをして座り直す。俺は視線を逸らして小さく息を吐いた。
この学園じゃ、こういう光景は日常茶飯事だ。
一時間目は普通の数学。
二時間目は「異能理論」の特別授業。
教師がホワイトボードに書くのは、過去の覚醒事例と能力の相性表。
生徒たちは自分の能力を軽く披露しながら議論する。
後ろの席の男が「俺の重力操作で机浮かせるわ!」とデモを始めると、周りの女子が「きゃっ、危ない!」と笑いながら少し身を寄せてくる。
俺は教科書に目を通しながら、ただ静かに聞いていた。
休み時間になると、焔がいつものように俺の机に腰を乗せてきた。
ブレザーのボタンがまた一つ外れていて、白いシャツが張りついている。
赤いレースのラインがほんのり浮かんで見える。
「零、さっきの朝練マジでムカつく! どうやったらあんなに強くなるの? 教えてよー」
「秘密だ。……お前がもっと強くなれば、いつか教えてやるかもな」
放課後近くになると、俺は一人で屋上へ上がった。
フェンスに寄りかかりながら、学園の広大な敷地を見下ろす。
ここ星刻学園は、ただの能力養成所じゃない。
表向きは平和な学園生活だけど、俺は知っている。
この学園の地下には「覚醒の秘密」が隠されていて、外の世界には能力者を狙う組織が存在するって噂を。
俺の目標はシンプルだ。
この学園で出会う強力な能力を、すべて【インフィニット・ミラージュ・アセンション】でコピーして永続ストックする。
そして昇華させて超越強化し、完全なる最強になる。
その力で、学園に隠された真実を暴き、卒業後に待つ本当の戦いで、仲間たちを守ること。
それが俺、神崎零がこの学校で生きる理由だ。
退屈な日常の中で、少しずつ武器を増やしていく。
焔の炎、明日の誰かの新能力……全部俺のものにしていく。




