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追放された貴族は《再構築》の力で世界を直す  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)
第1章 追放の儀式

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第2話「ギフトの授与」

成人式から三日が経っていた。レオンとリナは、王国の領土を出て、辺境の道なき道を歩き続けていた。


周囲の景色は、次第に変わっていった。かつてアーデルハイト領の南部にあった平原は、今では枯れ草が生い茂り、ところどころ魔物の足跡が残されている。夜間は狼のような鳴き声が響き、昼間でも何か視線を感じるような、不気味な雰囲気が漂っていた。


「坊ちゃん。水がなくなりました」


三日目の昼下がり、リナが水筒を振った。中身は空だ。


レオンは周辺を見回る。地平線の先には、何もない。ただ、枯れ果てた大地が続くだけだ。


「あと、五ゴルドしかない。このペースだと……」


レオンは計算する。

食料も底をついている。

金もない。

水もない。

そして、辺境には、人間以外のものがいる。

まるで答え合わせをするように、遠くから何かが吠えた。

魔物の声だ。


「リナ。あのナイフを出してくれ」


リナは懐からナイフを取り出した。城の台所で使う、小さな刃物だ。こんなもので魔物と戦えるはずもないが、無いよりはましだ。


その時だった。地面が揺れた。


「何ですか?」


リナが叫ぶ。


地震ではない。何か大きなものが、この地を踏みしめている。やがて、それが姿を現した。


体長三メートルはありそうな狼だ。普通の狼ではない。毛並みが漆黒で、目が赤く輝いている。魔物だ。


「逃げろ!」


レオンはリナの腕を掴み、走った。背後から、魔物の吠える声が聞こえる。

足音が近づいている。


必死に走り、走り、走った。やがて、地面の高低差に気づいた。断崖だ。


「うわっ!」


レオンとリナは、崖から落ちた。転げ落ちながら、彼らは一つの大きな穴へ吸い込まれていった。



意識が戻った。痛みが全身を襲う。レオンは目を開けた。周囲は、暗い。石の色をしている。洞窟だ。


「リナ……」


と、呼びかけた。


「ここにいます」


リナの声が聞こえた。彼女も無事なようだ。二人は身体を起こした。怪我はあるが、致命的ではないようだ。


「ここは……」


レオンは周囲を観察した。洞窟の壁は、不自然な加工がされている。

まるで、誰かが意図的に掘ったような跡だ。そして、床には、古い文字が刻まれていた。


「これは……」


言語学をかじったレオンでも、この文字は読めない。古代の言葉のようだ。


奥へ進むと、さらに驚くべき光景が広がっていた。巨大なホール。天井は高く、光の加工がされている。壁には、装置のようなものが設置されている。


「これは……古代遺跡だ」


レオンは言葉を失った。古代の遺跡は、王国全体で考古学の対象だ。知られているもの、知られていないもの、様々だが、これほどまでに保存状態の良い遺跡は珍しい。


レオンは、好奇心に駆られて、壁の装置に近づいた。古い金属に覆われた、謎の機械。


「触ってはいけません」とリナが止めようとしたが、レオンは既にそれに手を置いていた。その瞬間だ。何か、音がした。装置が反応したのだ。


「坊ちゃん!」


リナが悲鳴を上げた。装置から、光が放たれた。青白い、まるで自分が成人式で見た光と同じような色の光が。光はレオンを包み込んだ。


そして、その瞬間——


レオンは、何かを「理解した」。壊れたこの装置の構造。どの部品が機能し、どの部品が損傷しているのか。すべてが、脳の中に流れ込んでくるように。


レオンは、咄嗟に手を動かしていた。壊れた部品に指を当てると、その部品が動いた。

不可思議なことに、機械の一部が、みしみしと音を立てながら、形を変える。亀裂が塞がり。歪みが正される。機械が、再び完全な形へ戻っていった。やがて、すべてが完成した。


装置は、完全に修復されたのだ。同時に、機械が起動した。ホール全体に、光が満ちた。古代文明の照明が、数千年ぶりに再点灯した。


「坊ちゃん……」


リナが、恐怖に満ちた声で呼びかけた。


「何が起きたのですか?」


レオンは、自分の手を見つめた。手は、微かに光っている。その光は、徐々に消えていく。


「これは……」


レオンの脳裏に、何かが蘇った。成人式での、あの宣告。

『ギフト名:再構築。壊れたものを修復する力』


だが、それは違う。レオンは、この瞬間に理解した。これは、修復の力ではない。これは、理解の力だ。壊れたものの「構造」を完全に理解し、その理を「組み直す」力なのだ。


単なる修復ではなく、再構築。


この機械も、元々の設計図などなくても、その構造を理解すれば、完全に修復できる。

そして、もしかしたら——改良することだって可能なのではないだろうか。


「リナ。このギフトは……」


レオンは、ようやく言葉を発した。


「……本当は、強いんだ」


リナは首をかしげた。


「坊ちゃん。何が見えているのですか?」

「見えているんじゃない。理解しているんだ。すべてが。この機械の仕組みが。古代文明の思想が。そして……」


レオンは周囲を見回った。


「この遺跡が、何を求めているのかが」


その時、ホールの奥から、声が聞こえた。


「再構築者よ。目覚めよ」


それは、人間の声ではなく、機械音のようでもあり、何か太古の意志のようでもあった。


「この世界は、壊れている」


声は続く。


「かつての栄光は、失われた。だが、貴方は異なる。貴方は、壊れたものを直すことができる。世界を直すことができる者だ」


「何ですか、これは?」


リナが恐怖に震えた。だが、レオンは違った。むしろ、確信に満ちた表情になっていた。


「この機械は……昔、誰かによってプログラムされたんだ。再構築の力を持つ者が現れたら、メッセージを発するように」


レオンは、ゆっくりとホールの中央に歩み出た。


「つまり、俺は……探されていたんだ」


「何を言っているのですか?」


「俺のギフトは、E級だと言われた。役立たずだと言われた。だが……」


レオンは、自分の手を握る。


「もしこれが、世界を直すために必要な力なら?」


「坊ちゃん……」


リナは、驚きと不安の入り混じった表情で、レオンを見つめた。機械の声は、続いていた。



「再構築者よ。貴方が来ることを、待っていた。貴方は、新しい時代を築く者だ」


レオンの目に、初めて光が戻ってきた。それは、絶望の中で失われていた光ではなく、新しい炎だ。


「俺は……」


レオンは呟いた。


「家族に失われた。故郷に失われた。だが、ここには……」


彼は、ホール全体を見渡した。


「ここには、俺を必要とする何かがある」


その夜、レオンとリナは、古代遺跡の一角で眠った。復活した照明に照らされながら、レオンは天井を見つめていた。


もう王国の貴族ではない。アーデルハイト家の息子でもない。だが、それでいい。自分は、もっと大きな何かの一部なのだから。



夜明け前、レオンは起床した。古代遺跡を調べるにつれ、彼は多くのことに気づいた。この遺跡は、かつて栄えた古代文明の一部であること。王国が今、衰退しているのは、古代文明の力の喪失が関係していること。そして、再構築の力は、その古代文明を復活させるために、必要とされていたことを。


「リナ。俺たちは、ここを出よう」

「どこへ?」

「世界へ。王国の外へ。そして、この力の意味を、探す」


リナは頷いた。



二人は、遺跡から出た。上へ出ると、太陽が昇っていた。昨日、魔物に追われた絶望から、今日は自由が訪れていた。


「坊ちゃん、どこに行くのですか?」


レオンは、眼下に見える村を指差した。


「荒れた大地に、人がいるなら、俺たちの始まりもそこかもしれない」


二人は、朝日を背に、村へ向かって下りていった。古代遺跡は、背後で静かに輝いていた。


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