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追放された貴族は《再構築》の力で世界を直す  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)
第3章 開拓と仲間たち

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第18話「商人リナの才覚」

鉱山救出の翌日、レオンはギルドで新しい依頼を探していた。ルリアも一緒だ。


掲示板には、多くの依頼が貼られている。魔獣討伐、護衛任務、物資運搬。


「どれにしますか?」


ルリアが聞いた。


「まだ決めていない」


レオンは、掲示板を眺めながら答えた。その時、リナが宿から戻ってきた。彼女は、商人用の服装に着替えている。


「坊ちゃん、私は商業地区へ行ってきます」

「商業地区?」

「はい。リコンストラクト領の特産品を、ここで売り込むチャンスです」


リナは、大きな鞄を肩にかけていた。中には、耐性植物の加工品が入っている。


「一人で大丈夫か?」

「大丈夫です。商人としての経験は、私にもあります」


リナは、自信に満ちた表情で言った。


「わかった。気をつけて」

「では、行ってきます」


リナは、ギルドを出た。


ファルマの商業地区は、賑やかだった。様々な店が立ち並び、商人たちが品物を並べている。


リナは、その中を歩きながら、観察していた。どの店が繁盛しているか。どんな商品が人気なのか。そして、どこに商機があるのか。


やがて、リナは一軒の大きな店の前で立ち止まった。看板には「グランデ商会」と書かれている。


「ここが、一番大きな商会か」


リナは、店に入った。中は、広いホールになっていて、多くの商品が陳列されている。奥には、受付があった。


「いらっしゃいませ」


若い男性が、笑顔で迎えた。


「何をお探しですか?」

「いえ、買い物ではなく、商談に来ました」


リナは、名刺を差し出した。


「私は、リコンストラクト領の商人、リナと申します」

「リコンストラクト領?」


男性は、首を傾げた。


「初めて聞く名前ですね」

「辺境に、最近できた町です」

「辺境の町ですか……」


男性の表情が、わずかに冷たくなった。


「申し訳ありませんが、当商会は大口の取引しか扱っておりません」

「大口の取引をしたいのです」


リナは、鞄から小さな袋を取り出した。


「これを見ていただけますか?」


袋の中には、赤根草の乾燥したものが入っている。


男性は、それを手に取った。


「これは……野菜ですか?」

「赤根草といいます。特殊な性質を持つ植物です」

「特殊な性質?」

「汚染された土壌でも育ち、負の魔力を吸収します」


男性の表情が、変わった。


「汚染された土壌で育つ?」

「はい。そして、食用にもなります」


リナは、もう一つの袋を取り出した。


「こちらは苦麦。同じく汚染された土壌で育ちます」


男性は、二つの袋を見つめた。


「少々お待ちください。上司を呼びます」


男性が、奥へ引っ込んだ。しばらくして、年配の男性が現れた。


立派な服を着ている。商会の責任者だろう。


「私は、グランデ商会の副会長、ギルバートです」


ギルバートは、リナを見つめた。


「あなたが、汚染された土壌で育つ植物を持っているとか?」

「はい」


リナは、再び袋を見せた。ギルバートは、それを手に取り、念入りに調べた。


「確かに、普通の植物とは違う」


ギルバートは、リナを見た。


「これは、どこで栽培しているのですか?」

「リコンストラクト領です。辺境の町で」

「辺境……」


ギルバートは、考え込んだ。


「実は、最近、王国全体で土壌汚染が深刻化しています。多くの農地が使えなくなっている」

「存じております」


リナは頷いた。


「だからこそ、この植物が必要なのです」

「なるほど」


ギルバートは、袋を机に置いた。


「しかし、これが本当に汚染された土壌で育つという証拠はありますか?」

「証拠なら」


リナは、鞄から一冊の記録帳を取り出した。


「これが、栽培記録です。土壌の状態、成長過程、収穫量、すべてが記録されています」


ギルバートは、記録帳を受け取って、ページをめくった。詳細なデータが、びっしりと書き込まれている。


「これは……かなり専門的な記録ですね」

「私たちの町には、優秀な農業管理者がおります」

「そうですか」


ギルバートは、記録帳を閉じた。


「興味深い。ですが、まず実物を確認したい。この植物の種を、少量譲っていただけますか?」

「もちろん」


リナは、別の袋を取り出した。


「赤根草と苦麦の種です。どうぞ」

「ありがとうございます」


ギルバートは、種の袋を受け取った。


「これを当商会の農場で試験栽培します。もし、本当に汚染された土壌で育つなら、大口の取引を検討しましょう」

「ありがとうございます」


リナは、丁寧に頭を下げた。


「試験栽培の結果が出るまで、どのくらいかかりますか?」

「早ければ、一ヶ月です」

「わかりました。では、一ヶ月後に、また伺います」


グランデ商会を出たリナは、次の目的地へ向かった。


薬品を扱う店だ。耐性植物は、食用だけでなく、薬品の原料にもなる。店に入ると、店主が奥から出てきた。白髪の老人だ。


「何か御用ですか?」

「薬品の原料を、お持ちしました」


リナは、耐魔芋のサンプルを見せた。


「これは、負の魔力を無害化する性質があります」


店主は、興味深そうにサンプルを見た。


「負の魔力を無害化?」

「はい。最近、魔力汚染による病気が増えていると聞きました」

「その通りです」


店主は、深刻な表情で頷いた。


「多くの患者が、原因不明の症状に苦しんでいます。もし、これが本当に効果があるなら……」

「試していただけますか?」


リナは、サンプルを差し出した。


「もちろん。少し時間をください」


店主は、サンプルを持って、奥の部屋へ消えた。



数時間後、リナは三軒の店と、予備的な契約を結んでいた。一つは食料品店。一つは薬品店。そして一つは、肥料を扱う農業資材店。すべてが、試験的な取引だが、成功すれば大口の契約に繋がる。


リナは、宿に戻る途中、市場を歩いていた。そこで、一人の男とぶつかった。


「すみません」


リナが謝ると、男はじろじろとリナを見た。


「あんた、商人か?」

「はい」

「どこの商会だ?」

「リコンストラクト領の……」

「リコンストラクト領?」


男は、眉をひそめた。


「聞いたことがないな。新参者か」

「そうです」

「ふん」


男は、鼻で笑った。


「新参者が、グランデ商会に出入りしてたな。何を企んでる?」

「企むも何も、正当な商売です」

リナは、冷静に答えた。


「正当な商売ねえ」


男は、リナに一歩近づいた。


「いいか、この街の商売は、俺たちが仕切ってる。新参者が勝手なことをすると、痛い目に遭うぞ」

「脅しですか?」

「忠告だ」


男は、にやりと笑った。


「覚えておけ」


男は、去っていった。リナは、その背中を見つめた。


「やはり、簡単にはいかないか」


リナは、深く息をついた。商売の世界は、甘くない。だが、リナは恐れていない。リコンストラクト領のために、必ず成功させる。


宿に戻ると、レオンとルリアが待っていた。


「おかえり、リナ」


レオンが声をかけた。


「ただいま戻りました」


リナは、鞄を置いた。


「どうだった?」

「三件の予備契約を結びました」

「本当か?」


レオンは、驚いた表情を見せた。


「すごいな」

「まだ、試験段階ですが」


リナは、契約書を見せた。


「もし成功すれば、リコンストラクト領の経済は大きく安定します」

「ありがとう、リナ」


レオンは、心から感謝した。


「君がいてくれて、本当に助かる」

「いえ、これが私の仕事ですから」


リナは、微笑んだ。


「ただ、一つ問題があります」

「問題?」

「この街には、既存の商人たちの縄張りがあるようです。新参者を快く思わない者もいます」

「そうか」


レオンは、考え込んだ。


「気をつけなければならないな」

「はい。でも、大丈夫です」


リナは、自信に満ちた表情で言った。


「私は、負けません」


その夜、リナは自分の部屋で、帳簿を整理していた。今日の商談の記録。契約の詳細。今後の計画。すべてを、丁寧に書き込んでいく。


窓の外を見ると、ファルマの街が灯りに照らされていた。大きな街。多くの人々。そして、多くの商機。


「ここで成功すれば、リコンストラクト領は変わる」


リナは、そう確信した。かつて、自分は城の使用人だった。レオンに仕え、料理を作り、掃除をしていた。だが、今は違う。今は、商人だ。町の経済を支える、重要な役割を担っている。


「坊ちゃんのために。そして、町のみんなのために」


リナは、ペンを走らせた。


明日も、商談がある。やるべきことは、まだたくさんある。だが、リナは恐れていない。なぜなら、自分には目的があるから。リコンストラクト領を、もっと大きくする。そして、坊ちゃんの夢を、支える。それが、自分の役割なのだ。


窓の外では、月が輝いていた。




翌日、リナは再び商業地区へ向かった。今日は、小さな商店を回る予定だ。大きな商会だけでなく、小さな店とも関係を築く必要がある。最初の店は、パン屋だった。


「こんにちは」


リナが入ると、店主が笑顔で迎えた。


「いらっしゃい。何が欲しい?」

「実は、商談に来ました」


リナは、苦麦のサンプルを見せた。


「この穀物で、パンを作れませんか?」


店主は、サンプルを手に取った。


「これは……普通の麦じゃないな」

「苦麦といいます。汚染された土壌でも育ちます」

「汚染された土壌で?」


店主の表情が、変わった。


「それは、今の時代に必要なものだな」

「試しに、パンを作っていただけますか?」

「いいだろう」


店主は、サンプルを受け取った。


「明日、また来てくれ。試作品を作っておく」

「ありがとうございます」


リナは、次の店へ向かった。




一日が終わる頃、リナは十軒以上の店と接触していた。すべてが成功したわけではないが、いくつかの店は興味を示してくれた。


宿に戻ると、レオンが待っていた。


「おかえり」

「ただいま戻りました」


リナは、疲れた表情で座り込んだ。


「大変だったな」

「はい。でも、充実していました」


リナは、微笑んだ。


「明日も、頑張ります」

「無理はするなよ」

「大丈夫です」


リナは、窓の外を見た。夕日が、街を照らしている。


「坊ちゃん、この街で、私たちは成功します」

「ああ」

レオンは頷いた。


「君を信じている」


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