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EP54 闇の少女

ここ3日ほど更新できずすいません。この話もストーリーがあんまり進んでないです。

体調を崩してしまいしばらく更新速度が落ちそうです。


Side:アーシュ 


 俺たちは帰りに乗ってきた大型の輸送ヘリからそのまま飛び降りて、敵が侵入のために開けたであろう穴に2人で突入する。ここに戻ってくるまでにヘリの中で修理できるところは修理した。100%のコンディションではないがだいぶマシになった。


「ブローミング・ドライブ……!」


高高度から落下する俺たちは光に包まれて変身しながら戦場に向かう。


「穿星勇者アーシュケリア……」


「剛翼烈翔フォルテ・アクイア!」


ビルのロビーに着地するとともに、俺たちは名乗りを上げる。と言っても周りに人はいない。緊急時につき職員は皆地下に移っている。そのおかげで大分デカい縦穴を屋上からあけられたにもかかわらず、けが人がいそうなのは不幸中の幸いだ。しかし、逆に言えば多くの職員が逃げられない地下に追い込まれたともいえるので予断を許さない状況だが。


「エレベーターだ!俺たちも降りるぞ!」


「おい、待て!俺が先に行く」


敵はエレベーターに突入して、その縦穴を降りていったようだ。エレベーターを待つ慎みもないとはせっかちな相手だ。それを見たからか、フォルテもロケットのように壊れた扉に突っ込んでいく。俺はギリギリで肩を掴んで止める。


「なんだよ!?早くいかねーとみんながあぶねーんだぞ!」


「敵の強さは未知数だ。俺が先行して盾になる」


 先ほどのアナウンスとは違うが理屈とは別に、言いようのない不安を感じて彼女には慎重に行動して欲しかった。


「さっき痛みが必要なら分け合えってお前が言ったんだろ?自分だけ背負い込む気か?俺たちのフォーメーションは俺が前で敵を殴って、拳が届かない敵はお前が後ろから撃つってもんだろ?俺に怪我させたくないってんならその前にお前が撃って倒せ……」


痛みを分け合う。つい先ほど言った言葉を出されて俺は何も言えなくなる。フォルテが怪我をする前に俺が撃ち倒せばいいというのもその通りで実際そういう心持で俺たちは戦ってきた。だがどうしようもなく不安なのだ。


「ああ、そうだな……だが軽率に突っ込むことだけはやめてくれ。頼む……」


 俺は自分の胸の内のもやもやを言語化できずに、ただ自制を求めることしかできなかった。


「……?まぁ、分かったよ……」


リンクから俺の精神状態を察してくれたのか彼女はしっくり来ていない様子だったが、俺の頼みを承諾してくれる。


「まず、魔力センサーで敵を探せ……管制室!そっちはどうなってる?」


「了解だ」


フォルテは下の階に進みながら、状況把握に意識を向けてくれるようだ。俺は指示通りバイザーを下ろして敵を探す。彼女の方は先に管制室に通信を入れる

センサーで感知できる鋼魔人と思われる敵性反応は、下の階を何かを探すようにゆっくりと移動していた。その歩みの遅さは慎重さゆえか、それとも余裕の表れか。


『こちら管制室、陣屋だ。敵がどう動くか分からんから下手に動けなくてな……こっちは戦闘できる人員を分散配置しての籠城状態だ』


管制室からの通信がこちらにも聞こえてくる。


『今比較的安全そうな脱出ルートを算出してる。そっから非戦闘員を遠ざける感じで時間稼ぎして欲しい』


「非戦闘員だけでいいのか?ぶっちゃけみんなで逃げてもらった方が俺たち的にも気が楽なんだが……」


『それについてなんだが一つ策があるんだ……』


俺たちは管制室からの指示を受けたところで、行動の方針が固まった。覚悟を決めて一気に敵がいる階層まで降りていく。


「でぇえい!」


フォルテは箱がそこまで落ちたエレベーターの縦穴を自由落下で降下していき、敵のいる階に来たところで縦穴の壁を蹴り込んで跳び、奇襲をかける。彼女は敵の姿をしっかり確認することをしないままに自慢の拳で殴りかかって見せた。


“キィーン”


甲高い音が響いたが、それは彼女の拳が金属の敵に当たったわけではなかった。


「……!?」


黒いシルエットの周りに金属の被膜が展開され彼女の拳を受け止める。


「ひっこんで出てこない腰抜けばかりと思ったら今度は出会いがしろにこれとは……ずいぶんと礼儀のないやつらだな」


“バンッ!バンッ!バンッ!”


銀色の被膜は、球状だが完全な形ではない。フォルテに一瞬遅れて階層に降りた俺は、敵が視界に入ると同時に空中でライフルを発砲する。フォルテをすり抜けて当てる程度の自信はある。それができる彼女との信頼も含めて……。

 しかし、金属の膜は精密に反応し、ライフル弾も防ぐ。水面のような揺れる光沢を見せるその障壁は液体金属だろうか?センサーで観測すると表面は魔力が巡っている。エネルギーと物理二重のバリアだ。だとしてもフォルテの拳は生半可な力で止められるものではない。それは敵の実力が見えてくる。

近くで観測するとよくわかる被膜の向こうにいる敵の力は強大だ。質量的にも魔力的にも密度というのだろうか?反応が大きい。


「……!?」


「避けろ!フォルテ!」


被膜にめぐる魔力が揺れるのが視える。攻撃が来るそう声で警告を出した時には、フォルテは回避行動に入っていった。


“シュッ!シュッ!”


フォルテを串刺しにせんと伸ばされた金属の棘は標的には当たらず空を切る。

彼女は後ろに飛び退きながら身をよじり、ランスのように複数伸びてくるその棘を紙一重で躱していった。


「ほう……さすがに躱すか……」


 被膜は引っ込み、敵の姿が視覚的にはっきりと見えるようになる。そこにいたのはフォルテとそう変わらなそうな少女。刺すような強い眼光を話す赤い瞳、黒い髪そして同じ黒さのフリルのついたドレスそれと正反対の生気の感じない白い肌。まるで人形のようだ。機械人形の言うことではないのかもしれないが……。

 隊長からの情報とも一致する。この女が鋼魔人か、マーシーは魔法少女のように見えたとも言っていたが確かにそうだ。どういう意味を持つのか。


「お前が鋼魔人か……お前らの敵は魔法少女のはずだろ?こそこそせずに俺たちを襲って来いよ」


フォルテは距離を取って構えをとりつつ相手を煽る。俺たちで避難の時間が稼げればそれでいい。


「ふん……私はお前たちが今まで戦ってきた獣どもとは違う。知性があるなら、足元に気を使う。お前たちは以前の世代よりも支援が手厚いようだからそこから崩しに行くのは当然だろう?」


足元……3000年前の勇者たちは、俺たちのように複雑なガジェットや支援がない代わりに、自己修復機能を持ち、一般の魔法使いと同じように自ら習得した魔法で手数を増やして戦っていたという。その意味では新しい世代の俺たちの方が周囲の支援への依存度が高いと言えるかもしれない。痛いところをついてきている、物理的にも精神的にも……。


「そうかい。設備を多少壊されたところで、俺たちはまた造り直す。当てが外れたな」


フォルテは重ねて敵を煽る。彼女の言うことは正しいがだからこそ俺の中に疑問が出てくる。ここは支部の中では大規模な場所だがあくまで支部。アメリカの本部ではなく何故ここを?前回接触してきた相手を考えて、面識があるらしいノクストスを狙ってきたのか?それにしては当人が不在の時に来ている。知らなかったにしては、二人が戦線にいないことへの疑問がないように見える。一体何が目的なんだ?


「そうか?造り直せないものもあるだろう?」


取り戻せないもの、命……この支部で最も重要な人物は……。


「ママ……前園真理がお前の目的か……?」


俺はできる限りの威圧を込めた声で問い質す。


「ふ、そうだといったらどうする?」


少女はその愛らしさにそぐわない悪意に満ちた目をして、口角を上げた。


「ここから一歩も動かさねぇ……」


「ここで叩き潰す……!」 


俺たちはその決意を共有し攻撃を開始する。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        


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