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EP32 対峙

投稿周期が乱れているので改善したいです。


side:碧乃


 私達は指揮所となる横須賀駐屯地に集まっていた。そこには別の場所に住む鳳条さんと蕨野さんの海上自衛隊の人たちと、陣屋さんが揃っていた。


「みんな揃ったな。早速だが状況を説明する。海自の艦艇を取り込んだと思われる鋼魔獣が、出現した。あと、30分ほどで東京湾に入るそいつを倒すのがお前らの任務だ」


 設置されたテントの中に整列したプラネスフィアを前にして、陣屋さんは任務について説明してくれる。その任務内容そのものはいつものことだった。けど今回はそれだけではない。


「だが、取り込んでいるものがものだ。人間だって1000人単位の自衛官を取り込んでいることだろう。これまでにない化け物になっている可能性がある」


確かに危険度が高そうな敵だが、これまでと違ってこちらは10人だ。きっとやりようはある。


「魔導武装による。援護攻撃が用意されている取り込まれているのが民間人ではないということで誘導が効くように遮断フィールドを張ってもらえればすぐにでも……」


魔導兵器……込めた魔力を攻撃力に転換できる兵器。魔法少女でなくとも魔法の才能を持つものは存在しているので、自衛隊規模の組織なら運用もできるだろう。魔力が籠もった攻撃なら吸収もされにくい。


「まずは、私達だけでやらせてください」


隊長は食い気味にそう言った。それはうぬぼれからの言葉ではなく、リスクを取っても人命を守る覚悟の言葉だ。それを隊長は私たちに確認することはしない。信じてくれているのだろう。


「私は、あの艦隊を統率している自衛官の石崎です。大人として、極めて情けないことだと自覚していますが、部下たちを助けてください。どうか……どうか……もう一度家族のもとへ……」


隊長の言葉を見て陣屋さんの後ろにいた、明らかに偉そうな自衛官さんが帽子をとって深々と頭を下げてくる。


「頭を上げてください、前衛か後衛かが違うだけで私たちは同じ仲間です。自衛隊は市民の皆さんの避難誘導ともしもの時のバックアップをお願いします」


「……っ!ああ、ともにベストを尽くそう」


自衛官さんお言葉に隊員の私達も何度もうなずく。


 ※


「さて、ここが正念場みたい。やってやろうみんな!」


作戦開始直前、私たちは基地の高い建物上に、並んで立っていた。


「はい!」


8人の返事があたりの建物に反響する。


「ブローミング・ドライブ!」


その呪文で、それぞれのペアを光の膜が覆い、暗い夜の海辺に10個の星が下りてくる。


「天望愛齎シンセリー・テルス!」


「天巌勇者アルニギアス!」


「愛審聖裁マーシー・リブラ!」


「影光勇者ノクストス!」


「愛癒清徹イケート・スコーピー!」


「聖錬勇者レオリオス!」


「悠焔叡冠フルーデ・コロナ!」


「導賢勇者デヴァリオン!」


「剛翼烈翔フォルテ・アクイア!」


「穿星勇者アーシュケリア!」


総勢10人の魔法少女と勇者がそれぞれ名乗りを上げる。それを聞く敵はまだ見えていないが、聞き届ける人たちがいる。


「頑張ってくれ!」


「仲間を頼みます!」


振り返ると見える。自衛官さんたちの声援と敬礼を推進力にして、私たちは戦場へ飛ぶ。

みんなは巡航形態で、ノクストスは黒豹の姿で魔力を足先から放出して海上を跳ねるように進む。

 少女たちはパートナーに捕まって、暗視魔法を使いつつ深夜の海上を進む。


『対象鋼魔はドレッドラと命名されました。ドレッドラは房総半島沖を北上中間もなく作戦ポイントに到達します』


インカムから現在の状況が伝えられる。と言っても反有機生命圏のせいで監視レーダーなどがジャミングされるため詳細な状況な位置は分からないみたいだけど……。


「今回は防御特化のC装備を付けてきています。相手の攻撃力がすごく高いことが予想されるので、敵発見後は使い魔での防御に専念します……観測ユニット放出……」


後ろの方を進む、フルーデが戦い方を確認した後、敵をいち早く見つけるための観測ユニットを使い魔とともにあたりへ飛ばす。


「ええ、お願い。まずは釼崎に押し込まなきゃ、フォルテのパワーが活かせない。作戦の最初の目標はそこ。よろしくねマーシー……」


「はい」


隊長の確認する作戦は以下の通りだ。まずは自衛隊による人払いがされた釼崎の岩場に敵を追い込んで無理やり陸地に近づける。それには私の魔法が要だ。しくじらないようにしないと。

 私のハンドルを握る手に力が入る。



「大船に乗った気でいろよ。俺、みんなと違って獣っぽいけど」


「ふふ……うん……」


ああ、まただ……また彼に元気づけられてしまった。心が揺れているのはむしろ彼の方のはずなのに……。助けられるばかりの自分は嫌だ。


「やるべきことはたくさんある。こんなところで戸惑ってられないよね」


 負けられないし、負けたくないし、負けない。そんな決意をもって今度は自らの意志でハンドルを強く握りなおす。


そしてしばらく南下したあと……


「鋼魔と思われる魔力を検知、北西に3kmです。でかい……」


フルーデの魔力レーダーに敵が引っかかったようだ。動揺を感じるその声から敵の強大さを感じさせる。


「皆、行くよ!」


「了解!」


みんなは敵の方向に一気に方向を変える。みんなはデータで分かるけどノクストスはそうはいかない。みんなの後ろ姿を見失わないようにしなくては……。

 少し進むと相手のフィールドに入るのを感じる。暗視魔法で見える視界の先の方に黒い影が見える。


「ホントにおっきい……」


「ハハ、マジで怪獣って感じだな」


その巨大な体躯に鳳条さんは呆れ混じりの感想を言う。

 太く長い腕を持つ直立した恐竜のようなシルエット、皆が想像する怪獣の典型のようだ。ただそこから外れた部分もある手と背中にかけて、船首のような突起のパーツが見えており、その外側に取り込んだ艦船のものと思われる砲塔を身につけていた。


「グゥ……」


こちらが自身のテリトリーに入ったのを気づいたのかドレッドラは顔をこちらに向けてうなり始める。顔と一緒に砲身もこちらを向く。

 戦いが始まる……。


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