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わたしが地球にきた理由

 春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。

 ——この星の人間は、春という季節の情緒を、自然光に浮かぶ山の輪郭と、薄雲が太陽光を散乱させることで生まれる紫色の空に見いだした。星の世界()から来たわたしにはとうてい思いつかない、とてもユニークな発想だ。だからこそ、この文章をはじめて知ったとき、わたしは深く感心した。それ以来、春の夜明けはわたしにとって特別な景色の一つとなった。

 ……この星はとても美しい。雄大な自然は複雑な相互作用によって絶えず変化し続けながらも、全体で見ると微妙な均衡を保っている。人間という知的生命が作り出した文明は、広く地上に展開し、独創的な文化を生み出し、今尚とどまることを知らない。無味荒涼の、仄暗い星界出身のわたしにとっては、眩しいほどに魅力的だ。

 ということでわたしは、地球についてのありとあらゆる知識を記録するため、グレゴリオ暦で言うところの二〇二〇年頃にこの星へとやってきた。

 

 ……しかし。しかしだ。

 

 気づけば日常的に不健康飯をたらふく食い漁り、アニメ、ドラマ、ネット動画に時間を溶かし、ついには出不精、ゲームざんまい。

 

 わたし——地球名、黒野乃々(くろののの)は、地球に来た本来の目的を忘れ、自堕落な生活に陥っていた!

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