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3つ

作者: 月蜜慈雨




かくかくしかじか

その人は言うが

何を言っているのか分からない

一生懸命鳴くセミみたい



大きな口もとが

笑ったりひん曲がったり

母音を発したり子音を発したりする



窓の外には紫陽花が一面咲いていた



ここは寄る辺のない処

真っ白い道を歩いていたら

真っ白いのっぺらぼうに出会って

ここへきた

のっぺらぼうは案内するだけ案内して

どこかへ去っていった



途方に暮れていると

大きな口を開けた山姥が来た

歯の抜けた口元で柔らかそうなタレ目をしていた

かくかくしかじか

その人は言うが

何を言っているのか分からない

けど

張り詰めた心が解かれていく



山姥が3本指を立てた

なんのことか分からないがわたしも3本指を立てた

満足そうな顔で山姥は去っていった



瞬きの間に建物も去って

一面の紫陽花畑に取り残された



ここは寄る辺のない処



紫陽花畑に倒れ込んだ

空には歯の形をした雲が浮かんでいた

何を言っているのか分からない



姥湯に浸かられたみたく

柔らかく殻が破れるみたく



もう一度 産声を上げるんだ

私たちの美しい魂が

ここに在ることを証明する為に



あの優しい響きの言葉をもう一度聞きたくて

何度も何度も頭の中で反芻した








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