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ヤンデレ勇者との転生
ごめんね
勇者の最後のセリフを聞いた元日本人の魔王の俺は安堵していた。
死を前にして、ようやく現実世界に戻れるという安堵とこのヤンデレ勇者からもう解放されると言う安堵だ。
しかし、現実世界に戻り自分の部屋のベッドの上で目覚めた俺の目の前には、ヤンデレ勇者が寝息を立てている姿があった。
え、これ、どゆこと。
自分の全思考が停止して、まるで時が止まったみたいに周りの全てが固まる。
その静寂を破ったのはその静寂を作り出した本人だった。
ムクリと立ち上がったそいつは俺の方をしっかりと見据えながら微笑んだ。
一緒に異世界転生の夢を見ていたなんてこれは運命ね!
そんな運命あってたまるかぁ!
ツッコミを入れつつ俺は安堵が絶望に変わるのを感じていた。
まさか、魔王としてあの世界で死んでこのヤンデレ勇者から解放されたと思った。
俺が甘かったんだ。
今,この瞬間から元魔王の社畜である俺と元勇者であるこのヤンデレの地獄のシェアハウスが始まってしまった。