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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第一章 はじまりの森編
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61 冬の遊びいろいろ

雪が止んだら、天気のよい日には狩り以外ではシンハと雪の中でおいかけっこや雪投げ。ソリ遊び。それから洞窟前の広場が結構広いので、妖精たちとゴムボールならぬスライムボールで遊んだりもした。

あとはフリスビー。

シンハはこれを一番面白がった。

二人で遊べるし体を動かせるからだろう。


シンハの牙に耐えるか、いろいろな素材を試したけど、結局100パーセントスライムゴム製というのが、一番ダメージが少なく長持ちすることがわかった。シンハの牙にかかれば、エルダートレント製でさえすぐにぼろぼろになるからね。

シンハは上手にキャッチするだけでなく、フリスビーを投げるのも上手かった。


僕は棒術も我流ながら稽古。

シンハには対戦にも付き合ってもらうが、どんな武器を持ってみても、シンハはものすごく強いから、僕は魔法なしだとすぐにシンハに組み付かれて、引き倒されてしまう。

さすが森の王様だ。


生前、僕は病弱で、心臓が悪く、運動などはドクターストップだった。

今は超元気で、疲れ知らず。

それがうれしくて、基本的には動き回っている。

逆立ちができるだけで、うれしかった。

怪我もろくにしないし、もししても自分の治癒魔法で治せるので、薬草の出番は少ないが、滋養にいいとか体があったまるとか、そういう薬草茶は飲むことが多い。


雪で外に出られない日は、洞窟の中でダーツをする。

これはゲームでもあるが、クナイ投げの稽古でもある。

回転しながら投げる、とか、後ろを振り返ってすぐ投げるとか。後ろ見ないで投げるとか。

忍者になりきって遊んでいた。

意外に面白くて、さまざまやっていたらちゃんと上達した。


シンハも刃物を使いたがったので、短剣やクナイ、ショートソードを銜えて使う訓練をしてみたら、僕よりずっと上手かった。とほほ。

それでもやはり、自分の牙と爪で戦うほうが楽だと言っている。


『ゾンビの時にはこれもいいな。お前に聖魔法を武器に込めてもらえば、臭いあいつらにかみつく必要もない。』

なるほど。シンハの牙や爪にかかれば、死霊たちは成仏する。それと同じように、剣に聖魔法を込めればいいわけだ。僕も見習おう。


思いついて、シンハ用に中央を咥えると口の両側面から刃が出るように、独鈷杵(とっこしょ)みたいな両刃クナイを作ってみた。怪我しないように、中央はシンハの歯に合うようにして、かつ切れる部分は切っ先だけにしてみた。

これもシンハ先生はすぐに使いこなした。この武器を咥えて首をちょっと振るだけで人間なら首をきれいに切断できるくらいの威力だ。しかも魔獣に刺さったまま抜けないということもない。それくらい切れ味抜群で、ワイバーンの固い鱗と皮膚も、豆腐のように切れてしまうのだ。名付けてシンハ用独鈷ナイフ。ネーミングセンスが…。まんまだね。


それから屋内では、シンハとトランプやリバーシ、はては将棋とかチェスまでやった。

細かい動きはシンハの前足では難しいので、僕が補佐。番号と記号をマスの脇に打って、それを言ってもらったり、僕の置いた石のナナメ上とか中とか言って指示。そこに僕が駒や石を置く方法。『○○ルの碁』みたいに。

シンハはとても賢くて、コツをつかむと僕と対等に遊べた。

五目並べだけでなく、本格的な囲碁までやった。

もうシンハったらすごい!


それから、文字や言葉の学習のため、しりとりをした。

ただのしりとりに飽きると、「ん」のつくしりとりまでやった。

文字かるたも作って学んだ。

もう文字は公用語の大陸語は一通り読みも書きもできます。数字もばっちり。


それから凧あげもやったし、独楽まわしやドミノとか、おきあがりこぼし、やじろべえなんかも作って見せてあげた。

はじめて見る動く玩具に、小首をかしげてちょっかいを出そうかどうしようかと前足を空中でひっかくように動かしている様子が可愛かった。

でもやっぱりシンハはフリスビーのように、一緒になってからだを動かして遊べるものを特に気に入ってくれた。


それから妖精たちとも仲良くなったので、妖精語も勉強した。話すだけでなく、読み書きも含めて。あとは魔法の呪文も少し。呪文は妖精語にも似ていた。

シンハや妖精たちの話から、魔法の呪文は古代語が基本だということも判った。人間たちは古代語が呪文を形成していることまでは知っているが、発音が判っていないそうだ。それも魔法を難しくしている理由だそうだ。


『だが魔法の基本はイメージだ。どういう成果を求めるか。それがはっきりしていれば、言語などどうでもよい。俺は発音できないが、ちゃんと魔法が使えていることからも判るだろう?』

とシンハが念話で言っていた。確かに。


雪が解けはじめ、少しずつ春の訪れが間近になってくると、僕たちは毎日狩りをした。

まずは定番の魔兎狩り。

冬の間も天気のいい日は魔兎狩りをしたが、凶暴で数もすぐ増えるから、間引きのためにもじゃんじゃん狩ったほうがいい魔獣だ。

そうでないと、ごちそうがいっぱいいるとみて、強い魔獣もやってきてしまうからだ。

幸い、ここには大飯食らいのシンハがいるから、とれすぎた時などは毛皮をむいて、軽くあぶってシンハに食わせている。最近、シンハも生を食べなくなった。あぶったほうが美味しいと知ってしまったので。

それでも大量なので、そのまま収納してあるが。


わざと食べ残しを置いておくのも森には必要なことらしい。

この森の魔獣たちは、餌に残った魔力の気配でシンハの強さがわかるから、シンハのことを畏れている。

だから一緒にいる僕にも手を出さない。


大物では大魔鹿やバッファロー、魔熊も獲った。何体かは練習のために、実際に捌いたけれど、ほとんどは亜空間収納の中で肉や内臓、骨、毛皮などに分割している。おかげで僕の亜空間は上等の素材でいっぱいだ。

逆に異世界定番のオークやゴブリンを見かけない。せいぜい魔狼の群れがシンハのテリトリーをかすめる程度。

このあたりは奥地すぎて、弱い魔物は生きていけないとのこと。だから全く見かけないのか。


狩った魔獣は薬になるという内臓各種や骨のほか、血液も薬の元になるというので、生血だけでなく、乾燥血石の塊にしてほとんどとってある。まだまだ入りそうなので、どれくらい入るか試してもいるが、一向にマンタンになる気配がない。水なら多分湖の水全部いれても大丈夫なのではないだろうか。

亜空間収納さま、とんでもねえ。


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