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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第十章 魔塔生活 ユートピア村編
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524 闇精霊のこと PART 2

「別に1番でなくていいんだけど。」

「たしかにそうだけど、少なくとも1番が推薦する子でないとね。」

おそらく、地脈管理で1番は動けないだろうから、他の子になるだろう。


などと呑気に思っていたのだけれど。

「やあ。」

その日の夜。やってきた闇の精霊は1番でした。

「こ、こんばんは。」

しかも、メーリアと同じように、大きいです。

人族と見た目変わりません。

黒マントを羽織っていて、黒髪黒目。顔立ちはアラブ系みたいな感じで、肌の色が少し褐色の青年だ。

ターバン巻いたら、アラブの王子様だ。

そう、「月の沙漠」の王子様みたいな。


「メーリアからの伝言で、来たよ。もっと早く来たかったんだけど、いろいろあってね。」

「はじめまして。サキです。お忙しいのでしょう?地脈管理もしておられると聞きました。」

「ああ、僕はお手伝いだから、そうでもない。世界樹様に比べたら。」

「そうですか。」

「で、僕と契約しようか。」

「え、いいんですか?別に1番の方でなくとも…。」

「ううん。邪神様は、今は眠っているけれど、すでに半覚醒で使徒は動き始めてるからね。

僕が邪神様に操られるとやっかいだから、サキと契約したほうがいいと、ジュノ様からも許可をいただいている。」

「そうなんですね。」


確かに、邪神に闇の1番くんが使役されたら超やばい。

ジュノ様にお会いした時には、闇妖精のことまで思いが至らなかった。

きっとジュノ様は気に掛けておられただろうけど、他にもたくさん、相談すべきことがあったしね。


「僕は地脈管理もあるけど、君がいつでも召喚できるよう、普段は僕の分身を君の影に潜めておこう。普段は分身体で術を行使できるけど、いざという時は、分身と入れ替わって僕が来れるはずだから。」

「ありがとうございます。今までも、闇の妖精たちが入れ替わりで居てくれましたよね?ご配慮ありがとうございます。」

「ふふ。気づいてたんだ。やっぱりね。君は優秀だねえ。」

「え、いや…。」


「サキはいろいろ面白いから。闇の子たちも、君の傍は居心地がいいみたいで、次は誰が行くかっていつも楽しそうに相談しているよ。僕も、地脈の傍にいると退屈なんだけど、闇の子たちが伝えてくれる君の様子に、いつも楽しませてもらっているよ。」

「えー、じゃあ妖精達は、監視を兼ねてたってことですかあ?」

「ははは。これからは堂々とできるねえ。」

「酷いなあ。」

「ふふ。君のいう、ぷらいばしーとやらはちゃんと守るよ。大丈夫。」

「はあ。お願いします。」

「ということで。僕と契約しよう。フェンリルのシンハ殿も、よろしくね。」

『…。サキをきちんと守るなら、それもよかろう。』

相変わらずシンハは偉そうだ。聖獣だから、偉いんだけど。


「ではサキ、契約を。名をつけておくれ。素敵な名前を頼むよ。」

そう言って、闇の1番は僕の前に片膝をついた。

「ではいきます。汝、サキ・ユグディリアと主従の契約を結ぶか?」

「承諾する。」

「そなたの名は、ヨミ・ネーロ・コルヴィーノ。通称ヨミ。」

「承った。」

するとぱあっと一瞬魔法陣が現れ、そして消えた。

「契約は成った。」

「ありがとう。ヨミ。」

と僕は答えた。


ちなみに「ヨミ」は「黄泉」から。「ネーロ・コルヴィーノ」は「漆黒」のイタリア語だ。

この世界にはない言語だけれど、音がきれいだからいいでしょ。


「せっかく下界に来たからね。ちょっと遊んでくるよ。ああ、サキには僕の分身を置いて行くから、大丈夫。じゃあね!」

と言うと、窓からふわりと外へ。あっという間に飛び去った。

「…相変わらず妖精はマイペースだなあ。」

別にいいけど。


ふと月明かりに浮かんだ僕の影を振り返ると、グリューネくらいの小ささの、黒マント姿の妖精と目があった。

「よろしくね。分身くん。」

と言うと、モジモジしながらもさっとまるで王子様みたいなお辞儀をした。

お、かっこいいじゃん。

本体より性格いいのかもしれない。

「ふわあ。もう寝よう。シンハもプチヨミくんもおやすみねー。」

分身くんの呼び名は「プチヨミくん」に決定。


それから闇属性レベルは確かに上がった。

でも、実感としてはちょこっと使いやすくなったくらい。

大抵は1番くん本体を呼び出さずとも、影渡り程度ならプチヨミくんで間に合っちゃっている。

闇魔法の大魔法をするならヨミ本体が必要だけれど、きっと邪神の使徒とかと真っ向勝負の時以外は、そうそう呼び出さずとも大丈夫そうだ。


逆に、

「もっと呼び出してくれてもいいんだけど。」

と言われてしまった。

でもさあ、僕の作ったポムロルパイをほうばりながら言われてもねえ。

ただお菓子食べたいだけじゃないの?

いいけどさ。


僕がプチヨミくんにご馳走すると、本体のヨミも味わえてるようだけどね。

「いや、さすがに食感はダイレクトに解らないからさ。ふうん。このパイ、こんなにサクサク中しっとりだったんだ。美味いね。」

やはり、ただお菓子を食べたいだけみたいだ。


「地脈管理、大変なんでしょ。お菓子、持ってく?」

「ああ。ありがとう。できればいっぱいちょうだい。サキのお菓子、美味いから。」

「はいはい。」

ということで、大きめバスケットに山ほど詰め込んで持っていった。

「魔力補強にもなるし。いいね。」

とフィナンシェをつまみながら言われてもねえ。なんか気が抜けます。


「御礼にこれ、あげる。」

と小指用リングを貰った。

「闇魔法で結界を作るものだよ。君の光魔法の結界と同時に使うと、黒魔術も楽に跳ね返せるはずだから。」

試しに発動してみると、これまでの結界の外側に闇結界がうっすらできる感じ。

見た目は他の人にはわからない透明だけれど。

「これに魔法や物理攻撃があたっても、「柔軟に」跳ね返せるから、これまでの結界より割れにくいはずだよ。もちろん、黒魔術も防ぐよ。」

これまでの結界が透明ガラスだとすれば、これは透明なアクリルコーティングみたいな感じで、少し弾力性がある。


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― 新着の感想 ―
これで精霊さんの属性コンプですね。 仕事(新米教授としての立ち回りと師匠のフォロー)と研鑽(浄化とものづくり)の両立は大変そうだなぁ。 定期的に新たなお話を投稿いただき、ありがとうございます!
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