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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第十章 魔塔生活 ユートピア村編
518/530

518 庭を作り込むならやはり、だよね!

午後は、師匠と別れて「ユートピア村」の新居に戻った。

「家の中はだいたいできたけど、庭がねー。」

『どうせお前のことだ。妖精達にやらせるんだろ?』

「え、いや、そういうつもりでは…。うーん。でもやっぱりそうなっちゃうかぁ。」

なにしろ、グラントやグリューネは「その道のプロ」だからな。

そして、僕が作りたいのは、森の奥なみとまではいかずとも、美味しい野菜がとれる畑と、そして貴重な薬草畑だからなあ。

『お前が声をかければ、喜んでやってくれるだろうよ。』

そうなんだけどね。

まあ、庭は明日にしよう。

ということで、今日のところは魔改造した家の中の微調整と、鍜治小屋の炉に火を入れてみること。それから、改造した厨房で、夕飯がちゃんと作れるか、試してみることになった。


結局、どれもが順調で、特に厨房の使い勝手は、ヴィルドの屋敷を目標にしたから、火加減も魔石を使った水道も、ピザ用竈も大丈夫だった。

夜は久しぶりに家族だけでささやかな引っ越し祝いのごちそうディナーを作って食べた。

食べ始めてから、あ、師匠も呼んであげればよかったかな、と気づいたが、まあいいや。ひとを呼んでの引っ越し祝いは、またあらためてやればいい。今夜は家族水入らず、ね。

夜は初めてこの家に泊まったが、お風呂もいい感じだし、ベッドのふかふか具合も最高だった。(結局、ヴィルドからベッドは持ってきている。ツェル様たちが、豪華に作ってくれたやつだからね。)


屋根裏風の寝室は、月の光が天窓から入って、幻想的だった。

窓から入る風が涼しくて、王都とは思えない心地よさだ。まるで森の奥を思わせた。

こんな素晴らしい空間を作ったのは、一体だれなんだろうと思い、アカシックさんに尋ねると、案の定、大昔の「使徒」だとわかった。

どおりで、空気まで美味しい空間なんて、世界樹の加護でもないと、作れないよね。


翌朝は、久しぶりにぐっすり寝て、心地よく目覚めた。

軽い朝食後は、さっそく庭の改造に着手することにした。

鍛冶小屋を曲がり屋に増築したけれど、それでもまだ庭の部分はゆとりがあった。


「グラント、グリューネ召喚、トゥーリも召喚!」

「ばぶ!…ばぶう?」

「おーす!んん?此処どこだ?ダンジョンか?」

「こんなに空気が澄んでいるダンジョンなんて、あり得ないわ。サキ、久しぶりね!」

「みんな、久しぶり。」

「ほんと、久しぶりだよなあ。ちっとも呼んでくれないんだもんなあ。」

とグリューネ。


「ごめんごめん。でも念話はちょくちょくしてたじゃん。」

「おしゃべりと実際会うのとでは全然違うだろ。」

「まあ、確かに。悪かったね。いろいろ忙しくてね。」

「まあいいさ。ところで。此処は?」

「魔塔の中の「ユートピア村」。一種のディメンションホームの空間だよ。」

「あ、聞いたことある!昔、魔術師の知り合いがそういう村があるって、言ってた!此処かあ。」

とグリューネが感慨深げに言った。

きっとグリューネという名前をくれた魔術師のことだろう。


「すごい広さねぇ。」

「そうだな。…で!サキ。俺たちに何かさせたいんだろ?何でも言ってみ?」

「あら、いつになく太っ腹ね。グリューネ。」

「いや、言ってみ、とは言ったけどさ、俺ができるとは言ってない。」

「まったく。」

ふふ。いつもの夫婦漫才だ。


「いやいや、グリューネでないとできないことだよ。此処に薬草畑を作りたいんだ。グラントには土の子たちを呼んで、土をいい具合にしてほしい。」

「ばぶ!」

「フューリも二人を手伝ってあげてね。」

「わかったわ。ほら、珍しく頼りにされてるんだから、グリューネ、サボらないでキリキリ働く!」

「へいへーい。」


「あとで美味しいお菓子でティーパーティーしようね!」

「!俺、プリンがいい!あと、チョコレート!」

「了解。シルルに言っておくよ。」

「わーい!」

「私、シフォンケーキもいいなあ。」

「わかった。作っておくよ。」

「やったぁ!」

「ふふ。グラントは?」

「ばぶぶぅ!」

「イチゴパフェね。わかった。」

「パフェ!?あ、じゃあ俺、プリン・アラモードね!イチゴとチョコ付きで!」

「あ、ずるい。私もそれがいい!」

「ふふ。わかったわかった。じゃあ、プリンを乗せたパフェにしようか。」

「サンセーイ!」

「わーい!」

「ばぶう!」


という訳で、薬草畑はこれまでの新記録というくらい素早くできてしまった。

此処ではメルティアはもちろんのこと、胃薬のジョムカ草、エリクサーの材料にもなるラス・ペイネ草などなど、おなじみの薬草を一通り植えた。

それから、隣には家庭菜園を作る。ニンジン、ジャガイモ、キュウリ、ナス、トマト…。土を森の奥から土の妖精たちにこっそり運んで来てもらい、此処の土と混ぜて、土壌の力を上げた。だからはっきり言って、なんでも作れるだろう。

途中で僕は畑作りを切り上げ、厨房へ。シルルに手伝ってもらって、妖精達のためにミニパフェを作った。パフェ用プリンも、小さめに作って上に乗せたし、イチゴパフェだけでなく、チョコパフェも作った。それから、シフォンケーキと一口チョコレートも用意した。


「お菓子できたよー!パーティーしよう!」

「「はーい!」」

「ばぶう!」


土の妖精の中には、手のひらサイズの子だけでなく、つぶつぶたち幼体も居たので、その子たちにはパフェのかわりに僕の魔力をあげたり、美味しい水を用意してあげた。

それでも食べてみたいのか、一口チョコレートやシフォンケーキ、生クリームにつぶつぶたちも群がっていた。

「食べられるんだ。」

と僕がつぶやくと、

「いや、結局あいつらは、サキの魔力を食べてるんだ。」

とグリューネが反応した。

「そなの?」

「ああ。まだ味覚がないからな。でも美味しい魔力は大好きだね。」

そうか。結局魔力を食べているんだね。


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