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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第九章 司書たちのこと&魔塔受験編
503/529

503 筆記試験の続きと午後は実技

用紙に魔力を流し、浮き出た魔法陣について書く問題。

回答を書くなら、先にこっちかな。

と思っていると、


「う!まずい!」

という声。

ふと顔をあげると、1001番の小太りおじさんが、紙を燃やしちゃっていた。

魔力を与えすぎたのだろう。

ばたばたと叩いて消していた。

「静かに。君、2問目はわかる範囲で別の紙に回答を書きなさい。問題は書き写さなくていいから。」

「は、はい。」


火が出たということは、火属性の魔法陣が書かれていた可能性大だ。

ということは、これは一人一人、問題が違うのかもしれない。


僕も慎重に魔力を流してみる。

すると僕の魔法陣は、なんと転移の出口用魔法陣だった。

「対応する魔法」とは、おそらく、僕の場合は転移入口用の魔法陣だ。


さっきの1001番おじさんの場合は、書いてあるのがファイアボールだったら、水魔法のウォーターボールということだろう。ただし、防ぐということであれば、アースウォールとかでも正解かもしれない。理由を一緒に書けば、点数になりそうだ。


そういう「普通の」魔法陣なら解るけれど、転移!?

うわあ。キタコレ。

これって、僕だけ難易度高いんじゃないかなあ。

まあ、書けるけど。


やっぱり「転移」を出題したか、とも思う。

求める答えは違うけど、師匠の予想ばっちりじゃんか。

なお、問題の転移出口用の魔法陣だが、陣の記述が間違っている。

これは地域で多少記述の違いはあるようだが、これでは絶対作動しないぞ。ピリオドみたいな点が3つ足らないし、環の二重目と三重目の文言が一部入れ替わってしまっている。おまけに発句の「我、転移を願う」が「我、転居を語る」になっている。思わず笑いそうになった。


わざとですか?この出題には、師匠は関わっていなかったのは確かだ。だって、陣があちこち酷いもの。でも魔塔長自身が作成したか、少なくとも目を通すはず。なのに…。


そうか!これはわざとだ!

きっと魔塔長のお茶目ないたずらに違いない!

この際、ここはしっかり修正を回答しておこう。


そういうわけで、先に2問目を回答し、それから1問目に戻った。

どれを選ぶか、とても迷ったが、メルティアと龍を選んだ。

メルティアは、まず図を書いて、それから、特徴を図に引き出し線まで使って説明を書いた。

全体の大きさや花びらの数とか色、ガクの様子、葉っぱや根の特徴、香りとかも記述した。

主な生息地や、採取のポイント、エリクサーの材料というキーワードを忘れず入れる。

それから、扱いは慣れないと難しいが、汎用性のある薬草であることもアピール。

たとえば痛み止めや風邪薬などに、絞りかすでもいいから微量使うと効果があることも書いた。これは案外知られていないことかもしれないけどね。


次に龍だが、これも図を書いた。

ホルストックを襲っている迫力のある図を。

火龍や水龍、地龍など、種類と特徴、生息地ももちろん書いた。

それから、牙、爪、鱗、皮と、素材の有用性を書く。

肉が美味であることや、その血や骨は薬の材料になることもアピール。

ただし、数が少ないので乱獲は控えるべしと書く。


メルティアの図は、亜空間収納に持っているから、写生に近いし、龍については、思い出しながら、一度亜空間収納の中で念写し、それを頭に思い浮かべながら描いたので、結構リアルに描けたと思う。

時間が余ったので、つい鱗の様子とか陰影とかまで描き込んじゃった。

仕留めるには、目や口中を狙うか、喉の逆鱗を狙うべし、ということも。

そういえば、子供の頃は怪獣をよく描いたっけ。懐かしいなあ。


おっと。そろそろ時間だ。

うん。大丈夫。名前も番号も書いてある。

絵も上手に描けた。


リンゴーン

「時間です。ペンを置いてください。」

午前中の試験が終わった。

お腹空いたー。

それにしても、筆記1基礎はともかく、筆記2の記述試験は過去問とはかなり方向性が違っていたな。

魔法陣や絵を描かせるなんて。

いつも傾向が同じということではないんだな。


昼は寮の部屋に戻った。

「おかえりなしゃいましぇー!」

「ただいまー。午前の部、終わり。お腹空いたあ。」

「ごくろうしゃまです!お席にどうぞ!」


シルルに試験の時程は伝えてあるし、昼は戻って食べると伝えていたので、用意していてくれた。

朝は腹持ちがよい和定食。昼はしっかりハンバーグ。こちらはパンで。

「お弁当もいいけど、やっぱりあったかい食事がいいね。みんなと一緒だし。でも、みんなお腹空いただろ?待たなくとも良かったのに。」

「ごしゅじんしゃまと一緒がいいと、みんなで待っていたのでしゅ。」

「ううー。心にしみるなあ。みんな、ありがとねぇ。」


『で、試験はどうだ?順調か?』

「うん。ぼちぼちかな。一応ちゃんと名前とか受験番号は書いた。」

『おい…。』

「ふふ。大丈夫。一応ちゃんと全問書いたよ。記述が結構難易度高かったけど。

午後は、実技だな。楽しみー。」


昼食を終えて、試験会場に戻る。

午後は、受験生が揃うと、15階の訓練場へ。

おお、此処も広いぜ。

以前、師匠に連れられて行ったのは地下だったが、此処も空間魔法が使われていて、同じくらいに広かった。


実技の課題は、攻撃魔法ならば、的3つに魔法を使って当てる。治癒魔法などであれば、複数の先生が審査する。

これは過去問と変わらなかった。

今回は4人とも普通に的当てを希望した。


だが「2種以上の魔法を用いて、」的に当てろという。

ただし、使う魔法は同じ性質2種類を3回でもいいそうだ。

つまり、ファイアーボールにファイアーランスとか。


威力と正確さを求める、という。

魔力に余力があるなら、中央を打ち抜けば10点。的自体吹っ飛ばしても10点だという。

そして、魔法は合計4回まで許される。

それ、甘くない?


「あんな遠い的に!?」

とつぶやいたのは、太めおやじ。

「遠いですね。」

と痩せおじも言っている。

エルフ美少女は無言。

確かに、800メルくらいはある。師匠と模擬でやった的当ては、この半分くらいの距離だった。

それで2つ以上の魔法で、ということかもしれないな。

魔法を重ねがけすれば、威力は増すし、掛け合わせ方次第で、コントロールが良くなる事もあるからね。



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