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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第九章 司書たちのこと&魔塔受験編
502/529

502 編入試験開始! まずは筆記試験

ようやくというか、ついにというか、編入試験当日となった。

それまで、結局ほとんど授業に出られなかった。とても残念だ。


今日はさすがにシンハやスーリアはシルルとともにお部屋でお留守番。

シンハはゴネたが、まさかたとえ魔力内でも、連れて行くわけにはいかない。念話できるし、カンニングを疑われても困る。

受験票は昨日、ミルオラさんからもらった。1004番。

整理番号だから、キリよく1000番台スタートなのだろう。1000人も受けるわけではない。

編入試験は僕一人じゃないんだ、数人は受けるのかな?

今朝までそう思っていた。

ところが。


「はーい!1番から30番までは私についてきてくださーい!」

「231番から260番までは、こちらにあつまってくださーい!」

1階のロビーに降りると、受験生らしき子供達が、たくさんいた。

皆私服なので、受験生だとわかる。

えー、こんなにいるの!?


ここ数日、食堂に行かなかったし、学生が行き来する時間に塔内をほとんど出歩かなかった。もともと、シンハが人混みを嫌がるので、講義の合間の休み時間は避けて行動している。

ここ数日は、部屋でポーションを作ったり、過去問題を解いたり、あとは図書館か、地下の司書さんたちのスリープルームで作業していた。

だからなんとなく、私服が多いな、試験受けるのかも、程度しか思わなかった。


受験場所を貼りだした掲示板を見ると、どうやら300人くらいは受けるようだ。

じゃあ、どうして僕は1004番なのさ。

しかも1000番台は4名。僕は最後の番号だ。

不審に思いつつも、教室はと見ると。

魔塔2階の15番教室。1000番台は全員その教室だった。


勝手に行ってもいいよね。

階段でさっさと上がる。

魔法階段に不慣れな子供達がいるので、付き添いの先生は2名、前と後ろについていた。

僕は人の波をかいくぐりつつ、15番教室へ。

入っていくと、まだ他の受験生はいない。

メガネの監督官の先生がいた。

ぺこりと挨拶して、教室に入る。

4名しか来ないはずなので、番号札は席を離して貼ってある。

番号が貼ってある席につくと、当然ながら僕は中央の、一番後ろの席だった。


席について羽根ペンとインクなどを準備していると、引率はミルオラさんで、受験生を連れてはいってきた。その受験生が…。

おっさん二人。

どう見ても若くない。

一人は痩せぎすでいかにも神経質でドキドキしている感じ。それでもよく見ると、30代かな。

僕を見て、会釈してくれたので返しておいた。1002番だな。窓際近く。

もう一人は小太りの中年。真夏でもないのに汗だくだ。

緊張しているのだろう。

僕をみるとじろりとにらんだだけで、一番前の席についた。1001番だ。


その二人が席につくと、なんと窓から入ってきた受験生がいた。フライで空を飛んできたんだな。

それだけでも高度な魔法が使えるとわかる。

17、8才くらいに見える女の子だった。エルフらしい。耳が長い。

きつめの表情の美人。

桃色がかった金髪を両サイドで結んでいる。

着ているものからして、どこぞの貴族令嬢か、裕福な商家の娘という感じだ。


「こほん。普通に階段から来れなかったのですか?」

メガネの監督官の先生に言われた。

「混んでいたので。」

平然と、ごく当たり前のことのように言う彼女。

「とにかく、席につきなさい。」

「はい。」

彼女は誰にも挨拶せず、1003番、廊下側のほうの席についた。


タイムスケジュールが黒板に書いてある。

9時から10時30分まで 筆記1(基礎)

10時45分から12時15分まで 筆記2(記述)

12時15分から13時30分まで 昼食休憩

※13時30分にこの教室から一緒に実技会場(15階A訓練場)に移動します

13時40分から15時まで 実技

※面接免除の方はここで終了、解散

15時から面接、終了者から適宜解散 以上


受験票裏面に、同じタイムスケジュールが書いてある。ただし、僕の受験票には、面接のところを二重線で消し、「免除」とハンコが押され、魔塔長印が押してある。

これがいいことかどうかはわからないが、僕はウォルフ師匠の内弟子扱いなので、推薦受験的な意味なのかもしれない。

ほかに同様の人がいるかもしれないが、僕は知らない。


なお、絶対あるはずの「魔力測定」は、面接時に行うと要項に書いてあったと記憶しているが、なぜか僕は免除だった。

おそらくこれは師匠と魔塔長で合意しているのだろう。

計測するのは構わないけれど、今計ったら、きっと計測器を壊しちゃうだろうしね。

冒険者ギルドカードは総務に一度提出させられているから、ギルドで「計測不能」だった事はわかっているはずだ。


さて、筆記問題と答案用紙が魔羊皮でできた両開きの紙挟みに挟まれた状態で配られた。僕はその紙挟みに感心した。

なるほど。時間まで、透視とか出来ぬよう、魔術封じがされているんだな。

9時。

リンゴーン!と鳴った。

「始め!」

の合図で一斉に紙挟みを開く。


筆記1(基礎)問題は、案の定、過去問題に良く似ていた。

基礎力をみる試験だ。数学は中学生レベル。まったくもって難しくなかった。

言語学は、古代魔法語があるのは、へえ、と感心したが、呪文の穴埋め問題だし、大陸語の発音で書いても良いとなっているので、難しくは無かった。僕はちゃんと古代魔法語で書きましたけどね。

答え合わせを3度したが、どう見ても間違いはないようだった。

念のため、自分の番号や名前とか、ちゃんと書けているかも確かめた。

それでも30分以上時間が余って、眠くなってしまったほどだった。


次の試験は筆記2(記述)問題。

「始め!」

答案用紙を開くと、

「次の動植物について、2つを選び、用紙1枚に1点ずつ記述せよ。図を書いてもよい。

マンドラゴラ、ワイバーン、トレント、メルティア、魔兎、ビスコースダリア、龍、ハーピー」

わあ、楽しい!どれにしようかな。悩むなあ。


もう1問ある。

「次の問題を、魔力を用紙に通して読み、解答せよ。紙は複数使って良い。」

と書いてあるだけ。

読解か。

魔力を通してというから、多すぎたら、燃えるとか滅びるとかしてしまうだろうから、慎重に。

そう思って魔力を絞ってそっと流してみる。

すると、魔法陣の絵が現れ、かつ魔法語で問いが書いてあった。

「この魔法陣が何か、説明せよ。また、これと対応すると思われる魔法の魔法陣を書け。」

うわあ。これは意外に難しいぞ。書ける受験生、居るのかなあ。


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