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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第八章 王都到着!侯爵令嬢の治癒編
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482 御礼の品と治療のオマケ

「面白いでしょう?『シェイリルの首飾り』。別名、『呪われた首飾り』ともいうのよ。」

「おい。いくらなんでも、御礼に呪いの品なんぞ。」

「あら、サキくんだったら、浄化できちゃうでしょ?だからあげるのよ。」

とけろりとした顔で言うレジさん。

まあ、僕なら浄化できるかもだけどさ。

確かに、首飾りの箱には浄化と結界魔法が掛けられている。

サファイアは少し黒ずんでいて、中に黒い靄が見えた。

確かに、呪われている、と言われるのもわかるシロモノだ。

「君ならきっと浄化できるだろうから、これ、あげるわ。浄化して無害になったなら、カノジョの首に掛けてあげてもいいし、売ってもいいわ。安く見積もっても、数億ルビで売れると思うわ。」

とワクワクしながら言うレジさん。


「…由来をお聞きしてもいいですか?」

「ええ。これはセレンシアダンジョンで出たものなの。ある冒険者が偶然手に入れたんだけど、手にした直後に発狂して死んじゃったわ。それでこれが呪われているとすぐにわかったんだけど、オークションに出された。落札したのはある伯爵家。でも残念ながら首飾りを屋敷に持ち帰ったとたんに、盗賊に一家全員殺された。それから」

「いえ、もう結構です。とにかく、呪われているんですね。それで結界が張ってあると。」

「そういうこと。1度は教会に奉納されたんだけど、また流転して、いろいろあって、今はあたしの家に眠っているってわけ。あげるわ。」

「はあ。」

「浄化、出来ない?」

「どうでしょう。」

「できないなら別のモノにするけど。どうする?」

「…わかりました。いただきます!」

「うふふ。そうこなくちゃ!お祓いが済んだら、1度見せてね!」

「じゃあ、今やっちゃいましょうか。」

「あら。いいわね!そういうノリ、あたし好きよ。」

「はー。もうお前達は!サキもノルんじゃねえ!」

「えーでもお。呪われたままだと僕だってもらうのやですう。」

「ったくよう。」


ということで、さっそくお祓い。

手強そうな呪いなので、世界樹の葉っぱを取りだして、浄化魔法を掛けました。

するとあーら不思議。黒い靄は消え去って、美しく澄んだ青色のサファイアになりました!

「ほらね!やっぱりサキくんならできると思ったのよ!良かったわ!貴方にあげることが出来て!」

「ありがとうございます!大切にしまーす!」


シンハは寝たふりをしながらふすんと鼻を鳴らした。呆れたのね。

同じく鼻は鳴らさなかったけど、隊長も呆れたような顔をしながら、デザートワインを飲んでいた。


「こほん。ところでサキ。」

「なんですか?」

「俺はお前さんほどじゃないが、鑑定が使える。で、さっき俺自身を鑑定したら、なんかよけいなものがついていたんだが。あれは何だ?」

「(ぎく。)な、なんのことでしょう。」

「「聖なる右目」とかなってたぞ。」

「あらま。」

「いったいどんな目なんだ?」

「さあ。きっと、相手の本質が見えるとかじゃないですかね。」

僕は持っていないからわからないけど。シンハがそうだからな。

いや、妖精達だって、人が黒い靄をまとっているとかは見えるから、シンハのはもともとか?


アカシックに尋ねると

「聖なる目:物事の本質が見える。特に聖邪の区別がはっきり見える。妖精や精霊を見ることができる。遠くのものがよく見える。夜目も利く。

ちなみにサキ・ユグディリアの場合は、集中すれば魂の色も見える。面倒なので、通常ステイタスには書かれないだけである。」

うぐ。僕は上位互換モノを持ってたみたい。でも「面倒なので」ってなにさ。


妖精たちや聖獣は持っているのかを尋ねると

「妖精や精霊、聖獣はもともと持っている。シンハの場合、サキの治療により、さらにその威力が飛躍的に増した。そのため、サキや善良なる妖精などは光って見える。また、以前より遠くの物体がよく見えるし、夜目もさらに利くようになった。」

あーなるほどね。


「遠くの物がよく見えるし、夜目も利くようです。妖精も見えるかも。それから、悪人は黒い靄を纏っているように見えると思います。」

と隊長に説明。

「ほう。結構使い手がありそうだな。」

「悪人がわかるというのは、便利ね。」

とレジさん。

僕の場合は、魂の色まで見えるそうだ。黒い靄は見えるけど。試したことがないな。

ちょっとやってみるか。

目に集中して魔力を集めてみる。

すると。


レジさんは、全身が淡いオレンジで、隊長は青っぽい。その違いはよくわからない。使える魔法の性質だろうか。でも二人とも、全身がほのかなピンクの色味も帯びているんだ。これ、恋してますってことだな。うん。きっとそうだ。


じゃあ、シンハは?

ほうほう。全身白く光ってますね。聖獣だからだろうな。

シルルもシンハほどではないが、全身を白い光が包んでいる。妖精だからだろう。

じゃあ僕は?

ふと壁にかかった鏡をのぞき込む。

うわ!なにこれ!白というか金色というか、神様降臨!という感じに全身光ってますよ!しかもなに、虹色にも輝いてるじゃん!やめよう。もう見るの、やめ!

ちょっと目のいい人がいたら、すぐに僕の正体がばれてしまうかもしれないし。むむ。

試しにバリアを強めに張ると光が落ち着いた。

「僕は人族、僕は人族…。」


『…。お前、心のつぶやきが、声に出ているぞ。』

「うぐ。(僕が、こんなに光っているとは思わなかった…。)」

『今頃気づいたか。「神族」になってからなお光が増したんだ。もう、人族とは言えないな。』

「(うう。そ、それでもニンゲンだい!)」

『まあ、俺は諦めて、お前の傍に居てやるから。そう落ち込むな。』

って、「諦めて」かよ。前足舐めて顔洗いつつ、言わんといてや。

「(気のない慰めのお言葉、アリガトウ。)」


隊長は

「まだ両目の感覚が慣れねえな。」

とつぶやき、レジさんが

「急に使うと、頭が痛くなるかもしれないわ。気をつけてね。」

「ああ。」

などと二人で話していたから、僕のつぶやきも聞こえなかったようだ。

それに、まだ隊長は目に魔力を籠めるとかはしていなかったせいか、僕が光っていることにも気づいていない。よかった。


「こ、こほん。頭痛がする時は、我慢せずに頭痛薬を飲んでください。僕が調合したやつを、多めに置いて行きますので。」

「おう。ありがとな。ところで…、テーブルの花に光る玉がふわふわ飛んでるんだが。あれは妖精か?」

「ああ、そうですね。妖精の子供…幼体ですね。」

ほう。幼体は見えたんだな。

「まあ!あたしも見たいわ!サキくん、なんとかならない?」

「えー。」

それはさすがに。ちょっとそういう魔法はすぐには思いつかない…。

「レジ。サキをあまり困らせるな。俺が、妖精がいるかどうかぐらい、伝えてやる。」

「うふ。仕方ないわ。それで我慢する。」

…。なんか雰囲気、やっぱりピンクっぽい。早く魔塔に帰りたくなった。



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