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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第八章 王都到着!侯爵令嬢の治癒編
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472 アルアルコンビ召喚!

「(解呪のほうが魔力を使いますし、神経も使います。やはり交代しましょう。)」

「(…わかった。)」

と念話で話す。

「(あとこれを。)」

と金のブレスレットを手渡す。

「(これは何だ?)」

「(増幅装置です。まだ試作品ですが。たぶん「合うと思う」ので。)」


産婆のおばあさんの家にあった龍眼を、組み込んだものだ。

僕の魔力を貯めておいた。

数回、師匠と一緒に魔力を放出してみて、おそらくウォルフ師匠の魔力にもフィットしそうだとわかったので、試しに渡してみた。

龍眼は案の定、僕の魔力を吸い続け、5000万MPくらい貯まっていた。

「(なるほど。確かに楽になった。使ってみよう。)」

師匠が立ち上がった。

もう顔色も良くなっていた。


「次は31鐶ですが、いびつさが酷く、かつ回転が速いですね。」

「カームをかけよう。」

「わかりました。ここからは難易度があがりそうなので、「例の本たち」を召喚して、アドバイスをもらいましょう。」

「わかった。…侯爵様、本の精霊を2冊、サキが召喚します。安全ですので驚かぬように。」

と師匠が説明した。

「う、うむ。」


それから僕はアルアルコンビを召喚した。

一応侯爵様たちがいるので、上品に出てこいよと釘を刺した上で召喚した。


「こほん。我らを呼んだか?」

偉そうだ。

「見ての通りだよ。なかなか手強い魔法陣だ。外側から順に凍結解呪していくから、アドバイスがあったら言って欲しい。」

「わかった。」

「りょーかい。」

半透明の本2冊が突然現れ、僕と話し始めたので、前振りしたのに、侯爵様たちはぎょっとしたようだ。騎士も思わず剣に手をかけた。


僕達はそれを無視し、作業を続ける。

師匠と打ち合わせ、カームと凍結を師匠がする。

「イ・ハロヌ・セクエトー。魔法陣よ、穏やかに巡れ。カーム!エト・フェディクス・ノル・グレイル。第31鐶凍結!」

続けて僕が

「イ・ハロヌ・セクエトー。ヒーリーヤ・ラ・プントス。解呪!」

パリィン!ザザァ…。

「うん。良い感じだ。」

「この調子で良いんじゃね?いや、よろしいのではござらぬか?」

どこのサムライだよ。


アルアルコンビのお墨付きももらったので、また作業に戻る。

カームをかけるかどうかの判断は、師匠にお任せした。

僕はひたすら解呪に専念。

時折、アルアルコンビから、「これはカームだな。」の声。

60鐶が終わり、一度休憩。

僕も師匠とともにエリクサーを飲んだ。


「それはなんだ?」

と侯爵様。

どう答えようかと思っていると、師匠が迷わず

「エリクサーです。」

と正直に答えた。

「それも必要経費で請求してくれ。」

「わかりました。」


うわあ。高価なんだけど、太っ腹。

さすがミスリル鉱山持ち。


10分ほど休憩して、残りを解呪していく。

今度は師匠が解呪係に戻った。

魔法陣は、どんどん解呪が困難になり、80鐶前後ではすべてカームをしてからの解呪になった。

90鐶で再度エリクサー休憩。

「カームでも難しくなってきたな。」

とアルス。

「うん。どんどん陣のゆがみが酷くなって、回転も速くて不規則だ。」

「お前さんたち、タイマ・フィクサかクロックスローは使えるか?」

とアルマンダル。


「クロックスローなら。タイマ・フィクサは初耳。」

と僕。クロックスローは相手を減速させる魔法だ。

タイマ・フィクサは初耳だが、「時間固定を目指す魔法」とすぐに理解した。つまり、対象物だけ時間経過が非常にゆっくりになり、陣の回転なら超スローになる魔法だ。呪文も浮かんだが、やたらと長い。


「タイマ・フィクサは知っては居るが、呪文がやたらと長い。此処はクロックスロー一択だな。」

と師匠。

「では詠唱付きのクロックスローで対応してみろ。それがだめなら凍結を強く。ガチガチに凍らせて解呪だ。」

とアルマンダル。

「わかった。」

と僕。

「サキ、試しにクロックスローと凍結を一緒に掛けてみろ。」

と師匠。

「わかりました。」


僕は杖を横に構えた。

「イ・ハロヌ・セクエトー。時間よ、穏やかに巡れ。クロックスロー!エト・フェディクス・ノル・グレイル。グレイル・ノル・フェディクス!第91鐶、凍結!」

すると師匠が、

「イ・ハロヌ・セクエトー。ヒーリーヤ・ラ・プントス。ラ・プントス・ヒーリーヤ。解呪!」

と唱えた。するとパリィン!ザザァ。

と91鐶目は消えた。

ふう。

強めにかけて正解だった。

そうやって、なんとか残り5つまでたどり着いた!

例の難解な4つと、山羊頭の呪詛鐶だ。


「師匠、次は例のドクロ本上下巻の魔法陣ですが、これ、2つ一緒に解呪がいいですよね。」

「ああ。まずは文字列を正せ。出来るか?」

「はい。イ・ハロヌ・セクエトー。鐶分断、回転。」

僕は2つの陣の文字列を、順々に回転させ、文字列を正しく読めるものにした。

「…できました!」

「よし、では俺が右のを担当する。お前を左を。」

「わかりました!2つまとめて凍結!」

「結構!ではいくぞ。」

そして声を合わせて呪文を唱える。

「「イ・ハロヌ・セクエトー。ヒーリーヤ・ラ・プントス。ラ・プントス・ヒーリーヤ。解呪!」」

パリンパリン!ザザァ…。


「いいぞ!あと3つだ!」

とアルス。

では次。いざ!と思った時だった。

ヴヴヴヴ…バチバチッ!

突然、2つの陣と最後の山羊頭の陣が不安定になり、巨大化したり縮小したりを始めた。

令嬢も苦しみ出す。


「!不味い!結界!」

師匠が咄嗟に結界を張る。

だがバリン!と結界を破られ、2つの陣と山羊頭が室内をビュンビュン飛び始める。

ガチャン!バリン!ドカン!

陣はまるで回転するノコギリのようにヤバイ速度で回転するし、山羊頭は

GYAUA!

などと雄叫びをあげながらびゅんびゅん室内を飛んで隙あらば襲ってくる!

「おうふ!」

「侯爵様方!廊下へ退避を!」

「しかし!リリアーヌが!」

「此処に居ても貴方にできることはない!邪魔です!退避を!」

「むむ!」


師匠が侯爵に退避を促している間に、僕は僕で3つの暴れている陣をなんとかしようと

「クロックスロー!クロックスロー!凍結!凍結!凍結!」

と、2つの陣と山羊頭に魔法を浴びせ続けた。

やっとなんとか動きを止める事に成功したその隙に、

「閣下!こちらへ。」

騎士と気丈なエルザに促され、侯爵はようやく廊下へ脱出した。


しかし。凍結で山羊頭が留まっていたのはわずかな時間だった。

バリン!バリィン!

侯爵が廊下に逃れた一瞬後には、かなり強い凍結魔法でさえ、山羊頭はぶち破ってしまった。

GUGYA!GYAUA!

山羊頭は雄叫びをあげながら、またしても暴れ、襲いかかってきた!

「結界!」

「凍結!」

GYAUAAA!!



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