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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第八章 王都到着!侯爵令嬢の治癒編
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465 師匠と考察 2 

「数百年という長きにわたり、人間族では間違った呪文が横行してきた。それで使えているからなおさらタチが悪い。

どうしてもエルフの国…カイエルン王国…のほうが、研究では一歩進んでいる感じだった。それでも、最近はようやく、この格差が是正されつつある。特にこの国ではな。」

「そうだったのですね。」

「うむ…。森とヴィルドでしか暮らしてこなかったお前には、この国の魔術師事情などわかるはずがなかったか。質問して悪かったな。」

「いいえ。勉強になりました。」


「ということで…最初に戻るぞ。このいびつな魔法陣だが、俺は帝国産と見た。」

「!」

また帝国…悪いことは皆帝国が絡んでいるな。

「質問です。なぜですか?帝国は、黒魔術が盛んなのですか?」

「此処よりは、研究も実践もしやすいだろうな。」

と師匠。


「大陸のどの国でも、表向き黒魔術は禁止だ。帝国も同様だ。

だが実際は、戦争が好きな国ほど、こういう誰かを呪詛する事は発展するものだ。

この国には俺やギルド総長のアルシュとかがいる。堂々と黒魔術を研究したり実践したりすることはできにくい。エルフの国カイエルンも、もちろん教会も、黒魔術は禁止している。

だが、帝国は、戦争に勝てるとなったら、必ず贄を必要とする黒魔術でも、平気で取り入れそうだからな。」

「たしかに。奴隷も多いと聞いていますし。」

「その通り。軍事大国ゆえ、闇も濃いということだ。」


「…。僕のささやかな見立てでは、ドリーセット侯爵は軍務大臣ですので、なおさら帝国がらみというのは頷けます。検証は必要ですが。」

「そうだな。…というわけで、この黒魔術は、それなり古くからある108陣の魔術で、相当に古代魔術に見識ある者が構築した。そして、今回実践したのは、帝国の黒魔術師か、そういう者から指導を受けた者の仕業、さらに、そいつは黒魔術師として、かなりの手練れ。魔力も多い。

もしかしたら、呪文が間違っているのを知った上で、わざといびつなままで回し、黒い靄の発生を助長した可能性すらある、というのが俺の結論だ。まだ仮説段階だがな。」

僕はそれをメモする。


「相手は高位魔族かレイスのような高位アンデッドかもしれん。さらに…おそらくこの陣の実践に関わった弟子や助手たちとかは、すでに複数死んでいるだろうな。陣を組む過程で、生け贄にされたと見るのが妥当だ。」

確かに。これまで誰にも言わなかったが、ドリーセット侯爵令嬢とキキの周囲の黒い靄の中に、恨めしげな魔術師たちの霊がちらちらと見え隠れしていた…。


「二人の患者の魔法陣で、師匠も見えましたか?僕にはそういう霊がちらほら見えました。魔獣も贄にされています。マンティコアもいました。」

「ああ。俺にも見えた。醜悪な魔法陣だ。患者二人はよく生きている。」

「世界樹の葉でなんとかしのいでいます。早く解決しましょう。」

「そうだな。」


結局、解呪のためには、陣を一つずつ浄化して解いていくほかないと結論がでた。

ただし容易ではない。解呪を妨害する魔法も当然組み込まれていたからだ。

ヘタに解呪を試みようものなら、患者が死ぬようにセットされている。そこは初見でも気がついていた。だからあの時、僕は無理矢理浄化することをしなかったのだ。本当に、そうしなくて良かったとあらためて思った。


これに比べたら、ラルド領の騎士達の陣は単純なものだった。108なんて数の複合体でもなかったし。あれは魔獣にやられた呪いの傷だったから。

今回のは呪いのレベルが違いすぎる。


それぞれの陣の解呪方法についてだが、さすが元王宮付の魔術師長。そして世界樹様の「御使い」。呪い解呪には詳しかった。

5つも解ければ、あとはほぼ法則的に同様で、僕もサクサクと解呪方法を提案し、実際それで解呪できた。それはちょっと複雑なパズルを解いているようなものだった。


リンゴーン。

どこかで鐘の音が鳴り、ああ、もう夜だと知った。

シンハはとっくに僕の魔力に溶けていて、半分寝ていたようだ。

『食事の時間だ。』

と言って、顕現した。


師匠がそれに気づいて、

「…フェンリルを魔力に溶かす、か。まったく。俺の前では構わんが、ほかでは「出し入れ」に気をつけろよ。」

「はーい。」

「シンハ、お前もだぞ。」

『ばう。』

ほう。シンハが他人に返事をした。珍しい。


シルルとスーリアも出して、師匠と食堂へ向かうことに。

部屋を出る前に、結界をしたうえで思い切って尋ねた。

「ところで師匠。ひとつお尋ねしておきたいことが。ちょっと立ち入った話で恐縮ですが。」

「なんだ?」

「師匠は魔族のハーフですよね。「あの方」がなぜそう設定したのでしょう?」

「あー、それか…。」

がりがりとまた頭をかく。汚いしハゲますよ、オジサン。

「俺がそう希望したんだ。」

「!」

師匠はそのまま平気で廊下に出て話を続ける。結界はしたままだけど。


「ジュノは俺に、使徒にするけど、人族はどうかと言ったんだ。でもいろいろ種族を聞くと、魔力が大きいのは、普通はエルフか魔族だという。だがエルフはもう使徒がいたし、魔族の使徒は、今はいないっていうからな。じゃあそれでってなったんだ。だが人族でないと、大陸中自由に行き来できないだろうということで、魔族と人間族のハーフにしてもらった。

苦労するかもと言われたが、それは承知の上。とにかく、俺は魔力の大きな魔術師になりたかった。もちろん、あいつの使徒だから、魔族の苦手な聖魔法も、最初から使えたぞ。というか、生まれてすぐくらいから、すべての属性は使えたけどな。」

なるほど。



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