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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第八章 王都到着!侯爵令嬢の治癒編
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433 アルシュ総長との会話

「まずはひとつ謝らせておくれ。旧ザイツの盗賊討伐の件だ。支部がすっかりスパイにいいようにやられていて、すまなかったね。君のおかげで僕も首の皮一枚で繋がった。ありがとう。」

ああ、あれですか。

「いえいえ。僕なんか。政治的ご判断というやつでしょうから。お気になさらず。」

すごく遠い昔のような気がするが、去年の話だもんな。

「本音をいうと、あれを機に引退しようかと思ったんだがね。王様にやめるなと言われてしまって。いまだにこうしているよ。でもそのおかげで、君にも会えたし、ありがとうが言えた。で、何か僕にして欲しいこと、ある?君を一回だけは無条件で手助けするという約束だからね。」

無条件で、なんて言った覚えはないが。

うーん。面と向かうと、何も言えないなあ。

「今のところは別に。というか、お土産を持って来ました。「さるお方」から、総長にお渡しするように言われて。お使いです。」

と言いつつ、例の「桃」をにゅっと出した。


「!わあ!なつかしい!ありがとう!うんうん!最近ね、「彼」が夢枕に立って、サキ君が来るから、ヨロシクって言われたんだ。息子なんだって?」

「あー。どうもそうらしいです。」

「ふふ。驚いたよ。僕は一応「御使い」の一人だし、これでも長生きなほうなんだけど、息子を紹介されたのは初めてだなあ。」

さらっと認めたよ。「御使い」だと。

ジュノさま、総長には全部暴露してるんだあ。僕を息子と紹介するなんて!

しかもそんな機密事項、さらさら言ってくる総長も凄いけど。

「ああ。良い香り!食べるのもったいない。種を植えて増やそうかな。」

などと、桃を撫でたり香りを楽しんだりしている。

味を知っているんだね。


「僕からもお土産です。せっかくなので、桃をシャーベット…氷菓子にしました。美味しいですよ。」

ときれいなガラスの器に盛った、桃のシャーベットを出した。

「ふわあ!器用だねえ!料理もできるんだ!すごいねえ!」

「結構「あの方」にも僕の料理…特にデザートが喜ばれます。お供えすると、一瞬で消えてまして。カラの器だけになってますです。」

「あはは。そうなんだ!結構「彼」、甘党なんだね。良いことを聞いた。…ふむ。美味しい!天にも昇るおいしさだ!…ああ、本当に。美味しい…。」

そう言って、幸せそうに味わいながら、ゆっくりゆっくりシャーベットを完食した。


「はあー。美味しかった。…さて。」

シャーベットを完食したあとで。

総長…アルシュさんが急に真面目な目になった。

「聞いたよ。この辺の浄化に来たんだってね。それと魔法の勉強。で、最終的にはゴウルに行くのかな?」

「…たぶん。そうなると思います。」

「ふむ…。とにかく、今は力をもっと蓄えることだ。今、魔力…MPはいくつだい?」

「えーと…」

「ああ、「神族」になったんだね。じゃあ僕と同じだから…2,3億くらいはあるかな。」

「え?総長さん、しんぞく?」

「水くさいな。「アルシュ兄さん」でいいよ。…うん。神族だよ。「彼」から聞いてなかった?」

「ぜんぜん!」

「まったく。「彼」は相変わらず言葉が足りないねえ。僕はずいぶん前に神族になった。僕も古龍を倒してそうなったんだ。ああ、おちびちゃんには聞かせたくなかったかな。」

古龍のハーフであるスーリアに、古龍討伐の話は可愛そうと、配慮してくれた。

「…。眠いみたいなんで。たぶん聞いてないかと。スーリア。魔力に入る?」

「キュアフ。」

そう可愛く啼くと、ふっと消えた。僕の魔力に入ったのだ。そしてすぐに眠ってしまった。

「可愛いねえ。」

「はい。同類を探しています。見かけたこと、ありませんか?」

「いや。白龍とのハーフだよね。白龍はずいぶん昔に見かけたことがあるけど。古龍はなかなかいないね。」

「そうですか…。」


「僕が討伐したのは相当黒い奴だったから。もういろいろ「手遅れ」で。倒すしかなかったんだ。でも世界は広いから、どこかに元気な古龍族もいるかも知れない。諦めずに探すことだ。北の魔族領なら、いる可能性は高いと思う。」

「なるほど魔族領ですか…。そのうち行ってみます。」

「うん。そのためにも、ゴウルで死んだりしないように、ちゃんと力をつけないとね。」

「はい。」


「聖獣くんは、今はなんという名前?」

「シンハです。」

「そうか…。会うのは初めてだけど、話は以前からちらほら聞いていたよ。白い獣が、なぜか吟遊詩人と一緒にいたとか、ドワーフの村を黒龍から救ったとか。」

「!そうなんですね!?」

「うん。実は僕は、「彼」のお願いを聞いて、しばらくの間、東方にいたんだ。そしてつい数年前に戻ってきた。黒龍の悪評を聞いて戻ったんだけど。奴め、「はじまりの森」の奥に逃げ込んで、それきり出てこなくなった。

次に出てきたら、討伐しようと思っていた矢先、新しい噂を聞いた。魔獣同士で戦って敗れ、死んだらしいと。」

「…」

「君たちが倒してくれたんだね。ありがとう。」

「…。」

やっぱりばれてましたか。

まあそうですよね。僕が身につけているものが、いろいろ黒龍素材ですから。


「僕が身につけていると、黒龍の「禊ぎ」にもなると聞いたので。なるべく身につけるようにしているんです。」

「そうだね。そうしてあげるのも「供養」の一環だな。」

へえ。「供養」なんていう概念が、この人にはあるんだな、と妙なところに感心する。ああそうか。東方にしばらく居た、ということは、日本に似た東方の島国にも居たのかもしれないな。

ではあの話題を出してみよう。


「最近、ようやく「メッシ」を手に入れまして。」

「おう!メッシ!懐かしいな。シンプルだけど美味しいよねー。」

「はい!そのメッシが、僕のソウルフードなので。もしさっきのお願いが使えるなら、東方の食べ物…ノリとかの海藻類や、ミソ、ショーユ、ブシダシ(鰹節)などが、いつでも入手できるようにしてもらいたいです。」

「おう。意外にそれは難しい願いだが…。よしわかった。なんとかしよう!」

「できれば、ライム商会を嚙ませていただければなおありがたいかと。」

「ふふ。わかった。えらいなあ。自分のことだけじゃなく、他者の幸福も願うとは。」

「え、いや…。いろいろライム商会長のレジさんにはお世話になっていますから。」

「そう。彼、個性的だけど、本当に切れ者でかついい人だよねー。うん。いいよ。僕も継続的に食べたいから、東の食材に配慮することにしよう。」


これ、今日一番の収穫かもしれない。

メッシと味噌醤油は、すでにグラントたちがせっせと作ってくれているが、味噌醤油は、たぶん東の島国でも地域でいろいろな味があると思うから、いくらでも欲しい。それとブシダシとかコブノリ(昆布)は、まだなかなか入手出来ないので、とても楽しみだ。



リアルが忙しい間に、いつの間にか八章が始まってました(´д`)

クセのある登場人物たち(「人」以外も)が次々出てきますよー。

お楽しみに。

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