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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第七章 王都へ 出発編
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417 領都ベルンカーフ

ずっと気になっていたゴットさんの斧。

ちょうど僕の前をゴットさんが歩いているので、声を掛けた。

「ゴットさん。その斧、たぶん、僕の師匠が作ったと思うんですが。」

鑑定もしたけど、その前に雰囲気でわかった。


「お?これか?じゃあ、サキはゲン爺の弟子か!」

「はい。いろいろ基礎から教えて貰ってますです。」

「そうかあ。これはな、鉄とアダマンタイトに、地竜の爪と牙を、混ぜ込んであるだ。おらっちは、すぐに斧を壊しちまうでな。とにかく丈夫なのをと言って、特別に作ってもらっただよ。」

地竜はモグラの魔獣で、ワイバーンなみにでかい。好物がジャイロアント。あの硬い外皮を、バリバリと食らうらしい。


「なるほど。それで柄もそんなに太いエルダートレント製なんですね。」

「ああ。柄の芯にも同じ金属が入っているだよ。」

自分の武器を、うれしそうに語るゴットさん。


「地竜?討伐したのか。何処で狩ったんだ?」

と隊長。

「カイエルン王国の森だ。エルフが困ってるっつーから、手伝ってやっただよ。そしたらお礼に魔石も毛皮も爪も牙も、ぜーんぶ貰っただ。だが斧がその地竜退治でダメになってな。ドワーフの名匠がヴィルドにいるから、作って貰えと。アダマンタイトまでくれただよ。」

「おお。エルフ、太っ腹だな。」

「気の良い人たちだで。おらはエルフ、好きだぁな。」

「えへん。そうそう。エルフはいい人、多いよー。私もそう思う。」

とハーフエルフのアンネさんがうれしそうに言った。


「ま、エルフにもいろいろ居るがな。」

とザイツさん。

「そうそう。特に冒険者には、な。」

と隊長。

「なによぅ。その含みのある言い方は。」

皆がくすくすと悪意のない笑いをする。

「俺は一般論を言っただけだぜー。」

とザイツさん。

ほんと。この護衛達は仲が良い。


休憩の時、レジさんが

「今夜は、ベルンカーフの町が宿よ。あんまりハメをはずさないでね。」

と皆に向かって言っていた。

どうしてそんなことを言うのだろうと思ったら、ベルンカーフに到着してわかった。

領都ベルンカーフは、ギルドだけでなく、賭場や花街がある大きめの都会でした。


午後3時頃、ベルンカーフの支店に到着。荷馬車を預けた。

此処はよく中継地点で使うようで、荷馬車ごと入れられる倉庫がある。厩も充実していた。

宿泊はすぐ向かいのホテル。此処も経営しているという。内装がなんというか…レジさん好みだった。


冒険者ギルドには、レジさん、隊長、テオ、そして僕たちが行った。

シルルはスーリアとお部屋でお留守番のふりをしつつ、僕の魔力に溶けている。

レジさんと隊長は、盗賊討伐の報告と馬の売却、途中で遭遇したゴブリンの報告もある。僕とテオさんも、シンハ達が狩ったゴブリンなどの討伐報告や、魔狼を買い取って貰う用事がある。テオさんは僕がワイロで譲った魔猪の牙や毛皮も、ここで売った。

「マジックバッグ代にしないといけないからな。」

と小声で言われた。


夜は三々五々、適当に夕食を取ることになっている。

僕とテオさんはレジさんに誘われたが、同席するとまたおごられそうだったので、断ろうとした。しかし、ポーチに荷物を預かっているから、サキくん達は一緒よと言われてしまう。仕方なく、ホテルに近い高そうなレストランへ。

テオさんは、じゃ、と言って、ミケーネとさっと居なくなった。ちくせう。

今度、もし護衛を受けるときは、もう一つカラの亜空間収納バッグを作って、そっちに預かり荷物を入れよう。そして、それを雇い主に、どんと預けるのだ。


レジさんの護衛には、隊長とゲイツさんが指名されていた。

「オレかよ。」

と副隊長。きっと、「ハメを外し」たかったんだろうな。残念でした。

ミハイルさんは、また別のお仕事だろう。

彼が「ハメを外し」て、花街に行くとは思えない。

さすが切れ者のレジさん。他領の動向も、探らせているんだな。

レストランはすでに予約してあって、個室だったので、シンハもゆったりできた。

もちろん、シルルやスーリアも一緒。


「此処はまだヴィルドに近いから、料理はヴィルドと似ているし、ジオのダンジョンで獲れる海産物も豊富よ。私たちもせっせと運んでいるからね。」

そういえば、2台目や3台目には、大きな冷やし庫、つまり魔石で冷やす冷蔵庫も積んであった。

ということで、料理選びは基本、レジさんにお任せした。

シンハ用に、ホルストックの味付け無しのステーキをつけてもらった。あとはシンハに、森産のワイバーンのサイコロステーキもこっそりつける。

シルルは僕と同じものを。スーリアにはシルルと僕の分から料理を小分けし、さらに持参のミルクと、シンハと同じく森産のワイバーンのサイコロステーキもこっそりつけた。


「どうだ?護衛は慣れたか?」

「ええ。まあ。もっとのどかかと思ったんですけど。」

「アレはイレギュラーだ。あんなのがしょっちゅうじゃあ、軍が出張らないと行けなくなるからな。」

「ですよねえ。」


「シルルちゃん、本当にお料理、得意なのね。驚いたわぁ。」

「シルルはお掃除も得意なのれす。」

「今日は、馬車で編み物もしていたわね。」

「しぃ。それはナイショなのれす。」

「あら、そうだったの?ごめんなさい。」

「僕にも内緒なの?」

と聞くと、

「レディーには秘密が多いのでしゅ。」

と返された。

「そ、そうか。わかった。」

隊長たちも、くくくっと笑っている。

なんだか和むなあ。

ほんと。シルルとの会話って、平和の象徴だよね。



「レディーには秘密が多いのでしゅ。」

かわいいのでリピートしときました。

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