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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第七章 王都へ 出発編
411/533

411 夕食

「シンハはなんと?」

「うん。このあたりはもう、ゴブリンはいないって。魔狼とゴブリンと、少し狩ったみたい。あとは魔猪だって。」

「で、全部回収してきたと?」

「うん。そうみたい。合計何頭?」

『ゴブリンは…15。三箇所だった。魔狼は20。群れが二つだな。魔猪は一頭だけだ。それ以上の大物はいなかった。』

「(…でも結構、数が多いね。)」

「何頭だって?」

「えーと。」


レジさんも顔を出しているので、僕は正直に頭数を伝えた。

「まあ!そんなに居たの!?シンハちゃんすごいわあ!ミケーネちゃんも!!すばらしいわね!」

と二頭を撫で繰りまわす。

レジさんのほうがすごい気がする。他人の従魔を臆せず撫で繰り回すんだから。


隊長たちは呆れているみたいだった。

だよねえ。

勝手に狩りをしてくる従魔ってどうなの?というわけね。

「いや、俺たちが驚いてるのは、その獲物を全部、そのちっこいポーチに入れてきたっつうところもなんだが。」

あ、さいですか。

「全部、入ったんだ。すげ。」

「容量がわからんな。」

うぐ。問題はそこもなんですね。知らんふり。

テオさんがひとりくすくす笑ってる。

作ってやんないぞ。


ヴィルドと王都を結ぶ街道は、ヴィルディアス辺境伯領内では、広くて整備されている。どこまで行っても石畳。

コーネリア様が、道の整備に力を入れているのだ。

この整備された街道のおかげで、ヴィルドは辺境ながら、王都の流行をキャッチするのも早く、荷物も比較的早く行き来できる。


これで魔物が出なければよいのだが、そううまくいかないのがこの世界。

一時、ほかの領地で結界石を埋める計画が出たが、ゴブリンたちにいたずらされて剝がされたうえ、悪用されたため、頓挫したという。

避難所と称する野営地だけ、深く突き刺した結界柱を立てて魔物から旅人を守るようにしてみたが、これも盗賊たちに掘り出され、アジトに持っていかれて中止になった。

結局、今もこうして結界石を持ちつつ、護衛に守られながらの旅が、一番安全で確実だという訳だ。


王都までの間には、宿場町が発達している。

野宿は2回か3回で済むはずだ。


その晩の宿は、ヴィルディアス辺境伯領の宿場町、ミネガル。

町に入る前に、シンハのポーチにあるゴブリンは、討伐部位だけとって、穴を掘って燃やした。

魔狼は冒険者ギルドがある町で、全頭出す予定。魔猪は途中で解体し、旅の食糧にするかな。


宿は、すでに予約してあるので、すんなり部屋に案内された。

僕はシルルやシンハ、スーリアがいるので、ツインを使わせて貰うことになった。

余計に掛かった費用は、自分で出すと言ったのだが、レジさんが

「いーのいーの。シルルちゃんたちに窮屈なお部屋じゃ、ライム商会の名が泣くわ。テオも同じ仕様だから。気にしないで。」

「すみません。」

テオさんもミケーネがいるのでツインなのだ。さすがライム商会。


ほかの人たちは相部屋かシングル。ただしレジさんはスイートで、護衛が2人ほど中にいられるよう、ベッドルームが2つある部屋だ。

全員が同じ階の一角を占めている。これも防犯のためだ。

なお、荷馬車の荷はそのままで、結界を張っている。アンネさんとロイさんが魔法で作った結界だ。結界は、ロイさんが得意。

治癒術師は、治癒のほかに、こうした「守り」の魔法を特に修行するそうだ。結界石よりはるかに頑丈。さすがだね。


「サキくーん。お食事、行きましょう!」

夕食は下の食堂でとるが、レジさんは必ず護衛と一緒。貴重品いっぱいのポーチを持っているからだ。

今日は一日目なので、全員でとるそうだ。

シンハとミケーネがいるので、なるべくテラスがいいなと思っていたら、さすがレジさん。テラスに予約席をキープしてくれていた。

今夜は暖かいので、テラスでも大丈夫。


「今日は一日目だから、あたしのオゴリ。好きなもの頼んでいいわよん。ただし、お酒は一杯だけね。明日も早いから。」

1日目はいつもそうなのだろう。

皆慣れていて、レジさんにお礼をいいつつ、それぞれ頼む。

僕もシルルもシンハも、おすすめ定食にした。

今夜は魔兎肉の照り焼き、温野菜添え。それに簡単なスープとパン、グリーンサラダ付き。

女性陣とレジさんは、今流行りのパスタにしたようだ。

シンハとスーリア、ミケーネには、さらに食堂にお願いして、ホルストックを単純に焼いてもらう。

これも今日はレジさん持ちでいいと言われた。すみませんね。


さらにレジさんは、アペリティフの盛り合わせを、酒のつまみにと頼んでくれた。

隊長と副隊長はエールを頼んだが、あとは皆、ソフトドリンク。夜の襲撃に備えてのことだろう。

僕は当然、ソフトドリンクです。ポムロルジュースを頼んだ。

「では、1日目、無事に済みました。お疲れ様でした。そして、これからの旅の無事と皆さんの健康を願って、かんぱーい!」

「「かんぱい!」」


おだやかに食事が進む。

シンハとミケーネには、もちろん森産のワイバーンステーキを、午後の見回りのお礼にこっそりつけている。もちろんスーリアにも。

「サキくん、護衛、お初なんですってね。初日、どうだった?」

とレジさん。

「いろいろと勉強になりました。」

「お初、だと!?まじか!お前、たしか暫定Sだよな。」

「はあ。」

「Sでお初って…。」


「ソロでダンジョン潜ったりしてたので。護衛の仕事、受け損なってただけです。」

「たしかヴィルドに来たのも、去年の夏頃だったか?」

「7月はじめでしたかね。」

「それまでは?」

「森で狩人してました。」

「そうなんだ。へえ。」

「弓、凄かったわ。狩人だったのね。」

「はい。」


「出がけに、エストに言われたんだ。いろいろ常識がぶっ飛んでるから、1から教えてやってくれと。」

と隊長。

おや、ギルド長が…。ありがたいことだ。でも、ぶっ飛んではないだろー。

「サキくんの能力は、常識では測れないという意味では、確かにぶっ飛んでいるわね。」

とレジさん。


「あたし、聞きました!ユーゲント辺境伯領の壁!一人で直したって!!」

とセイさんが暴露した。

「領都のか!?」

あれ?ゲイツ副隊長は知らなかったらしい。

「違いますよ、国境です!1000キロメルとかあるんれすよ!ヒック。」

セイさん、なんか飲んだな。顔が赤い。

「あー、だあれ?お酒弱いセイちゃんに飲ませたの。」

とレジさん。

「あ、いつの間にか俺のエールが減ってる!」

「もう。セイったら。」

「直したらしいとは聞いてたが。1000キロメル?まさか。」

「ほんと、ほんとれすって!」


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