表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第七章 王都へ 出発編
408/530

408 手始めのゴブリン退治

今日から新章!

いよいよ王都へ向けて出発しました!

僕達は、レジさんの護衛となって、王都へ向けて出発した。

天気は上々。うらうらと暖かい。

畑には、春に飛ぶシロモンチョウやキモンチョウ、シマチョウが飛んでいた。


最初の休憩地点で、馬を休ませる。

今回は、僕がかなり亜空間収納で運んでいるので、荷馬車は軽い。

貴金属類の半分を持たされただけでなく、高価な酒の入った木箱や、アラクネ布の一部、それから飲料水や腐らせたくない生ものなども、選んで収納している。

レジさんは僕がスタンピードの時、荷馬車1台分をまるっと収納したことを知っているようだった。

それで貴金属のほかに、水や食糧などの重量物も依頼されたのだった。

もちろん、僕は快諾している。


貴金属類を僕に半分も持たせているところは、僕をかなり信頼してのことだろう。残り半分の貴金属類は、レジさんがマジックバッグで持っている。

荷馬車には、アラクネ布や普通の布製品、魔獣の革、お酒の樽や食品の箱など。主にかさばるものを乗せている。

アラクネ布だって、宝石なみに貴重なのだが、普通、マジックバッグは荷馬車1台分入れば、相当高価なのだ。

僕の亜空間収納がぶっ壊れ性能だということを、今更ながらに思い知る。


『どうだ?お前の亜空間収納が、いかにとんでもないか、思い知っただろう。』

とシンハ。

「うう。そうだね。」

お菓子のつまみ食いで、ちょっと気持ち悪い。酔ったかな。初日の午前中から自分にヒールするなんて。

休憩後は、テオさんと交代して、僕が御者席へ。するとシルルが隣に乗って来た。

「(飽きたの?)」

こっそり念話で聞くと、

「(香水、ちょっとくちゃいでしゅ。)」

あはは。だよねー。悪い匂いじゃないんだけどね。それに結構、控えてくれてるようだけどさ。それでも妖精にはキツイか。

さっきも窓、開けてたし。


テオさんは、ミケーネと歩きで護衛。

本当にのどかな一日目…

うん?前方に、魔力を感知。

シンハもちょっとぴりっとした。

『ゴブリンだな。』

「うん。隊長!」

ナナメ後方に居る隊長に声をかける。

「ああ。俺も感知した。おそらくゴブリンだ。6、7匹か。」

「いいえ。隠れているのがあと4体、計11体ですね。」

と僕。

「ほう。感度いいな。」

いやいや、僕やシンハとほぼ同時くらいに察知できた隊長こそ、人を辞めてるでしょう。

「止まれ!戦闘準備!前方にゴブリンの群れ!数約11!弓、目視後直ちに放て!」

「「了解!」」

護衛の皆がそれぞれ戦闘態勢に入る。

僕は屋根にひらりと乗った。

弓を構えるが、少し様子見。

この護衛隊が、どのように戦うのか見たい。


弓は副隊長のゲイツさんとエルフで魔術師のアンネさん。それと僕だ。

7匹がまず走ってくる。

ピュン、ピュンと風切り音をさせて、二人が矢を放った。ゲイツさんは放物線。アンネさんはほぼ真っ直ぐ。魔力を乗せているからだ。

すべて命中で、4匹に当たった。各自2匹ずつ。さすが。

だが、隠れている4匹はさすがに無理のようだ。


僕も数秒遅れて発射。

ゲイツさんたちと標的が被らぬように注意し、まず目視の2匹に命中。即死。

目視できている1匹と、矢にあたりながらも立ち上がった1匹が、走ってくる。それから隠れていた4匹のうち3匹が走り出た。合計5匹が襲ってくる!


僕はまだ木に隠れて矢をつがえている、残りの1匹を狙って、追尾の矢を放った。

即死。ザザザッと音を立てて、木から落下。

残り5匹は、副隊長、セイさん、さらにテオさんが

「私が出る。」

と言って抜刀して向かった。

残りは馬車の回りを固める。


前衛3人で4匹をあっという間に仕留めたが、1匹、手傷を負いながらもこっちに走ってきた。

「そっち行ったぞ!」

「任せろ!」

と熊のゴットさんが飛び出し、一撃で倒した。熊獣人だが、やたら素早い動きだった。

ああ、アンネさんがバフをかけたんだな。


隊長とレジさんは動かず。ミハイルさんもルクレさんも動かず。

ゴブリンだからな。このメンツなら過剰戦力だ。

ちなみに、護衛の面々は、隊長がSランク、副隊長とゴットさんがA、他はBとのこと。うーん…。僕なんかいらないよね。


「ほう。眉間が2匹と…『追尾の矢』か。やるな。」

と僕が仕留めたゴブリンを確かめて隊長が言った。


「さすが血塗れ。」

とゲイツ副隊長。

「それ禁句。…焼きますよね。」

「ああ。」

「穴、掘るわ。」

「僕も掘ります。」

アンネさんと一緒にディグ。

倒したゴブリンを、他の者たちが集め、討伐部位を取って穴に落とす。

「焼くのは僕が。」

「火力、結構魔力使うけど、いいの?」

とアンネさん。

「大丈夫です。…ファイア。」


僕はいつものように杖を出し、火を付け、ゴブリンたちの魂が迷わず地脈へ行くようにと祈る。

黒い靄を纏いながらも、無事に昇天していった。

僕の隣で、ロイさんも祈っていた。

あとは穴を消火して、土をかけて終了。

戦闘開始から10分くらいだろう。

皆手早い。さすがだ。


「ごめん、1匹逃して。」

とセイさん。

「いや、結構すばしっこかったからな。気にするな。連携はばっちりだったぜ。」

と副隊長。

ちゃんと精神的フォローもしているんだな。いいチームだ。


「にしても、よく見えたな。サキ。」

と隊長。

「えらいえらい。」

とゲイツ副隊長が子供扱いするので、

「まあねー。」

とおどけると

「言ってろ。」

とゲイツさんが笑った。

隊長もフフン、と笑ってるよ。ちぇ。

なんですか?テオさん。にやにやして。


『この護衛たちなら、どうやら俺の出番はなさそうだ。12日間、のんびりさせてもらおう。わっふ。』

と、あくびをしているシンハ。

まったく。王様は余裕だね。


「それにしても、この辺でゴブリン11体はちょっと多いすね。」

と副隊長がひそひそと隊長と話している。

「例のスタンピードの余波らしい。」

え、どういうこと!?全部ヴィルドに向かわせたよね。


ミスったかと一瞬焦ると、シンハが言った。

『俺たちが駆けつける前に、離脱した連中だろうな。大物がはぐれていれば、今頃大騒ぎになっているはずだが、それは聞かない。ということは、せいぜい魔狼かゴブリンだ。さっきの奴らも、あれで群れ全部だろう。』

「だといいけど。」

『心配なら、俺とミケーネであたりを見回ってきてもいいぞ。』

よほど動きたいのだろうな。

『ただし昼飯のあとだ。』

「(りょーかい。ヨロシク。)」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ