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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第六章 世界樹編
404/530

404 護衛仲間

翌朝。

まだ薄暗い庭を見渡す。

畑には今はもう、何も植えてはいない。

ここの薬草は、すっかり掘りあげた。

当分お世話できないから。


ロビンの従兄弟達は、僕達が留守でも此処で暮らすというので、留守番をお願いした。

防御の結界は張ってある。鳥たちは自由に出入りできる結界だ。

それでもなにかこの屋敷に異変があれば、小鳥たちがロビン経由で教えてくれるだろう。


礼拝室に入る。

この御像も、今回は持っていく。

拝礼して、聖龕(せいがん)ともども魔法をかけ、少し小さくしてから亜空間収納にいれた。


各部屋をまわって、火の元も確かめ、不要な魔石を全部抜いてあるか確認して…。

しばらく使わないソファなどには、昨日のうちに、シルルと一緒にすべて布を掛けた。そして各部屋、戸締まりをしっかりする。

メーリアに貰った「枯れない花」も収納した。

妖精達にもらったレルフィーリア入りの花束も。

どちらも、誰かがもしくは自分が、瀕死になったら、役に立つに違いない。


玄関にしっかり鍵を掛け、防犯防火の魔法陣も設置。

門も同じように、しっかり施錠。

そして保存魔法と結界を、屋敷全体にかけた。


今日は朝から雲一つない。きっと日中は良いお天気だろう。

旅の供はシンハ、シルル、そしてスーリア。

シンハにはシルルを乗せ、スーリアは僕の肩に留まっている。

「行こうか。」

『おう。』

「はいでしゅ!」

ぴきゅう!

僕達は、ようやく明るくなってきた早朝のヴィルドの街を、歩き始めた。



まだ朝の6時前だというのに、もう南門や近くの広場は、旅に出る人々で賑わっていた。

広場で、僕達もレジさんたちと合流。

「おはよー。」

「おはようございます。」

「うれしいわあ。やっとサキくんと一緒に旅ができるのね!ヨロシク!」

と相変わらずだ。

「ふつつかものでしゅが、よろしくお願いしましゅ。」

とシルル。

「いやーん。相変わらず可愛いわあ。こちらこそよろしくね!シルルちゃん。レジと呼んで。」

「はいでしゅ。レジしゃん。」

「きゃー!!かわゆい!気絶しちゃいそう!」

シルルはもう、ぬいぐるみ役決定だな。


今回は約束通り、テオさんとミケーネも一緒。

「おはよう。サキ。今回はよろしく。」

にこっと必殺の笑み。さわやかー。

きゃうきゃう!

「おはよう。テオさん、初心者なんで。よろしくお願いします。ミケーネもよろしくね。」

きゃう!

ミケーネはすでにスーリアも知っているので、さっそくじゃれさせていた。うれしそうだ。

「誰が初心者だって?」

とテオさん。

「いやいや、護衛、まじお初なんで。」

「ふふ。緊張しなくて大丈夫だよ。めったに盗賊もでないから。」

「そうであることを祈ります。」


今回の商隊は、荷馬車で3台。各荷馬車2頭立て、計6頭。それに護衛2名が騎馬予定で、馬は合計8頭。ただし、護衛用は魔馬だ。すごいな。魔馬を複数見ることは、めったにない。

高額だというだけでなく、乗りこなすにはそれなりの技量と、魔馬に信用されなければならないからだ。


広場でまずは顔合わせと、これからの旅程や配置の確認をするのだ。

顔合わせの前に、僕はレジさんに呼ばれて、真ん中の荷馬車の荷台で、これとこれとあれとそれを収納してちょうだい、と言われ、その通りにする。

「やっぱり貴方のバッグは大容量ね。」

と苦笑された。


今回は、肩掛け鞄をリュックにして背負っているが、これはスーリアのお昼寝用。他には水筒とかポーション、タオルくらいしか入っていない。

亜空間収納は、護衛任務の邪魔にならないよう、蛇皮ポーチを使っている。しかも、そのポーチを、さらに地味な焦げ茶色のワイルドボアの革でカバーし、カモフラージュしている。


普通、たとえば鍵をかけた宝石箱をマジックバッグに収納したとする。中で勝手に鍵を開けることもできないし、中味が何か、どれだけ入っているのかも、わからない。

ところが僕の亜空間収納の場合は、どんなに鍵が頑丈でも、中味まで正確にわかってしまう。すべてがリストになって、ザァーッと頭の中にスクロールされてしまうのだ。


そして今回、僕が預かった宝石箱は、魔法鍵が掛かっていたにもかかわらず、なんなく中味がリスト化されてしまっていた。

貴金属類が多く、時価合計数億ルビすなわち、数十億円規模の貴重品群だということが、すぐにわかった。

しかも、レジさんの話だと、貴重品の約半分でしかないらしい。残り半分はレジさんが可愛いピンクのポーチ型マジックバッグに入れている。もちろん、荷台にある荷物以外で、の話だ。

さすがライム商館。スケールが違う。

僕を全面的に信頼してくれているのもうれしいことだ。


なお、荷台にある箱や樽に、何が入っているのかは、あまり説明を受けていない。僕やテオさんは外部の臨時雇いの護衛。知らせる必要はないからだ。もちろんアラクネ糸や布が大量にあるのは聞いているが。

しかし僕には、これらの中味もすべてわかってしまう。

でも、荷台の荷物は索敵上位のスキルがあれば、これはわりと誰にでも容易なことだ。


四角いきれいな箱はほぼアラクネ布。ストールや白いシャツ生地がぎっしり。

使い古しの箱には魔獣の革や牙など討伐で得た商品。樽は酒類や水、漬物など。瓶詰めの貴重な酒は別の木箱。小ぶりの木箱は山菜などの春野菜や果物、それから干し肉や干物などだ。

酒はワインが多いが、一部ポムロルなどを使った果実酒もある。

穀物は麦類が少し、麻袋に入って積まれていた。

今回穀物があまりないのは、季節柄であろう。メッシや甜菜は一部で栽培が始まってはいるが、まだ収穫されていない。

魔石を使った保冷庫もいくつか積まれていて、魔獣の肉や傷みやすい食品が入っているようだ。

旅の一行の食材やパン、薪などは、3台目の荷馬車に積んである。二週間の旅程だが、途中、宿で休むことが多いので、食糧は昼の分が中心だ。途中の街でも調達するので、思ったより少なかった。


さて。僕が収納を終えると、旅のメンバーと顔合わせをした。

ライム商会からはレジさんのほか、番頭のルクレ・オットーさん。あとは御者としてミハイル・セイルさん。護衛は、商会が専属で雇っている6名と、僕とテオさんの合計8名。


護衛隊長のヴィラード・ドミンゴスさんは、右目に黒い眼帯をしている、コワモテの隊長さんだ。今回は騎馬での護衛。馬は魔馬だ。

副隊長はトマソ・ゲイツさん。金髪で片手剣使い。シーフもやるそうだ。

ゴットフリート・ノヴィスパンツァーさん。熊獣人で斧使い。盾持ちでタンク役もこなすらしい。

セイ・オルフェスさん。女性で元騎士。騎馬で護衛。馬は魔馬。

アンネローゼ・オルフェルティーナさん。女性でエルフの魔術師。

そしてロイ・エステルハーツさんは魔術師で治癒術師。

それからテオさんとミケーネ、僕とシンハ、スーリア、シルル。

シルルとスーリアは戦力外。シルルは料理人ということになっていて、報酬も払うと言われている。遠慮したのだけど、それで押し通された。

護衛たちは、魔馬に乗る二人以外は、徒となるわけだが、ずっとではない。

御者をしたり、荷と共に荷台に乗ったり、傍を歩いたりするのだ。


6人の護衛たちは、冒険者でもあるが、商会に正規に護衛として雇われており、給料を貰っている。こうした荷運びの時はいつも護衛の任についているそうだ。

結構一癖も二癖もありそうな人たちだが、レジさんが雇っているのだから、腕は確かだろう。

今回は、僕も護衛なので、さすがに自前の馬車を引っ張っていく訳にはいかず、傍を歩いて護衛する。

野営では自前のテントを使う予定。



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