400 護衛依頼
つ、ついに400話!よくここまで書いた。自分を褒めたい…。
そして、ここまで読んでくださった皆様に感謝!!
「あらん。発明王のサキくん、おはよー。」
買い出しの途中で、レジさんに会った。
「なんですかその二つ名は。おはようございます。」
特許は匿名での登録なのに、レジさんにはなぜか登録者は僕だと解られている。
トイレやアラクネマフラーなども、すべて匿名登録だけれど僕だと知っているから、当然スライムゴムとかも、と思っているようだ。
「うふふ。ナニナニ?そんなにいっぱい買っちゃって。」
まだカバン(亜空間収納)に入れる前だったから、山ほどの荷物だったんだよね。
「えと…。ちょっと遠出する予定があって…。あ、レジさん、近々王都に行く予定とか、ないですか?」
「あるわよ。もしかして…護衛、してくれるの!?」
「僕達で良ければ。」
「まじ!?あらうれしい!来週初めに出発するのよ。もしよければぜひ!お願いしたいわあ。」
「あー、片道になると思いますけど。それで良ければ是非に。」
「片道?…ふうん。王都に長期滞在予定ってことね…。いいわよ!片道だけでも楽しそうだわ!」
「あと、わがままついでに。実はシルルも一緒なんですけど。あ、もちろん、シルルとスーリアは戦力外。必要経費は僕が持ちます。シルルは料理が得意なんで、道中の食事はばっちりですよ。」
「あらん。いいわよ。じゃあ、シルルちゃんは料理人として登録するわ。謝金も出すわね。可愛いあの子たちなら、アタシが守ってア・ゲ・ル。んふ。」
ということで、トントン拍子に話は決まり、僕は亜空間収納(一応、容量大・劣化なしの特殊マジックバッグということになっている)を生かして、荷物運びもすることになった。同行者にはテオさんとミケーネも加わることに。
今回も荷馬車3台らしい。
僕は馬ではなく、徒で護衛。時々御者もやる予定だ。
「じゃあ、冒険者ギルドに、テオと同じく指名で出しておくわ。ありがとねー。」
と半ばスキップ状態で、華やかに立ち去った。
『…大丈夫なのか?』
「あはは…。たぶん…。」
王都までの旅は、楽しくなりそうだ。
それから武器屋のゲンさんの店に寄る。
泡ポンプの髭バネも銅製のバネも、他の若い職人達に任せているので、ゲンさんは特許料だけ入ってくるのを待てば良い。
少しは潤ったようで、店の品揃えも充実してきた。良かった良かった。
で、僕は此処でクナイとか鏃を買い占めた。
「ん?サキ、どっか行くのか?」
やはりゲンさんには判るか。
「うん。ちょっと王都まで。少し長く滞在すると思う。帰ってきたらまたパーティーでもやろう。」
「そうか。なんだ、さびしくなるな。お前のことだから大丈夫とは思うが、体には気をつけろよ。ダンジョンにも潜るんだろ?やばいと思ったらシンハ様に頼るんだぞ。そしてさっさと撤退するんだ。いいな。」
「うん。ありがとう。」
それから、王都にいる鍛冶師仲間を紹介してくれたり、宿や食堂などの情報も、いろいろと教えてくれた。
夜は「トカゲの尻尾亭」に行き、皆で食事をする。
ちょっと遠出するので、と挨拶。
ユーリはまた背が伸びていた。
心配そうな顔をされたから、
「大丈夫。みんなで元気に帰ってくるから。ユーリはそれまでに、ちゃんとヒールを使いこなせるようにしておくこと。いいね。」
「うん。サキお兄ちゃん、怪我、しないでね。」
「うん。ありがとう。」
ほんと、ええ子やなあ。
翌日、僕とシンハは、冒険者ギルドに、薬や薬草を少し多めに納品に行った。
僕が留守の間に、ポーションが不足するのは切ない。自分用は、これからも森の奥で10日に一度、収穫できる薬草から作れるし、メルティアもたっぷりあるから大丈夫。
今日は、ユリアはおらず、カークさんが受付に入っていた。
なんでも、ユリアは同僚の代わりに昨日夜勤をやったそうで、今日はその振替のお休みだそうだ。
ちょっと会いたかったな。でも、どんな顔で、何を言えば良いか…。
気を取り直し、まずはポーションの納品を、と思ったら、すでにライム商会からの依頼として、僕とテオさんあてに指名依頼が来ていると言われた。
「王都ですか。片道だけということは、少し滞在するんですね。」
とカークさん。
「はい。王都のダンジョンも気になるので。少し鍛えてこようかと。」
「…これ以上鍛えてどうするんです?すでに人外でしょうに。」
と怪訝そうに片眉をあげながら言われてしまった。
「はは。そんなこと、ないですよー。」
とやっていると、
「サキ。そっちが終わったら、ちょっと上に来てくれるか。」
「あ、はいー。」
ギルド長に呼び出された。
ポーション類(エリクサー含む)も無事納品を終えて、3階のギルド長室にシンハと一緒に入る。
「おまえさん、王都に行くんだって?」
「はい。レジさんの護衛で。」
「うん。ギルド本部長に、これを渡してくれるか。これはお使いの報酬だ。」
それは一通の手紙と丸銀貨5枚。なにかのついでのお使いなら、カク銀貨5枚から、丸銀貨1枚(5千円から1万円)程度。丸銀貨5枚は、専門の郵便屋で出した方がはるかに安いんじゃない?という値段だ。
「…。わかりました。報酬はいらないですよ。」
「いや、重要な手紙だから。とっとけ。餞別というやつだ。」
「はあ。じゃあ。どうも。」
「王都に着いたら、速やかに行くんだぞ。そして、必ずお前が、直に本部長に渡してくれ。」
「…わかりました。」
「ふふん。本部長、お前さんに会いたがってたからな。Sランクの授与式もあるだろうし。たくさんおごって貰え。」
「はあ。」
そういえば、そうだった。
いや、お使いとか授与式がなくとも、会わないといけなかったんで。いいですけど。
おごって貰うどころか、貴重すぎる「世界樹の実」(通称「桃」とか「桃の実」と僕は勝手に呼んでいる)を、お渡ししないといけないんですけど…。
「戻りはいつ頃だ?」
「…できれば今年中には。」
「む。結構長いな…。そうか…。ダンジョンか?」
「ええ。まあ。…あ、ギルド長、魔塔に知り合いって居ますか?」
「俺はあまり。魔塔は苦手でな。カークやケリスのほうが魔塔は得意だろう。誰かに会うのか?だったら、二人に紹介状を書いて貰え。あー、コーネリア様でもいいぞ。」
「いや、畏れ多いです。…カークさんに頼んでみます。」
「うん。気をつけてな。特に魔塔は。」
「へ?」
「魔術師は、個性的だからな。特に魔塔は、権威主義だが実力主義でもある。まあ、お前さんなら、問題なかろうが。」
「はあ。」
「ああ、向こうで本部長に推薦状を書いて貰うのもいいかもしれん。あれで結構顔が利くからな。」
「なるほど。それも考えておきます。」
「うん。気をつけて行けよ。」
「はい。では。失礼します。」
「うん。」




