393 神族
外に出ると、キリングスさんたちから、篭いっぱいの果物や野菜を貰い、お礼と別れを告げて、僕たちは我が家の図書室に通じる扉をくぐった。
するとそこはもう、見慣れたわが家の図書室だった。
「ふう。ただいまー。」
誰がいる訳でもないが、つい口にした。図書室から出る。
庭に、ロビンが来ていた。
その時ちょうどスーリアが、僕の肩先で
きゅう?と啼いた。
『うにゅ!?し、白いワイバーン!?』
ロビンが慌てる。
枝から落ちそうになってた。大丈夫?
そういえば、ロビンはスーリアに会うのは初めてか。
「ああ。スーリアだよ。この子も眷属。仲良くしてね。スーリア。こちらはロビン。ロビンも僕の眷属だよ。仲良くね。」
と言うと。
キュピイ!
と元気よくお返事した。
「スーリアは本当は龍なんだ。古代龍。」
『こ。コダイ、リュウ!?リュウなの!?』
とロビンはさらに驚いた。
ピキュウ!
よろしくねっ、とスーリアが言った気がする。
『ヨ、ヨロシク…。(サキ、僕のこと、この子、食べない?ねえ、食べたりしない?)』
「(あー。大丈夫…と思うよ。今、念のため言って聞かせるね。)…スーリア、ロビンは僕のとーっても大切な仲間なんだ。だから、仲良くしてね。」
キャウ。
「小鳥だけど、食べないでねって。ロビンが心配してる。」
キュピ。
「大丈夫、だって。」
『よ、良かった。ヨロシク。』
ピキュウ?
おにいちゃん、なの?
「うん?ああ、そうだね。スーリアと同じ僕の眷属だから、お兄ちゃんだね。」
ピキュウ!!
おにいちゃん!
兄というのが気に入ったようだ。長い尾を振って喜んでいる。
どうやら、僕がジュノ様に強制的に兄さんと呼ばされていたのを思い出したようで。
きゃう!きゃう!
とご機嫌だ。
「あはは。ロビン。君のこと、お兄ちゃんと思ってるみたいだよ。」
『ひえ!俺がリュウ様のアニキ、ですかですか!?ひえええ!』
「だから仲良くね。大丈夫。食べたりしないよ。」
『ワ、ワカッタ。ヨロシク。おっかないけど、ヨロシク。弟よ!』
ピッキャウ!!
「あ、スーリアは女の子だよ。」
『おおっと失礼失礼、妹よ!』
キャウ!
ロビンとのご対面を終えて、僕たちは屋敷に入った。
そういえば、ジュノにいさんから、「ステイタスも上げておく」と言われたけど…。HPとかMPが上がったのかな?
と思ってステイタスを覗いて、僕はひっと悲鳴をあげた。
『!どうした?』
部屋の隅でひなたぼっこをしつつウトウトしていたシンハが、驚いてすっ飛んできた。
「えと…僕、人族じゃなくなったみたい…。」
『?どういうことだ?』
「その…種族がね…『神族』になってる…。」
『なんだ。そんなことか。』
「なんだじゃないよう。人族じゃなくなっちゃったんだよ!これはオオゴトだよ。それに、HP2億でMP3億って…。」
『なぬ。』
たしか、古龍を昇天させて入った経験値で、HPはネックレス付きでも約7000万、MPは約1億だったはず…。どうしてこうなった。
加護も「世界樹の「大」加護」となっているし。
きっと、ジュノにいさんが大盤振る舞いで、僕のステイタスの底上げをしたのだろう。
ハグか!?それとも頭とかへのキスのせいか!?
まあいい。とにかく、原因は「世界樹の大加護」だろう。
「見た目、変わってない?大丈夫かなあ。」
『だ、大丈夫だ。だれにも解られたりはしない。ただちょっと…コホン。
妖精が見えるやつには、以前より光ってみえるかもしれんがな。些末な変化だ。うん。些細だ。』
「えー、そうかなあ。」
シンハ、無理矢理納得してない?
『こほん。し、神族については、世界樹の息子なんだから、いずれそうなるだろうと、俺は思っていた。気にするな。お前のドジさかげんは、相変わらずだからな。』
「え、僕が人族かどうかを計る基準って、シンハにとってはそこ!?そこなの!?」
『まあ、その、なんだ。とにかく。うん。がんばれ。』
と言いつつ、さりげなく目をそらさないでよ。
「うう。」
名前:サキ・エル・ユグディオ(本名:サキ・ユグディリア)
種族:神族
性別:男性
年齢:15才?(転生して約2年)
出身:世界樹エリア。ただし表向きはハインツ(中立地帯自治区内)
冒険者ランク:暫定S
職業:冒険者(魔術師、治癒術師、薬師、魔剣士)
体力:2億
魔力:3億
知力:不定
【主なスキルレベル】
各魔法レベル10ただし闇魔法のみ6
剣技レベル8(剣聖級)
槍術レベル6
弓術レベル7(達人級)
体術レベル6
アカシックレコード接続可(絶対禁忌以外すべて)
【加護】
世界樹の大加護
神獣の大加護
精霊の大加護
【異名・称号等(抜粋)】
ケルーディア国名誉子爵
国境の魔術師(本人はやむなく是認)
世界樹の息子(本人は納得)
世界樹を継ぐ者(本人は驚愕)
龍殺し
古龍殺し
魔獣の天敵(本人はやむなく是認)
剣聖を継ぐ者(本人はやむなく是認)
大賢者の卵(本人は疑問視)
万能狩人
万能職人(鍛冶(伝説級)、建築(伝説級)、服飾・武具・宝飾品等細工全般(達人級))




