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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第六章 世界樹編
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386 真理の続きとバクダン発言

それから、世界樹は生き物を作り出した創造主ではないこと。創造主は別に居て、世界樹は世界を見守り、魂を吸い上げ、送り出す調整者でしかないという。

そしてその創造主が、教会で聞いた創世記の物語どおり、この世界にはもはやいないことも、先代世界樹から聞いたそうだ。


「世界樹は創造主ではない。魂の調整者でしかないから、魂を清めて循環させるだけ。

せいぜいチートや加護を付けてあげるくらいしかできないんだよ。」

とのこと。いやいや、それだけで十分凄いです。


そしてジュノ様自身は、大昔にはハイエルフだったが、先代の世界樹から意思を継いで世界樹の精となったのだそうだ。これはキリングスさんが言っていたとおり。


「君にはいつか、僕の跡を継いでもらいたいと思っているよ。」

「は!?」

「だから。いずれは君に、世界樹の精になってもらおうと思って。」

「はあ!?!?!?!?」

今、とんでもないバクダンを脳天に落とされた気がする…。

「君にたくさんチートをあげたのも、うまく成長してくれたら、そうなるといいなって。

それも目的のひとつだから。ああ。大丈夫。何百年か、ヘタすると何千年も先の話だから。」

ってにこにこしてなんかすっごいことをさらっと言われた。


「まあ、それまでに君は何回か転生するかもだけどね。」

「えー。」

一瞬、その時ジュノ様はもうこの世にはいないってことだろうか、それは嫌だな、とか、シンハはどうなっているのだろう、もし僕より先にいなくなっていたら、それは絶対嫌だな、とか、何回も自分は記憶を持ったまま転生するんだろうか、そんなことをし続けたら心がこわれないのだろうか、などと、コンマ数秒のうちに考えてしまい、気が遠くなりかけたけど、それは遠い未来だと気を取り直した。

それに、きっと僕みたいな「世界樹候補」は複数いるに違いないし…。


「あ、いないよ。他には。」

「へ?」

「だから。世界樹候補。君だけだから。言っただろ、君は僕のトクベツだって。誇って良いよ。」

「はあ…。」

ジュノ様はにこっと極上の微笑で笑ったけど。


「………は!もしかして、ユグディリアっていう名字は」

「そうそう。「世界樹を継ぐ者」っていう古語だねえ。僕が先代に指名されて、名字をそのように変えたんだ。」

ふとシンハを見ると、さすがに目が点になっているようで。

ふいっと目をそらされた。

やっぱり、無意識に世界樹の啓示を受けていたんだ。

…僕は、心が真っ白になって、動けなかった…。

目を開けたまま、しばし気を失っていた気がする…。


「シンハ。これからも僕の後継者たるサキを、頼むよ。黒い靄に染まったりしないように、護ってあげて。」

『お前に言われなくとも。それに、勝手にサキを後継者にするなど、気に食わん。』

「ふふ。そうかもしれないけど。もう決めちゃったし。」

『貴様!』

「君たち四聖獣は、僕がこの世界を破滅させないよう、見張るのも仕事だ。それもよろしく。」

『お前がどうなろうと、俺は知らん。』

「ふふ。本当にサキが大好きなんだね。いいことだ。…ティノやその使徒らから、サキを必ず護ってね。僕がサキの傍に居て、ずーっと護ってあげたいけど、黒い靄があると、そうもいかないから。」

『…。わかっている。心配するな。』

「ふふ。ありがとう。」


僕の精神が空白になっていた間に、世界樹様とシンハはなにやら話していたようだった。


ようやく僕が平常心を取り戻すと、ジュノ様は世界樹の中を案内してくれた。

通常、ジュノ様は精神体で、核内にいることが多いらしい。

ちょっと驚いたのは、子龍のスーリアがジュノ様にすぐになついてまとわりついたこと。

ジュノ様も楽しいようで、スーリアを重力魔法でぷかぷか浮かせて、自分の周りを巡らせて遊んでいる。

ジュノ様が僕に似ているから、家族と認識したのかな。

いつの間にか、スーリアに「世界樹の加護」が生えていた。


「可愛いねえ。白龍と古代龍のハーフか。」

「はい。…今は肩に乗っていますが、今後大きくなりすぎないか、ちょっと心配です。」

母親も大きかったからな。

「それは問題ないだろう。もう少しすると、シンハと同じように大きさを変えられるようになるはずだからね。」

「そうですか。良かった。」

スーリアと一緒にいられるのはうれしい。


「それに、君もまもなく「サンクチュアリ・エリア」魔法をマスターできるはずだよ。」

「え、それって、「ディメンションホーム」と同じやつです?」

「そうそう。亜空間収納の、空気とか天地ありバージョンね。マスターすると、君自身もそこで暮らせるようになるから。旅は快適になるだろうね。」

「おぉ。では、未来の自分に期待します!」

「ふふ。楽しみにしているといい。きっと中はとても快適なはずだよ。」


核外にはさまざまな区画があり、いろいろな様式の部屋になっていた。

まるでテーマパークに来たみたいだ。

共通しているのは、どの部屋も住み心地が良さそうでかつこだわりが感じられた。

たとえば、マホガニー製の家具や建材で作られたいかにも欧州風の部屋とか、隣はいきなりの日本の茶室仕立てだったり。そういう特徴ある部屋たちが、見事な螺旋階段で繋がっていた。

まさにテーマパーク!明治村!某ネズミ君のいる○○ランド!


「凄いな。一部屋一部屋、さりげなく凝ってる。」

「ヒマに任せて作ってみたんだ。住みたかったら、住んでもいいよ。好きな部屋を選ぶといい。」

「いや、でもそれは。」

「どうせ今夜は泊まっていくんでしょ?キリングスには僕から連絡しておくよ。好きな部屋を使うといい。ああ、夕飯は、彼らが焼き肉パーティーをする気満々でいるようだから、食べてからまた戻っておいで。彼らもキミたちを歓待したいんだ。意を汲んであげてほしいな。」

「はい。」


「ちなみに、通常アカシックレコードは、得意分野についてのみ接触できるようになる。キリングスは建築とエルフの魔法についてはかなり接触できるが、ほかは接触できない。あまり料理には期待しない方が、いいと思うよ。」

「え…はい…。」

なぜにわざわざそのような個人情報を?とは思うが、まあわかった。夕食は覚悟しよう。

さて、結局僕たちは落ち着いたシックな洋風の部屋を一応選び、それから一旦世界樹の外に出ることにした。


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