表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第五章 春の嵐編
358/529

358 ザイツの森での考察

さてと。そろそろと思って魔石を仕舞い立ち上がると、妖精たちも戻ってきた。

「サキ。向こうにも木を倒された道があった!」

「そうか。やっぱり此処だけじゃないんだな。行こう。」

『おう。』

ぐっすり寝ているスーリアを魔力に取り込み、また出発だ。


その日は夕方までザイツの森を調査した。

転移魔法陣は、5ヶ所におよんだ。

ダンジョンの中だったり、森の中だったり。

いずれも森の浅い所ばかり。

索敵で確認したから、これ以上はないはずだ。

森の中にあったものを、わざと一つだけ残し、残りの移転魔法陣は破壊した。

残した魔法陣には、見張りを付けることにした。

コウモリのハピとフクロウのハカセ、コマドリのロビン、カッコウのクルックを召喚。相談したところ、ハピとクルックのザイツの森に住む仲間たちが、昼夜交代で当面見張ってくれることになった。なにかあれば、ハピやクルックから連絡をもらう手はずだ。


とにかく、ザイツの森の現状は、調査しがてら僕が浄化してまわったから、今後またスタンピードが発生することはないと思う。

念のため、僕はザイツの森のかなり上空から、浄化の雨、聖雨を広く降らせた。

エリクサーを2本飲んだが、気絶しないで済んだから、まあいいでしょう。

シンハにはまた呆れられたけどさ。


夕暮れの森の上空を僕たちは飛ぶ。

妖精達はさすがに疲れたらしく、シンハのもふもふの背中でくーかーと眠って居る。結界をしてあげたので、寝相が悪くても落ちはしない。

僕は帰路を急ぎながら、今回の事件について、いろいろと考えてみた。


魔獣にはエイプの指示に従うように使役魔法を使い、エイプにも強い使役魔法を使ったはず。さらにエイプには興奮剤も投与されていた。


そして、すでに息絶えた古龍を召喚し、数日後には洗脳もした。

そして、魔獣たちを次々と転移で呼び寄せ、古龍にけしかけさせて、ヴィルドを襲わせたのだろう。

いずれにせよ、膨大な魔力が必要だったはず。


これら一連のことを、普通の人族の魔術師ができるとは到底思えない。

すでに何千年も前に息絶えた古龍を召喚する?

たとえ黒魔術を知っていたとしても、僕には、おそらく無理だと思う。

つまり、僕よりも知識もランクも上のひと…いや、ひとなのだろうか。

魔人だったとしても、はたして魔力がもつだろうか。

大規模な、組織的な犯罪であろうとは思う。

だが、核になるのはマッドな黒魔術師。

そして、おそらく時間をかけていろいろ画策したのではないだろうか。


そう考えると、突然変異の毒針魔狼や、ゴブリンキングの発生、そして「龍のアギト」事件の変異した魔族侯爵も、その実験だったと思えてならない。

とにかく相手は、魔獣の合成や人体改造も行う、狂った魔術師のような気がする…。


それにしても、膨大な魔力と、古龍を使役する能力はどうやって?

魔力を集める魔道具でもあるのか。

考えてもすぐには結論が出ない。

いや、僕はもう、結論を持っている。


僕以上の魔力…それは高位の魔族か…邪神…。


「ねえシンハ、僕より魔力がいっぱいあるひとって、どれくらい居る?」

『オレは魔族のいるエリアには行ったことがないからはっきりしないが。魔王や高位の魔族なら、お前くらいあっても…。いや、どうだろうな。わからん。』

「うーん。でも考えられるのは、やっぱり魔族か。エルフは?」

『ハイエルフならいるかもしれんが…。黒魔術を使ったり、こんな森を破壊するようなことをするとは思えん。』

「だよねえ。じゃあ、犯人は魔族一択?」

『この狡猾さはむしろ人間のような気がするがな。』

「実行犯は人族でも、影には…」

『サキ。お前はもう、答えを持っているのだろう?俺と同じ答えを。』

「…。」

『…』


「…うん。魔力は魔族や…「邪神」が提供。そして実験室は帝国。」

『おれもそう思う。これにはおそらく、「邪神」が絡んでいる。』


「…昨日の話が、急に現実味を帯びてきたね。」

『俺の意思は変わらん。おまえの傍に、いるだけだ。』

「ありがとう。」


『これだけの大事をおこなったのだ。いくら「邪神」が関与していると言っても、実行犯は人か魔族だろう。すぐに魔力を回復できるとは思えん。』

「…。とにかく、今ははやく家に帰って、シルルのご飯を食べたいな。」

『賛成だ。』


翌日、僕はギルド長たちに、ザイツの森に行ってみたと報告。

またそんな危ないことをと案の定怒られたが、反面、指示待ち状態で身動きが取れずにいたので助かったとも言われた。

そして、ダンジョンはすでに洞窟となっていて、危険はないこと。

魔獣も、ほぼいないということ。そして、魔法陣は5つもあったが、すでに活動は不可能になっていたと報告。

一番残りの良かった魔法陣の写しを提出した。

転移の出口専用だと思う、という示唆も添えた。


魔法陣はケリスさんも読み切れないという。

本部長にそのまま送るそうだ。


まだ、犯人が捕まっていないのが気になるが、ひとまずあとは偉い人に任せよう。


いつもお読みくださり、ありがとうございます。

「春の嵐編」は、なにかとシンコクな場面や考察の場面が多いですが、サキにとって重要な出来事なので、丁寧に書いていきたいと思っています。

そんな中で、グリューネたちが出てくるとほっとしますね。

最近はスーリアが可愛くて。


いいね!や感想、励みにしております。

これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 読み上げ機能は、はずしているのでしょうか?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ