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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第四章 大寒波の冬編
268/530

268 戦闘!

「今、シンハを狙ったな。」

「…」

許さない。怒りがぶわっと吹き出し、炎になった。


グワァ!

なんとサラマンダが、龍になって現れた。

僕の怒りのパワーが、サラマンダを変化させたのだろう。

「ひ、ひえ!な、なにをしておる!あの怪物を殺せ!火を消すのじゃ!屋敷が燃える!」

ゴオッ!

サラマンダが火のブレスを吐いた。

相手はあの黒服。

氷の結界でそれを阻止しようとした。が、サラマンダの炎ブレスはそれを簡単に凌駕した。

「ぐわぁあ!」

あっという間に火だるまになった黒服は、慌ててアイスストームで火を消した。

僕が魔剣で躍りかかると、奴はそれでも僕の魔剣を払った。

キン!

カキン!カキン!

2度、3度と剣を交す。

相当な手練れだ。首無し師匠を思い出すほどの。


再びサラマンダのブレス。

奴が廊下に逃げる。

逃げながら、アイスランスを放ってくる。

僕はなんなくそれをかわすと、また2度、3度と剣をかわした。

そして、奴が僕の剣を防いだ時、僕は咄嗟に魔剣を氷剣にした。

「アイシクルソード!!」

魔剣は氷剣となり、超速でそのまま氷を伸ばしていき、奴を串刺しにした。

「ウグゥ!!」

ザン!

さらに奴の首を飛ばした。黒く染まったツブツブが、天へと昇っていった。


「ひ、ひえっ!」

貴族の前に、黒服の首が飛び、貴族は腰を抜かした。

右翼に集まった奴らはもうサラマンダの炎に逃げたか焼け死んだか。

例の貴族だけが取り残されていた。

遠くでガオオン!というシンハの雄叫び。

どうやら宿屋から戻って、玄関で暴れているようだ。


「い、命だけはおた、お助けをぉぉ…。」

「言え!何故あの子だけを此処に閉じ込めた!」

「て、帝国のお方に…け、献上…。」

「ほう。帝国の誰だ。」

「そ、それは…うぐっ!ぐはっ!」

「!ヒール!」

だが、ヒールでは治らなかった。呪いか!重要なことを言おうとすると発動する呪い。

「浄化!」

僕は慌てて魔法を切り替えた。しかし、すでに肉体は半ば灰に。

「帝国の、誰だ!」

口をぱくぱくさせたが、もはや何も聞こえなかった。

貴族はそのまま消え失せた…。

黒く染まった粒が、天へと昇っていった。


『サキ!』

「クエェ」

左からはシンハ、目の前の室内からは、いつものヤモリのように小さくなったサラマンダが現れた。

一応これ以上火が大きくならないように、鎮火しておく。

「二人とも。ありがとう。帰ろう。」


自由なサラマンダは、僕のあげた魔力を食べ、それから僕の魔力に戻ると、さっさと眠ってしまった。疲れさせたね。ごめんよ。ありがとね。

僕はシンハにまたがり、宿屋にフライで向かう。

『まったく。キモを冷やしたぞ。オレはお前の用心棒なんだぞ。なのに、お前から離れるよう命じるとは。』

とぶつぶつシンハが文句を言っている。

「だって、あの場面では仕方ないだろ。ユーリ君を預けられるの、「信用できる君しかいない」んだから。」

『ふん。まあ、それはそうだが。』

少し溜飲を下げたかな。


『おうそうだ。ユーリが声を取り戻したぞ。』

「え!?ほんと!?良かったぁ。きっかけは?」

『おそらく、連れ去られた恐怖と、両親に会えた喜びの起伏が大きかったからではないか?人は大きなショックを受けると、何かしら体に変化があるものだろう?」

「そうか…。でも、良かった。うん。良かった!」


あとはもう一つの心配事。

シルルが戻ってこない。


「シルル?大丈夫?」

念話で語りかけると、すぐに反応があった。

「だいじょぶでしゅ!みんなオナワにしましたでしゅ!えへん!」

おうふ。安心して力抜けたぁ。


どうやら、ギルド長や冒険者たちと、奴隷商人やその手下を捕らえ、子供達は救出して、無事に冒険者ギルドに戻る最中らしい。

ギルド長に肩車されて、ゴキゲンだ。


「まったく。ちっとも帰って来ないし、連絡もないから。心配してたんだぞ。」

「えへへ。ごめんなしゃいでしゅ。」

ちっとも悪いと思っていないな。

「楽しかったでしゅ!」

「もう。あまり心配させないでくれよう。」

『それはサキ。オレがお前に言いたいことだ。』

「あらら。僕まで叱られちゃったよ。なはは。」


まずギルドに行って、写真を見せながら、

この貴族がかくかくしかじか、と報告。

ただし、どうしてユーリ君が狙われたのかについては、わからないと答えておいた。

なにもハイエルフの末裔云々とか、宿屋夫妻の実子ではないとか、言う必要は無いからね。

重要なのは、この国の貴族が、奴隷商と結託して、子供達を攫ったこと。

そのうちの一人を「帝国の「あの方」に献上」しようとしたこと。

これで、くだんの貴族が、帝国と結びついていることは明白だった。


しかし、当の貴族が死亡では、もはやどうにもならないだろう。

とにかく、王様に報告するらしい。貴族はグイド・ド・マルセル男爵だった。


この貴族は後に、謀反ということで、家はお取り潰し。すでに妻は離婚していておらず、王都に居た幼い一人息子だけは、元妻の実家からの嘆願でなんとか命を助けられ、教会預かりとなった。

また、僕が貴族家で暴れたことに関しては、辺境伯が動いて、もちろん僕の名も出さず、こちらに影響がないようにしてくれた。


宿屋に戻ると、それはもうすごく感謝された。

ユーリ君がたどたどしい言葉で

「あり、がと、ござぃ、ま、す。」

と言ったので、もう感激。

「無事で良かった。」

と、抱きしめて、ほっぺにキスまでしちゃったよ。あーかわいい!



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