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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第一章 はじまりの森編
26/529

26 家を改造する 2 トイレと風呂場を作る

翌日。

石材は得たので、次はレンガを作る。

土台と腰壁部分は石で作るが、壁の大部分はレンガを組み上げる予定だからだ。

すべて石では川の上流から岩を大量に採取してこなければいけないし、川の流れも変わりそうだ。環境破壊はあまりよろしくない。

(魔法の訓練で森に更地を作ったのは誰?というツッコミは無視。)

それに、オール石では建物内部が冬にはどうも底冷えが酷そう。

そこでレンガが登場である。


レンガは土から土魔法で作れる。

焼き締めるとさらに頑丈になるようなので、火魔法も使うことにした。

まずは魔法訓練で使っている森の広場に移動。

材料の土は、この広場の土を使うことにした。

魔法を連発していたので、土が硬くなってしまっている。

この広場は拡張した畑の北側、500メル先くらいにある。広さは10ヘクタールくらい。火炎魔法とか重力魔法とかの攻撃系を試していたらこうなった。火炎魔法といっても、巨大隕石を落とすメテオとかじゃないんだけどな。解せない。まあ気にしないことにしよう森は広い。


まず試作品を数個作った。

レンガは単なる直方体ではなく、○ゴブロックよりは浅いが、突起とヘコみを付ける工夫をしてみた。

直方体の下面に2つの円柱状の凹み、上面は2つの凸部を作る。これにより、組み上げた時崩れにくいようになるはず。

これにモルタルもどきを塗って積み上げる。

乾燥も魔法で時短。

すると結構頑丈な壁にできそうだとわかった。


地面に手をついて、魔力を流す。

イメージはなるべく粒子の細かい均一な粘土。

それを魔法で圧縮しながら型抜きして天日干し。

さらに亜空間収納の中に取り込んで、完全に乾燥。

そしてサラマンダにも手伝ってもらって、焼き締めた。

焼き締めると結構縮むので、それも計算して二回りくらい大きく作ってある。魔法で圧縮もしているので、十分に堅いレンガができた。


それから、ガラス作りにも挑戦した。

欲しいのは、窓ガラスになる板ガラス。

材料は河原で拾った石英と、岩塩採取で見つけたナトロン、それから野菜採取の時に発見した方解石で作った石灰、それらを亜空間収納で合成する。

僕は科学者ではないが、だいたいの材料を亜空間にぶち込んであとは豊富な魔力とイメージでこねくり回す。

イメージを強くして、魔力をたっぷり注いだら、なんとかできた。

ついでにガラスのコップとかポーション用のガラス瓶なども作ってみる。

強くイメージして、こんなデザインで…と。

「んー。…!できた!」


目の前に板ガラスとかガラスのコップとか、ポーション用ガラス瓶とかをぽんぽん出してみせると、シンハが目を丸くして、

『これはなんだ?』

「え、風呂場やトイレに嵌める明かり取りの窓ガラス。こっちはグラスだよ。お酒とか水とか飲む時にあると便利でしょ。それはポーション用の瓶ね。…ふむ。まあ窓ガラスは逆にもう少し曇っていたほうがいいか。そのかわり割れにくい分厚いものにしよう。」

とつぶやきながら再度亜空間収納に取り込む。

と、シンハに、はあーっとため息をつかれた。

「ん?」


『お前は…。「自重」という言葉を知らないのか?』

「え?」

『あのなあ。魔法でガラスを作るというのは百歩譲ってよしとしよう。しかしなんなのだその亜空間収納は。なんでもアリか!どうして収納内で加工などできるんだ!』

「えー。そう言われても。僕のはきっと特殊な収納なんだ、と思うしかないよねえ。」

と言うと

『ふう。まあ、他のやつの前で今みたいにぽんぽん出してみせるんじゃないぞ。お前は相当特殊だからな。』

とクギを刺された。

うーん。そうなると、ナトロンから試しに作ったせっけんや髪も洗えるボディーシャンプーとかも今見せたら、もっとシンハに怒られそう。よし、お風呂を使う時まで封印しておこう。あ、リンスは薬草から香油を取ってつくったよ。


さらにその翌日。

建材はそろった、と思う。

だが鍛冶仕事がまだやれていない。

本来なら金槌やノコギリを作って、クギを作って、それからだと思う。

だが大抵のことが亜空間収納でできてしまうし、工法を変えれば金槌もクギもいらないんだよねえ。

仕方ない。鍛冶は後回し。

先にトイレとお風呂だ。


気を取り直し、いよいよ縄張りだ。

洞窟の前広場に、四方に目印になる棒を突き刺し、丈夫なアラクネ糸で縄張りをする。建物の大きさや間取りをこれで確認。

次に、頑丈なエルダートレント材で柱を建て、さらに重力魔法で梁を乗せる。

ここは柱と梁をクギを使わず、組ませてしっかり固定。

細かいところに使う予定のクギも、エルダートレントで作った。鉄クギよりずっと頑丈らしい。

重力魔法は、この梁を渡す作業でしっかり微調整までできるようになった。屋根の木組みも作る。そうした大まかな枠組みをエルダートレント材で作ったのち、屋根に渡す骨組みは普通トレントで作製。

『トイレをエルダートレントで作る馬鹿をはじめて見た。』

とシンハに言われたが、宝は使わないと持ち腐れになるからね。


柱の外側に土魔法で上流から採取した石を積み上げる。石同士の接着は、間にセメントもどきを塗って魔力で固めていく。これが腰壁だ。

腰壁ができあがると、今度はレンガを組み上げていく。間はモルタルもどきで接着。セメントもどきより細かい粒子だからね。

屋根は三角の切妻屋根にして、同じ岩山で採取しておいたスレート石を亜空間内で薄い板に作り、レンガで作った屋根に貼っていく。

小さな小屋だけれど、要塞のように頑丈な風呂とトイレのできあがりだ。

窓は小窓にして、魔獣避けの結界石を窓枠にしこみ、竹で作った窓枠に、血と汗と涙で作った(主にシンハに怒られたことによる)板ガラスを嵌めた。もちろん、魔法でさらに強化して、割れないガラスになっている。わざと曇りガラスになっていて、風呂場用に丁度よい。


明かりは獣油を固めて灯明皿方式だ。

川砂を材料に、土魔法でつるっつるの薄くて白い板石を作り、それを反射板にして灯明皿の片側に立て、光量を少しあげた。

壁面と屋根の内側も川砂を材料に白っぽく仕上げれば、結構明るくなった。

もちろん現代社会と比べれば薄暗いけれど、幻想的でなかなかよい。

バスタブは上流で切りだしてきた岩を風と水魔法で成形。肌ざわりがいいように、側面はつるつるに、バスタブ内の床はすべらないようにわざとマット仕上げにしてある。

シンハも使えるように、湯船は一部広く浅くした。

『俺は風呂など入らぬから、気にするな。』

とか言いながらも、試しに浴槽の浅いところに身を置いてもらうと、うれしそうに尻尾を振っているじゃないか。

綺麗な丸っこい石(というかほとんど貴石)を湧き水の川から拾ってきて床に埋め込めば、温泉場のようだ。結構というかかなり豪華な風呂場ができあがった。

床には普通の石とクジャク石、ラピスラズリを主体にした。さすがにルビーとサファイアはなるべく避けた。なるべくだが。


仕切りの手前はトイレと洗面所。

どちらも僕以外は使わないけれど、風呂の手前は仕切っただけにして、麻のサラシをムラサキ草で淡く染めてのれんに仕立てた。亜空間収納に入っていた布なので残量を気にしながらだけれど、少し贅沢をしてみた。

便器は洋式。土魔法で陶器製とし、座ってひんやりしないように、便座の釉薬には火スライムの魔石を砕いて練り込んでみた。するとちょっとの魔力でほんわかに。

この世界のトイレは、スライムに処理させるのが普通らしい。

スライムは町中ならば下水に棲んでいて、人間と共存している魔獣なのだそうだ。

僕は浄化魔法が使えるから、汚水処理はスライム方式にはしなかった。

便器の下に穴を掘り、クリーンで浄化。それを竹水路で崖下の小川に流す方式。

まったくもって魔法さまさまだ。


お風呂や台所の排水は、升を作って固形物は沈殿させ、水分は浄化したトイレの水と合流させて崖下まで流し落とすことにした。クリーンを込めた小石を升に敷き詰め、浄化してから流している。升の固形物もこのクリーン魔法で分解されるのでドブさらいも必要ない。川の汚染もないのは元日本人の僕としては、気持ち的に罪悪感がなくていい感じだ。


シンハは糞や小便をしないらしい。すべて体内で分解されてしまうようだ。

たまに消化不良の魔草などをぺっと口から吐き出す程度。

フェンリルは魔素から生まれたのだからある意味では魔獣であるが、神聖なる森の中でしか生まれない。精霊が肉体を得たものなのだった。

シンハの毛が抜けると、ふわわっと消えてしまう。せっかく集めてクッションにしようと思ってたのに。毛が抜けるのはまずいのではと思い、ブラッシングはやめるかと聞くと、気持ちいいからして欲しいんだって。抜け毛もわずかだし気にするなとさ。


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