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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第一章 はじまりの森編
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02 プロローグ 空から 2

それより数秒前。

少年の意識は眠りから急激に覚醒しはじめた。

まだ目を閉じたまま、周囲を感じる。

さやさやと心地よいかすかな風の音と、草の匂いがする。

自分はどうやら草の上で眠ってしまったようだ…。

「(草の上??…)」

覚えがない。

風が頬をくすぐって行く。

ふと。

近くに生き物がいる気がして、目を開けてみようと思った。

危険は感じなかった。


最初に見えたのは青空。

そして真っ白い毛。

毛?

近くで白いけむくじゃらの四つ足の獣が座っていた。

大きな犬のようだ。

ひゃっ!と思って飛び起きようとしたが、その時自分の胸の上に、その獣はぽんと前足を置いたので、起き上がることもできない。

強い力ではないが、軽い力でもなく、はねのけられそうにない。

「え?え?なに?お前、なに?」

じたばたしながらなんとか足をどかそうと試みると、意図が通じたのか、やっと足をのけてくれた。

さすがにこのままでは喉をかみちぎられるかもとあせって上体を起こし、じたじたと無意識に後ずさりする。

すると金色の目をした白い四つ足の獣は、そのままちょこんと座ったままで、小首をかしげて自分をみつめていたが、やがてふあーあ、と大あくびをすると、前足を枕にして伏せてしまった。


よく見ると、犬ではなく、ライオンに近い?

大きな四つ足の動物だ。

ハスキーの成犬よりも大きい。

大きさもライオンくらいか。


「えっと…お前、犬?違うの?もしかして…狼?ライオン?」

だが犬?は答えず、フン!と鼻を鳴らしただけで、伏せたままだ。

少年は、しばらくそのままその犬?をじっと観察していたが、襲ってくる気配はないので少し安心した。

安心すると、そのつやつやの白い毛を撫でてみたいという欲望がむくむくと沸き上がった。もともと犬好きだったのだろう。

「えと…。触っても、いいかい?」

そう独り言をいいつつ、おそるおそる四つんばいになって近づき、慎重に手を出して、前足を撫でてみようとした。

すると、

犬?は眠そうにじっとして少年が手をのばしてくるのを見ていたが、少年の指をふんふんと嗅ぐと、ぺろっと舐めた。

噛むではなく、舐める。

これは親愛のしるしに違いない!

少年はうれしくなった。


それで今度は少し自信を持って、前足をゆっくりと撫でてみた。

すると犬?は気持ちよかったのか、またぺろぺろと手を舐め、ふさ、ふさ、と長い尻尾が左右に揺れた。

尻尾はライオンとは違って、やはり長い毛の犬のものに似ていた。

体毛もライオンと違い長めだ。

少年はますますうれしくなって、今度は顎に手を伸ばす。

犬なら絶対、下顎を撫でられるのは好きに違いない、と思ったからだ。


すると犬?は心地よかったのか、目を細め、少年に撫でられるがままになっている。

少年は今度は大胆ににじりより、頭を撫でることにした。

最初は慎重に手を伸ばす。

でも犬?は何も抵抗しない。

やはり心地よさそうというか、眠そうに目を細めている。

少年はもう満面の笑みになって、犬?と並び、頭全体を抱きしめるように撫でた。

犬?は少しも抵抗せず。むしろ気持ち良さそうにふっさふっさと尻尾を振ってくれた。


獣は少しも獣臭くなかった。

お日様の匂いがした。知らない花の匂いも。いい匂いだ。

「うふ。お前、毛並みいいねえ。気持ちいいや。それに、けもの臭くないね。不思議なやつだなあ。ん?オスだよね。メス?多分、オス、だよね。」

少年ははじめて会った獣の友達に、笑顔で語りかけ、撫で続けた。

「ねえ、お前は此処に住んでるのかい?ところで、此処は何処なのかな?」

少年は四つ足の獣が伝説の獣のフェンリルとは気づかず、いろいろと語りかけた。

「ふう。お前に聞いても無理か。残念だな。」

そう言いながら、今はすでに体中撫でまわしている。


「人懐っこい犬だな。…犬、だよね。まあいいか。名前は?」

名乗るはずもない。

「じゃあ、勝手に名前、つけちゃうぞ。んー。シンハっていのうはどうかな。獅子の意味なんだけど。」

シンハと呼ばれたフェンリルは、何も言わず、ただ眠そうにふっさふっさと尻尾を振った。

その時、なんだかふわっとシンハが光ったような気がした。

え?と思ったけれど、シンハは何もなかったように、ふっさふっさと尻尾を振りながら眠そうにしている。

「気に入らなかった訳じゃあないみたいだな。じゃあ、シンハ。よろしく。ふぁーあ。なんだか僕も、すっごく眠いや。」

少年はそう言うと、すっかりシンハを信用して、彼の首をだいたまま、寄り掛かって目を閉じてしまった。


シンハと呼ばれたフェンリルは、困った。

困ったが、心地よい。

こんなに無防備な人間も珍しい。

それに、いい匂いがする。

仕方がない。

守ってやるか。

と。

何故かシンハはそう思い、彼自身もまた昼寝の続きをはじめた。

うららかな日差しの森。

不思議な獣と人間の物語のはじまり…。


お読みいただき、ありがとうございます。気に入ったら評価(下の☆5つ)やいいね、感想をお願いします!はげみになります。作者はメンタルが豆腐なので、キビシイご指摘は勘弁してね。

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