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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第二章 冒険者の街ヴィルド編
170/530

170 新しい家 改造3日目と4日目。熊親方の検分

新居改造3日目。

今日は鍛冶小屋を作る。


まず裏庭の予定した場所に糸を張って場所を明確にする。

森に作った作業場よりかなり広くしたので、ひとりで作業するには十分な広さだ。

柱の位置を決め、各所にエルダートレントで柱を立てる。要所の梁もエルダートレントを使う。補助柱や屋根の補助梁などは普通トレントだ。

これらの作業には飛行魔法と重力魔法が必須だ。

なにしろ一人で行なうのだから。

ゴーレムにちょっと持っててー、とやらせるのもアリだが、僕は一人で黙々と、宙に浮きながら柱を怪力でぐさりと地面に打ち立て、梁を浮かせて柱に固定し…とやっている。

地球ではあり得ない工法だ。


床と腰壁は森で拾ってきた岩や石で作る。

それから壁はレンガを亜空間収納内で大量に焼いて作った。

森の土を使ったのは、なんとなくなのだが、本能的に、魔力の多い場所の土が鍛冶小屋にはいいと思ったからだ。

それで思いついて、地下室の方の床もセメントに森の土を使って一塗りしておいた。

単にまっ平らに塗るのは味気ないので、ちゃんとレンガ敷きが判る程度に。

魔法で塗ったのでさほど疲れずにできた。

その間も、亜空間収納くんの中ではレンガを作っている。


午前中はひたすら耐火レンガ作り。

ただ、傍目ではぼおっと座っていたり、ちょっと地下に行って、すぐに戻ってきただけに見えただろう。

そして何故か次々にレンガが、鍛冶小屋の脇に積み上がっていく、という風景だ。

それをみて、シルルは唖然としていたが。

十分にレンガを作り終えると、レンガを積み上げ、壁を作る。

窓を忘れずにあけておく。


屋根は屋敷にあわせて三角形に。煙突も忘れずに。

屋根のベースは薄めのレンガを敷いている。耐熱と火事防止のためだ。その上にトレント樹皮のネタを敷き、そこにスレート板を付けていく。

屋根のスレートはすでに採取加工済なので、魔法でパタパタと並べながら、クギでトレント材の樹皮ネタに打ち付けていく。もちろん魔法で。手作業だと地味に手間がかかるからね。


鍛冶小屋製作は一度森でやっているから、さくさく手早くできる。

外壁の仕上げは親方にお願いする。本邸との見た目バランスがあるから。内側はレンガむきだしでいい。


大切な水桶や炉の部分は、僕の方が親方より詳しいだろうから、僕がほどよい長さ、大きさのものを作って設置した。

それから上水、排水設備もつけた。

鍛冶は大量に水を使うからである。


此処は町中なので、下水は公道の下を下水道が通っている。

この位置であれば、公道の下水道に送り込むほうが近い。敷地を調べると、運良く一番近い敷地の隅に使っていない下水升があった。雨水のためだったようだが。

公道の下水管に繋ぐ場合は、いちおう管理者である領主に届け出が必要とのこと。すでにあるのでおそらく大丈夫とは思うが、あとで確認だ。


小屋を広くしたのは、宝飾品などの細工もできるようにである。

窓辺に大きな机を置いて、細かい作業をするためだ。

そのために、森にあった小屋の二倍の大きさになっている。

広いと熱が逃げやすいが、火床近くはレンガ壁で仕切をつけ、さらに結界魔法でなんとかできるから、広さと作業のしやすさを優先して作った。


部屋の隅、窓際にあとで大きな机を置く予定。そこが細工所となる。炉は遠いが、火の様子もちら見で確認できる位置だ。

最後に、屋敷側に扉をつけるための穴をあけ、小屋との間は短い屋根付きの通路でつないだ。

この二つの扉の周囲には耐熱の魔法をかけておけばなおいいだろう。


それから鍛冶場全体に防音魔法も仕込む。

煙突には煙と火の粉がご近所に飛ばないよう、開発したての亜空間収納魔法を設置。

煙も火の粉も煙突内の亜空間収納に納め、あとで草原の上空にでも出せばいいし、出さなくともいい。

こうして怒濤の3日間の作業が終わった。


「ふうやれやれ。ようやく親方に仕事をしてもらえるよ。」

『…というか、もう大工仕事はほとんどないのではないか?』

「いやいや、ここからの仕上げはプロに任せたいよ。」

『…。まあ、驚かれるのは目に見えているが。』

「ん?何か言った?」

『いや。明日は親方を呼びに行くのか?』

「うん。もう僕の仕事は終わったからね。一応声をかけに行く。」

『熊がどんな反応をするか、楽しみだ。』

シンハが何かまだぶつぶつ言っているが、気にしないことにした。


翌朝。

僕は晴々した気分で、親方の工房に顔を出した。

「おはようございまーす。」

「おう。北麓のサキか。どうした?」

おお、「北麓のサキ」。なかなかいい呼び名だ。

「僕がやるべき作業が一段落したので、お声をかけに来ました。」

「一段落?何をどう一段落したんだ?」

「いや、この間、親方と話し合った内容のことで、僕ができるところは全部やったので。」

「全部、だと?」

「とにかく、一度時間を見つけて来てください。今日は家にいますが…来れますか?」

「…。判った。2時間くらいしたら行ってみる。」

「よろしくお願いします。」


僕とシンハは必要な雑貨や野菜などを買って家に戻った。

シルルにお茶の入れ方を教えたりしてのんびり過ごしていると、親方がブリックさんを連れて来てくれた。

「あ、どうも。」

「おう。見せてもらうよ。」

「はい。じゃあ、まず鍛冶小屋から。」

僕は歩きながら説明する。


「扉は作ってもらおうと思って設置していません。あと窓も。外壁の仕上げもです。本宅との見た目バランスで、角は化粧レンガ積み、壁は白壁仕上げかと思いますが。よろしくお願いします。」

「そうか…。扉は扉作りの上手い奴を手配する。窓や壁の仕上げとかはこいつができるから。」

「よろしくお願いします。ブリックさん。」

「おう。」

などと言いながら、裏庭にまわってきた。


「お!」

「おお!」

と二人の大人は立ち止まって、小屋を見る。

「がんばって丁寧に作ったつもりなんですけど…どうでしょうかね。」

と僕が声をかけたが、親方もブリックさんも何も言わずに小屋に近づき、上を見たり下を見たりしている。


「床下は作りませんでした。作業小屋なので、直に石敷きです。壁は耐火レンガ。通風は上に換気扇と、両側に窓があればいいかなと。もっと開けた方がよければ、数カ所壁に穴をあけますが。」

「まあ、鍛冶小屋だからな。石敷きや耐火レンガは妥当だな。」

「良かった。屋根はどうですかね。」

中から天井を見上げて、屋根裏の具合を見る。

此処も屋根裏部屋は作っていない。屋根までむき出しだ。


「屋根は内側がレンガか。」

「はい。耐熱のためですね。木枠を作って薄いレンガを組み上げました。外側はスレート貼りです。」

「なるほどな。…ん?木材は…まさかトレントかっ!」

「はい。構造的に重量がかかるところはエルダーです。」

「「!えるだー!?」」

「はい。ほかは普通トレントですけどね。」

僕の感覚では、「普通に丈夫な木」(普通トレント)と「結構丈夫な木」(エルダートレント)なだけなのだが。


唖然としている二人に、僕は変だな、と思いながらも

「窓もお願いしますね。あ、板ガラスは提供できます。それから、トレントでよければ、扉分も含めて木材はすべて提供します。普通のトレントでいいですよね?」

「あ、ああ。」


「それから、下水なんですが…。」

僕は例の本管に流す許可の相談をした。

「判った。許可は確認しておく。」

「お願いします。」



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