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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第二章 冒険者の街ヴィルド編
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169 新しい家 改造2日目

改造2日目。

昨日は結局、親方と打ち合わせしたあと、地下室をほぼ完成させて、2階の改造半分で終わってしまった。


今日は森の鉱山に、朝早くにテレポートしてきた。

もちろん、北門から草原に出て、誰にも見られていないのを確認してからテレポートしたよ。

何か楽しいことがあると、僕でも早起きできるものだ。

もの作りはやっぱり楽しい。


黒龍のいた「黒い山」の隣に「白い山」があり、それぞれ黒曜石や白と黒の大理石がとれるのだ。

まず白い山にテレポート。

ここは大理石が採れる。

白だけでなく、場所によっては黒い大理石も採れるところ。

大理石は柔らかいので、羊羹でも切るように、さくさく切れる。

床は黒と白の大理石をチェス板のように交互に敷いていくつもりだ。

壁と天井は白大理石で明るくしよう。


まず大きな角材のようにして切り出す。それを板状にカットしていく訳だが、それは亜空間収納内で行う。

これが一番効率がいい。

黒1に対して白3で採取。白は床だけでなく壁にも使うからね。


大理石の採取が終わると、今度は以前掘った「黒い山」の、別の場所に移動。

そこは黒曜石が採れるのだ。

でかい黒曜石の岩の塊を削って浴槽にしよう。

黒くてかっこいい。

ふんふんと鼻唄まじりに石を切り出し、浴槽の加工も此処でしてしまう。


手触りがいいようにごつごつしたところがないように、注意して浴槽を作った。

モデルは高級ホテルのバスタブ、の2倍半くらいの大きさだ。シンハも一緒に入るからね。

2階に設置するので、見えない部分を削って軽量化する。ちっとも小さな浴室じゃないな。まあいいか。1階よりはずいぶん小さいんだぞ、これでも。

縁はシンハが足をかけやすいようにかつすべらないように、マット仕上げで広く平らに残した。それから浴槽の底もすべらないようにざらついた感じを残しながら仕上げてみる。シンハと二人で入ってみて、深さも丁度いいとなった。

広いので、長辺の片側には広めの階段を残し、かつ隅にはシンハがおすわりして首が出るように広めの台地も作ってあげた。

そうでないと、ずっと浮いていないといけないからね。


それから、1階の大きな浴槽に作るシンハ用の台地分を切り出す。

これを現在の浴槽内に沈めて接合して作るのだ。


さらに、鍛冶小屋の屋根に使うスレートも切り出した。

切り出しながら、薄い板に加工するのは亜空間収納にお任せ。クギ穴ありの板に加工。


シンハが僕の脇でふあーあとおおあくびしながら、昼寝している。

「遊んできていいよ。」

と言ったが、

『お前は作業に夢中で周囲が見えていないだろう。俺がいないとあぶなっかしい。』

と言う。

お説ごもっともなので素直に用心棒をお願いする。

ずいぶん採掘したけれど、数時間で作業終了。


さらに、普通の河原にテレポートで移動し、鍜治小屋の床などに使う石や岩、レンガを作る土なども大量に採取した。

メーリアたちに会おうかとも思ったが、おみやげを手に入れていないので、また今度、ということで、まっすぐテレポートで戻った。


戻って一服してから、2階浴室の床、壁を作っていく。天井は明るく白い大理石を張る。大理石板の縁は一段削って組み合わせる方式にしたので、石板が落ちる心配はないが、さらに特製のパテを塗ってしっかり貼っていく。これは大理石と大理石の間を埋めるパテと同じもの。特製のセメントの超細かいやつで、トレント樹脂とスライムゼリーを加え、魔法で練って強度と防水性を高めたパテである。カビにも強い。

床にも同じ防カビのパテを使って白と黒の大理石を順番に貼っていく。


壁の一角と床の一角は湯水を通すパイプを埋め込むので、わざと石を貼らないでおく。

湯水を通すパイプは、注文していると時間がかかってしまうので、亜空間収納を利用してあまっていた銅やミスリルで自作した。

外壁と内壁の間の隙間に煉瓦を積み重ねて道を作り、そこにパイプを仕込むことにした。


排水は、壁に設置する洗面台と床にあける排水口、それにトイレ用の3つとなる。

風呂桶の湯は床の排水溝へ流す。

洗面台と風呂用の排水管は共用にしたが、トイレからの排水は、独立させた。なにかの拍子に逆流すると、とんでもないことになるからね。


2階の床下にそれぞれ排水管を通し、外壁と内側の壁の間の排水本管も2本作り接続。

これらの排水管は手製のパイプだが、銅とミスリルの合金製とした。これに水漏れがないように、継ぎ目には目のつまったアラクネ布にさっきのパテを塗って防水したものを巻き付けた。


なおパイプには結露防止のために、全体にフェルトのような厚めの万能アラクネ布も巻いた。

これはアラクネコートや服のハギレをほぐしたものや、裁縫で出た糸くずをリサイクルしたものだ。アラクネのくず糸がこんなところで重宝するとは思わなかった。


外壁と内壁の間を通した2本の排水本管のうち、洗面台と風呂用は、まっすぐ土中に入り、それからキッチンの排水用の升につながる。普通はここにスライムを入れて浄化するのだが、僕はクリーンの魔法を仕込んだ石を置いた。


トイレは排水升が別にあるのでその升に接続させ、クリーンの石を置いて浄化。それが下水本管に流れるように作った。なお、この屋敷ではトイレは家族用が1階と2階に1ヶ所ずつと、使用人用が洗濯室脇に男女それぞれ3ヶ所ずつ。大量の水で近くの升まで流し、そこでスライムにより浄化して、下水本管へと流す方式だったらしい。僕の場合は、スライムのかわりに、それぞれの升にクリーンの石を置き、浄化することで解決した。


さて、2階浴室まわりの配管が完成した。

シルルに各排水口からせっけん水を大量に流してもらったが、2階の床下も、壁の内側なども、どこも一滴も漏れてこなかった。浴室床をわざとびしょ濡れにして実験もしたが、それも大丈夫だった。外の升のクリーンもできていた。大成功だ!


上水については、厨房では井戸が近いので、直接井戸から魔石で汲み上げる方式だが、他の屋敷内には上水管は通っていない。トイレも洗面所も、それぞれ室内にあるタンクに水を貯めておいて使う方式。

1階の浴室については、浴室のすぐ脇、外にもう一つ井戸があって、そこから厨房と同じく魔石で水を汲み上げ、湯船で火魔法を使って適温にしていたようだ。


僕も魔法でできるから、そのままでもいいが、シルルがお風呂管理もしたいというので、1階と2階の風呂も、そして厨房も、水道にちょっと細工をする。

水とお湯が出る蛇口をつけることにしたのだ。


魔石を入れて、水を井戸などから引っ張ってくる蛇口は、魔道具屋で安く売っていた。

町中では何処でもこの方式らしく、普及品らしい。

ただし、蛇口から直接湯が出るという発想はないらしい。水源から水を引っ張ってくる水圧調整の魔法陣を刻んだ魔石を、魔石入れ部分に仕込むだけだ。


僕は蛇口を改造して、湯用は2つの魔石が仕込めるようにし、かつ湯温調整の円盤を付けた。

魔石は、水を引っ張ってくるものと、火魔法で指定の温度の湯にするものである。

湯温度は円盤で調整し、熱め(42℃)と適温(40℃)、ぬるめ(38℃)の3種類。季節と人の好みがあるからだ。


市販の蛇口は見た目がいまいちだったので、少し魔法で鉱物を加えて変形させたりして、豪華な蛇口にしてみた。

ひとつの蛇口で湯と水を出す方式はまだないらしく、蛇口は2つだ。

これを改造しはじめると面倒なので、とりあえず豪華な蛇口2つを、浴槽と洗面所の2箇所に並べてつけた。

シャワーは浴槽に湯を張る水道管と共用で、切り替え弁を付ける。そのため、湯用の魔石入れの位置を蛇口そのものではなく管の途中、切り替え弁より前に移した。テストはもちろんうまくいった。温度も水圧もばっちり。

厨房の蛇口も、3つの温度の湯が出る蛇口と、水が出る蛇口とした。シルルが火傷しないよう、いつもは38℃にしておくように指示した。


2階の風呂場は、1階風呂場の外にある井戸が近かったので、そこから上水を引いた。

外壁と内壁の間は上水1本、排水2本で合計3本の本管パイプが通っていることになる。


洗面台で湯も出るのは、画期的らしい。ちょっと考えればできることなんだけどな。


それから浴槽を台座に設置して、ようやく浴室は完成!

今日の作業はおしまい。



排水管について考え始めたら、止まらなくなった。異世界のラノベだよねコレ。

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