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白金(しろがね)の魔術師 もふもふ神獣との異世界旅  作者: そぼろごはん
第二章 冒険者の街ヴィルド編
166/529

166 バーベキューでお祝い

「ただいまー。」

「おかえりなしゃいましぇ!」

相変わらず幼児語だ。

「ただいま。シルル。今日は悪かったね。もっと早く帰ってくるつもりだったんだけど。…なんだか、家のなか、すごく綺麗になってるんじゃない?」

「おっほん!」

「シルルが掃除してくれたの?ありがとう!」

「えへへー。」

頭を撫でると、うれしそうにでれっと笑った。

「すごいな。窓もぴかぴかだ。」

「シルル、がんばったでしゅ!お掃除は実は得意なのでしゅ!」

「すごいや。」


今までは、なるべく人を近づけないように、幽霊屋敷のふりをしていたそうだ。

それで掃除もわざとせずにいたらしい。

それでもアルマの部屋だけは、綺麗にしていたようだが。


家の大掃除は明日しようかと思っていたが、シルルががんばってくれたおかげで、ほぼしなくてすむことになった。

さっそくシルルの歓迎会と家を手に入れたお祝いを兼ねて、ささやかながらバーベキューを庭ですることになった。


シンハの好きなワイバーン肉や、買ってきたばかりの新鮮な鯖モドキ、各種野菜などを焼く。

そうだせっかくだから、ハピたちも呼ぼう!コマドリのロビンとコウモリのキキ、そして仲間のコウモリたちには盗賊退治でお世話になった。

あのあとすぐに、ロビンとキキには僕の魔力団子を。ほかのコウモリ達には全員にヒールを、してあげたけどさ。あーでも、まさかコウモリたくさんは此処には呼べないものね。とりあえず今夜のところは、コウモリは代表でハピだけね。


あとは夜に強いハカセだな。いつも僕とシンハの相談役をしてもらっているんだ。

コマドリのロビンは、今日はもう暗すぎる時間だから、昼間に呼んでお菓子でもあげることにしよう。

ハピとハカセくらいなら、召喚しても街の結界に揺らぎを与えるとは思えないしな。


「ハピ、召還!ハカセ、召喚!」

魔法陣が現れて、その中央にハピが現れた。続いてハカセも。

『キキッ、ここは?あ、あるじ!キキキ!』

「やあ、ハピ。」

ハピは僕を見ると嬉しそうに飛んできて、僕の頭の上を旋回した。

『空気が違うキキ。なんだかおいしそうなにおいがする!』

「バーベキューしてたんだ。食べていって。」

『あるじありがと!』

「こちらこそ。この間は君や君の仲間にお世話になったね。ありがとう。さすがに此処にコウモリ達全員は呼べないからさ。今度、森のどこかに果物を「お供え」しておきたいなあ。」

『じゃあ、森をちょっと入ったところに、集合場所があるから、そこがいいキキ!』

と僕にイメージを送ってきた。

「ダンジョン近くの洞窟だね。わかった!」


それからハピとハカセをシルルに紹介し、お互いよろしくとあいさつしていた。

『ホー、此処、あるじのおうち?』

「うん。新居だよ。よろしくね。」

『おいらもハカセも、時々この町まではやってきてる。縄張りだキキ。』

「縄張り広いんだね。森の奥から飛んでくると…片道時速50キロとしても…10日以上かかるよね。」

『巡回しながらのんびり来るから、普段はそれくらいキキ。急げば3日以内には来るキキ。』

なんか凄くない?


『でもあるじに召還してもらえば一瞬だホー。いつでも呼んでいいホー。』

『キキキ。同じく。』

「ありがとう。これからは森にもちょくちょく行くようにするよ。…さて、肉が焼けた。君たちも食べて食べて!」

『ホホー。』

『キキキ!おいしそう!』

「さあ、シルルも食べて。」

「ありがとうございましゅ!あちち!」

「気をつけて。…はい。葡萄ジュース。」

「ありがとうございましゅ!わあ!おいちい。」

ふふ。皆和気あいあいで楽しいパーティーになった。


バーベキューも一段落して。

皆思い思いの場所に座って、葡萄ジュースを飲んだり、梨をつついたりしながらおしゃべりをしている。


「ツェル様とか、メーリアはどうしてる?」

『あるじ、なかなか会えないって、ため息。ホー。』

『最近、アラクネダンスも見てないキキ。』

「そうか…。」

『でも、なんかツェル様は、今朝は張り切ってたホー。』

「ああ、うん。ベッドとカーテンを作ってくれるみたい。今度行ったら、少し長く森にいられるようにするよ。」


何かおみやげを買って行こう。

特に3人(?)の女性たちにはいろいろ世話になったし。

ツェル様とは商売の話もしないといけない。

まだ生地をどう売り込むか、決めていないが、特別な布なので、領主案件にしたいと思っている。

此処の領主はなかなか人望もあるようだし、王都での発言権も強いようだし。

もし、領主がこの件にかんでくれれば、領主にもメリットの大きい話だ。

家も持ったことだし、こちらからご挨拶にうかがうか。

なんといっても、この家は領主から売ってもらったことになっているのだから。


「うん。丁度いい時期だな。明日、ギルド長に相談して、なるべく早く領主に会いに行こう。おみやげはアラクネ布でできた男性用の飾り帯と女性用のストール、それに魔蜂のハチミツ、だな。」

かねてよりおみやげはそう決めていた。

そして僕自身がアラクネ製生地で作ったローブを着ていくんだ。

もちろん、見本の生地は反物で数反持っていき、領主に預ける。

結局そのまま差し上げるのだけれど、きっと役に立ってくれるだろう。


夜も更けてきた。

シルルは大掃除で疲れたのだろう。

こくりこくりと眠り始めている。

パーティーはお開きだ。

僕はハピとハカセを召喚解除で森に送り、シルルを抱っこすると、屋敷に入った。

シルルが使っている部屋に入ると、ベッドは土台しかなく、此処でずっと眠っていたのかと思うと、いくら妖精だといってもちょっと切なくなった。


予備に収納していた布団類を出して、ベッドに敷く。これもアラクネ綿を入れたふわふわ布団だ。きっといい夢がみれるだろう。

その布団の上にそっとシルルを降ろし、布団をかけてやる。

「よい夢を。」

そうつぶやいて、シンハと一緒に部屋を出た。

それから僕たちも寝室に入った。


寝室の隣は、今は客間だが、改造して寝室から行き来できるようにして、此処にも小さな風呂場とトイレを作ろうと思う。

下までいちいち行くのは特に冬場は嫌なものだからね。

明日は大工の熊親方たちが来る。

忙しくなりそうだ。

おやすみ。



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